Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

数ヶ月がたって

2011-05-29 13:23:33 | エクスプロラトリアム
気がつけば5月は一度もブログを書いてなかった。今日が5月最後の週末。
変わりなく元気に過ごしています。

4月から日本人学校で教員を始めたため、平日はずっとミュージアムで働き、土曜日は日本人学校で働く、という仕事2つの生活となり忙しくなりました。久しぶりの「学校」という場所での仕事は、いい意味でも悪い意味でも、忘れていた学校のいろんなことを思い出させてくれて、なぜ自分がミュージアムやワークショップというインフォーマルな学習環境のほうへひかれたのかを再確認するきっかけともなっています(しかし授業準備がたいへん)。

学校で使う道具はホワイトボードにマーカー。教科書にノート。はっきり言ってそれだけのツールでこども達を深くエンゲージできるプロフェッショナルな先生方はほんとすごいと思う。

一方で、ミュージアムで使う道具はグルーガン、電池、プラスチック、木材、Arduino、はさみ、布、LED、レーザーカッター、etc..まとまりがないけれど幅が広い。すべて手で考えて手でつくるもの。


例えばある日のエクスプロラトリアムでの仕事は、
おもちゃを分解するワークショップを考えること。

学校か、ミュージアムか、どちらが好きかというのは私の紆余曲折なキャリアパスのおかげで自分でもとてもはっきりしている。もちろんミュージアムが好きだ。だけど今こうして再び学校という場を与えられて「フォーマル vs インフォーマル」な学習環境を双方ゆっくり傍観できる立場にいるのは貴重なことだと思う。どちらの場でも大事なのは、プレゼンする力。そのためには「聴く」力。大勢の前でしゃべってる時も、2~3人のグループでしゃべってる時も、相手の状態をしっかり見る(聴く)力がそのままその人のプレゼンテーションの力になると思う。

ともあれ、この数ヶ月間、エクスプロラトリアムでのフロアスタッフの仕事のおかげで大勢の前で話す訓練はだいぶできたと思う。英語でオリエンテーションをするのも最初はとっても怖かった。フロアに出て大勢の前で牛の目を解剖するデモンストレーションなどは人気があっていつもたくさんの人だかり。心臓をドキドキさせながら人だかりをかきわけかきわけ、やっとデモンストレーションテーブルまでありつくとどこをみても「人」「人」「人」!そんななかで、cornea(角膜), sclera(強膜), iris(虹彩), vitreous humor(硝子体液), retina(網膜)などなど、それこそ未知だった単語を使いながら、気持ち悪い牛の目を解剖し目のしくみをわかりやすく伝えなければならない。英語で。最初の頃の私の怖さといったら・・・。今はそんな恐怖も不安も乗り越えて、平気で解剖をやってのける度胸もついたけれど。思い起こせば1年前、まだマイク達のグループでボランティアを始めたばかりの頃、ワークショップの中でこども達に簡単な自己紹介をするのだってすごく怖かったのだから。今はそんなことで緊張しない。「慣れ」ってすごい。場数を踏むってそれだけで価値あることだ。でもプレゼンの力はまだまだで英語もまだまだだけど。

それでもいつも興味を持って私のプレゼンを聞いてくれる人がいるのは、やはり素材の良さにつきる。実物を題材にして触れながら解剖するというエクスプロラトリアムならではのやりかたに私はだいぶ助けられている。


ある日の、牛の目から取り出したlens(硝子体)。
とても透き通っていてビー玉みたいにきれいなんだよね。
下の文字を拡大してくれてるのもわかるでしょう?

毎日、忙しいです。
なかでも競争はとってもはげしいです。自分のスキルとかどんどん切磋琢磨してかなければならないのに、ミュージアムに関係のない学校の仕事をひきうけたことを今でも「よかったのかな?」と考えることがあるけれど、常に新しいことにチャレンジし進化し続ける人じゃないとここではやっていけないのだと感じています。1月に初めて雇われて、それからずっと同じところで働いているだけで何も他に新しいことを始めませんでした、、、では履歴書もかっこつかないし。

「学びの場をつくる」大枠でいえば学校の先生もミュージアムエデュケーターも同じ仕事をしているのだと思う。そう思って自分にできることをひとつひとつやりながら、自信につなげていきたいです。