(ふたたびアメリカふりかえり日記ね)
バークレーで朝ごはんを食べた金曜日、橋を渡ってサンフランシスコへ。噂にきいていた新しいミュージアムへ行きたかったのだ。構想から10年、総工費は500億円、イタリアの建築家レンゾ・ピアノ設計により、昨年ようやくリニューアルオープンとなった
California Academy of Science。ここは、自然科学博物館と水族館とプラネタリウムとが1つになったミュージアム(ミュージアム自体は昔から続いている)。
建築デザインは「サステナビリティ」がキーワード。遠くからみると、小山がぽこぽこっとふくらんでいる。Living Roof「生きている屋根」と名づけられた屋根は、緑の大地を持ち上げ、その下に建築を抱え持っているかのようにみえる。風景にとけこんだ佇まい、、、というにはあまりにも大きくて迫力がありすぎるのだけど、それよりはるかに広大なゴールデンゲートパークがこの真新しいミュージアムをやさしく包み込んでいるよう。
このミュージアム、建物の材料95パーセントはリニューアルする前の古い建物のリサイクル材料が使われていたり、ソーラーパネルだったり。屋根がこうして土と草で覆われているのも、断熱効果をはかるため、とか。いわゆるサステイナブル・デザインなのだって。
水族館はとっても充実していた。フィリピンの海、カリフォルニアの海、深海など、海の種類もたくさん。巨大水槽の前に座って、1日中ぼーっと魚達を眺めていたい。キラキラとここにも光が差し込んで、きれい。
日常生活の中ではぜーったいに出会わない生物たち、なわけですよ。純粋に、「え、あなた生命なの?」ってつっこみたくなるような奇妙なものもたくさんいる。自分とは遠い遠い海の生き物には、やっぱりこうしてこちらから出会いにいかなければね、と思った。おもしろい、ほんと。
世界最大級のデジタル映像によるプラネタリウム。ドーム全体がスクリーンになっていて、ものすごい迫力。ショーの前のプレゼンテーションは、球全体を包み込み1つにする素晴らしいトークだった。となりに座っていた彼が、"He is a good presenter." と感心したようにつぶやく。よいプレゼンターかどうか、人はそういうところをきちんと見てる。アメリカはエンターテイメントの国だなぁと実感。
ミュージアムの中にはプラネタリウムの他に巨大なドームがもう1つあって、それは熱帯雨林。中に入ると、もわっとする。木も植物も、湿度と温度を調整されてそこで生きている。ドームはゆるやかなサイドウォークで上へ散策できるようになっていて、ボルネオ、マダガスカル、コスタリカ、そしてアマゾン、というふうに4層に分かれている。蝶だけはその4層を自由にひらひらと飛んでいたけれど。
興味関心を引くものが多すぎて、あっちを見て、こっちを見て、というふうに忙しい。でも、おもしろかった!!こういう施設が街にあるっていい。しかも近くにエクスプロラトリアムもある。深く熟考するための図書館、驚きと発見のためのミュージアム、ものづくりと実験のための工房。+キッチン。昔デューイが考えたように、そういう要素で学校が成り立っていたらいいのに。でもそれが近所にぜんぶそろっていたら、それだけでそこは素晴らしい学習環境になるね。サンフランシスコはいい街だ。
このミュージアムを思い出すとき、そこにあふれていた「光」のことも印象的。ガラス張りの建物で、天井が完全に覆われていなくて、ほどよい光がそこかしこからさしこんでいた。人ごみでごった返していたけれど、吹き抜けの空間、ガラスの建物、中にいるのに外みたいな開放感があって気持ちよかったな。もう一度じっくりいきたいな、このミュージアム。今度は教育学的な視点でもうちょっと冷静に見てみたい。入場料は$24と高め(?)ですが。でもあのクオリティの水族館、プラネタリウム、熱帯雨林で1日じーっくり楽しめるから、いいかな。