Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

映画館で良い映画を観た

2009-01-31 05:37:24 | エイガ、DVD

バークレーで、話題の映画「Slumdog Millionaire(スラムドッグ$ミリオネア)」を観た。
観に行ったのは、Solano Ave.にある昔ながらの映画館。

映画が始まる前に、その映画館で映写技師/支配人をしている女性が出てきて、
「みなさん、今日はようこそ!私の映画館に来てくれてありがとう!」
という挨拶があったのが意外だった。映画館は超満員である。お客さんからは早くもあたたかい拍手。ノリがいいなぁ。

ゴールデングローブ賞4部門(作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞)受賞、アカデミー賞作品賞最有力。9部門10ノミネートなのだとか。少し解説があり、ぜんぜん前情報なしで行ったので、期待が高まる。土曜夜の娯楽を求めて寒いなか歩いてきた街の人々は、その映写技師さんの解説に耳を傾け、手には飲み物やポップコーン。満員御礼の館全体は少しざわついているがみんなとても楽しそう。みんなが「この映画はいいらしいぞ」ということを前もって知っている、そんな期待があたたかい一体感となって劇場空間を包み込んでいた。

映画を観る前に技師さんからミニクイズ。
「監督Danny Boyleの最初の作品は何だったでしょう?」
お客さんからたくさん手が挙がり、1人目が、「Train Spotting(トレインスポッティング)!」と答えると、会場から「それは2作目だぞ!」というリアクション。他のお客さんがすかさず「Shallow Grave!」と答えると、どうやらそれが正解。技師さんが正解者のところまで歩いていって、記念にそのDVDをプレゼントしていました。

映画館に行くとたいてい私たちは前方しか見ず、背後で働いている人の存在を意識しない。でもこの数分の前振りは、「これからこの人が映画を映してくれるんだ」ということをさりげなく教えてくれたし、映画を愛しているこの人の手から映される作品はきっと素敵で良いものだろうと予感させ、前評判や監督の他の作品情報も含め、一気にワクワク度が高まった。

(映画予告編↓)
Slumdog Millionaire - Trailer

さて肝心の映画のほうはどうだったかというと、これはもう傑作です。
舞台はインド。ムンバイのスラム街で大人になった少年がインド版「クイズミリオネア」に出場し、全問正解まであと1問、というところ。物語はそこから始まります。学校にも行かず無学のはずの彼が、なぜそこまで登りつめることができたのか。その答えは、、、(本編をお楽しみに!)。
インドの喧噪、スラム街の貧困、暴力、絶望的に過酷なはずの人生を生きるこども達。大人の陰謀や汚さにも気づかず、その純粋無垢な生命力にも心を打たれます。思わず目をつぶるシーンもありますが、全体的に切れ味がよく、笑いあり、涙あり、映画作品として優れています。久しぶりに映画館まで足を運んだ映画がこんなに素晴らしくて、とても嬉しかった。日本でも4月に公開されるそうです。

劇中、アメリカ人のノリのいいリアクションに包まれながら、街の人達みんなで一緒に観た映画。
作品と同じくらい、その「映画館」という空間もまたとても好きになった夜でした。

Bette's Buttermilk Pancakes

2009-01-30 05:48:10 | エンキョリ
バークレーに着いた翌朝のこと。
Bette's Oceanview Dinerへ行きました。
朝の6時から開いているブレックファスト屋さん。


バターミルクパンケーキ。
アメリカのパンケーキは、ちょっと人を幸せにするエッセンスが入っていると思う。日本のと違う。想像以上にふかふかしていて、一口目から全部吸い込めそうなくらい(ていうか、飲めそうなくらい柔らかい。笑)しっとりしてるのだ。生地は日本のよりちょっぴり塩味がきいている。

週に1度は食べたいなぁ。本当においしいです。
そして、カフェラテもオーダーの定番。

外で朝ごはんを食べたのはこの日だけで、あとは家で。
でも「旅先での朝食」って、なんだか心うきうきしてくるのです。もともと「朝食」が1日のごはんの中でコンセプトとしては一番好き、というのもあるし、しかも旅先となると、場所自体が新しく、なんだか「今日1日なにが始まるんだろう!」っていう気持ちがよりいっそう強まるのです。店内にはバークレーの独特な活気。店員さんの愛想もいいし、シェフもマスターもてきぱきと動く。
あ、このお店好きだなぁ。

どんな状況にあっても、「好き」なことを増やしていこう、と思うのだった。

The Pancake Handbook: Specialties from Bette's Oceanview Diner


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つかの間、サンフランシスコ

2009-01-29 05:55:59 | エンキョリ
1/22、関空発サンフランシスコ行き、木曜夕方便のUA886(ユナイテッド航空)。
今回のスケジュールは、金、土、日、月、の4日間を向こうで過ごし、火曜朝には現地を出て、水曜夕方に関空に戻るという旅程。この3年半の間、頻繁に出入国をくり返しているために、ここ何回かの渡米では空港のイミグレーション(入国審査)を別室送り抜きに通過できるかどうかも怪しくなってきている(苦笑)。
昨夜無事に帰ってきたのだけど、時差ぼけで午前4時に目が覚めてしまった。

なにはともあれ、5度目のサンフランシスコ&バークレー!
あちこち観光する気分でもないし、なんだかただゆっくりしたかった。予定もなく目当てもなく街を散歩し、新しい通りを覚えたり、買い物をしたり。そんなexploring(探索)が今回もっともしたかったこと。

Ferry Building Market Place内にある、オーガニックのチーズ屋さん。
看板のかわいいCowgirl Creameryへ。


チーズに詳しくないので「うーん」と考えていると、店頭でいろいろ味見をさせてくれる。
やっぱり生まれたての新鮮フレッシュチーズが大好き。熟成させたチーズ(左写真)ではなく、フレッシュなリコッタとカッテージ(右写真)を購入。熟成チーズのほう、もうちょっと詳しくなりたいなぁと思う。


チーズ屋さんのとなりに、このパン屋さん。つい買ってしまう。
さっき買ったチーズと食べよう、ってことで白いミルクパンを購入。

次の写真はここで食べたクラムチャウダー。サンフランシスコ名物。
これは本当においしかった!感動しました。今まで食べていたドロドロのクラムチャウダーとは違い、スープがサラサラしていて、あさりが大きくて新鮮ジューシー。パンは好きなだけ食べられて$14、思いがけず素敵なランチにめぐりあえて嬉しい。

今回、4.5日の滞在で半分はサンフランシスコへ出かけ、半分はバークレーに居ました。
どちらも大好きな街。サンフランシスコはアメリカ的美しい街だと思う。昼間は、吸い込まれそうな空の青さと海。海からの風も。特に私が好きなのは、夕日が沈む頃。坂道と街灯とビル群をたそがれ藍色の空のグラデーションの下に見ること。ふと気がつけば、それまで味気ないコンクリートの固まりにしか見えなかったビル群のひと部屋ひと部屋に灯りが灯り始めて、急に街がつやっぽくきらきらと活きてくるような感じがする。でも、そんなトワイライトな街なか帰路を急ぐ人達を見ていると、なんだか急にさみしくなってくるんだけどね。

天気はよかったけど気温は低かったサンフランシスコ。
知っている街が増えていくのは、たのしい。

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日本に帰ってから、無性におにぎりが食べたかったのでつくった。
梅干しと、しその葉と、じゃこ。日の菜のお漬け物を添えて。
おいしいよー。

寒いほうが嬉しい

2009-01-14 23:13:36 | 日常
この寒さを心地よいと感じながら日々過ごしています。

カリフォルニア、バークレーからは、
「今日も気温20度ぐらいあったよ」
「毎日ぜんぜん寒くないよ」
というお天気だより。
どうやら向こうには四季がない。

バークレーの温暖な気候、青い空もいいけれど、
京都の冬、凍てつくような朝の空気もまた魅力的。
朝のうち、陽光に照らされた東寺の五重塔はとても美しいし、
足元はしんしんと冷えこんでいるけれど、見上げると気持ちがしゃきっとする。
朝の冷えきった空気を思い切り深呼吸するのもまた好き。
刺すような冷気に内蔵がびっくりしながらも、あたたかい息を吐き出してくれる。
人間のからだってあったかいんだなぁーなんて、当たり前のことを感じたり。
それで、吐いた息の白いかたちを見て喜んだりしている私。
そんな毎朝。

底冷えの京都。本当は寒いの大きらい。
でも、今年は心のどこかでその「冬らしさ」を享受している自分がいます。

ご冗談でしょう、ファインマンさん

2009-01-13 23:51:36 | 本/心に残ったコトバ
最近行き帰りの電車のなかで読んでいた本。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉




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ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉




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ノーベル賞も受賞している天才的物理学者リチャード・ファインマン(Richard Feynman 1918-1988)の自伝。
幼い頃から好奇心にあふれ、興味を持つと何事であっても夢中になり、知的にひょうきんだった彼。実践的に頭脳明晰でアタマが良いのですが、人柄もまた素晴らしい。MITの学生であり、プリンストン、コーネル、カリフォルニア工科大と職歴を重ね、好奇心といたずら心に満ち満ちた彼の日常を描いたエッセイは、物理がどうのこうの、というよりも、研究者としてどうあることが自由かということを教えてくれる。

研究者の陥りやすい落とし穴として、その興味関心が、『What is true? (何が真実か)』から、いつのまにか、『What is supposed to be true?(何が真実になるはずか)』のほうへ傾倒しがちなことがある。この本は、ともすれば地位やグラント獲得のためにそういう落とし穴に陥りがちな研究職の人達に、何が最も大切かということを思い起こさせてくれる。シンプルに言えば、「できたことを述べ、できなかったことも忠実に述べる」という科学的良心を忘れない、ということかな。
ファインマンさんは、小さな仕事も、くり返しの仕事も、大きな仕事も、とにかく何ものをも厭わず、誠心誠意とりくむ姿勢があり、「何が本当でなければならないか」なんていうせせこましい思想からは完全に自由であった。名誉のために事実をねじまげて報告する人々を、「このようなニセをでっちあげる連中は、ほんとに独創的なものをつくりだす勇気など持ち合わせていないのだ。」と痛烈に批判。
いやー、この人が言うと爽快だ。

とくにアメリカの小学校の科学・数学の教科書選択の委員にならされ、かたっぱしから教科書を読み選定するときの話は痛快。
「どの教科書を読んでみても皆同じことだった。例外なくてんで役にも立たないことばかり説明しているが、これがおよそ漠然かつ混沌としているうえ、完全には正しいと言えないようなことばかりが、書いてある。こんな本を読んで、どうやって科学を学べるというのか?僕には想像もつかない。なぜなら、こんなものは科学ではないからだ。」
本の中、ファインマン節に出会うたびに、なまっていた感覚がピシッと叩かれるようです。

身体のなかをさわやかな風がとおったような、後味のとっても良い本。中学生ぐらいのときに出会いたかったな、これ。(ファインマンさんの人柄を知るには、松岡正剛の千夜千冊もおもしろかった。)

つぎ、『困ります、ファインマンさん(原題:What do you care what other people think?)』も読んでみようー。

マクロビオティック・ランチ

2009-01-12 22:51:06 | 日常
大学時代の友達に会いに神戸へ。

お昼時におじゃましたので、「簡単なのでよければつくるよ」と
彼女がさっとつくってくれたランチ。


そうだそうだ、彼女はマクロビオティックな食生活の実践者。
ランチのメニューは、
・もちもちレンコンのナゲット
・小松菜と海苔のおひたし
・ひじきとキノコの白和え
・蒸し焼き野菜のお味噌汁
・玄米ごはん(→圧力鍋で炊いたもの、炊きたてでふっくらもちもち!)

きゃー!
私の細胞が喜びまくりです。

「質素でごめんね~」と言いながら出されたけれど、
と、とんでもない!!
有機野菜とオーガニック食品だけでつくられたランチ、
手間ひま愛情かかっていて、大感謝。
去年の東京生活で外食にすっかり飽きた私には、
素材の味がしっかりする塩分ひかえめの食事、このうえなくうれしい。
もうほんとに、こういうのが大好き。

そしてレンコンのナゲットはもちもちしていて食感もたのしい。美味しい!

見晴らしのいい彼女の新居。
壁一面が窓!というリビングでまったりしながら、
しあわせランチ&デザートの後は、昨年末にオープンしたばかりの阪急西宮ガーデンズへ。
西日本最大級の全館あげてのバーゲン最終日。
でも私が買ったのは、、、





・・・レンコン。

(いやー、だっておいしかったんだもん。)
自分の家でもつくってみようと思ってanewで有機野菜のレンコンをゲット。

せっかくの巨大ショッピングモールだけれど、
服とかバッグとか、アクセサリーとか、買う気にならず、
今日はランチの感動から、オーガニック食品ばかり買ってしまった。

しあわせはキッチンから!
今年は身体がよろこぶこと、しようっと。

おひさしぶり!

2009-01-11 19:06:11 | 日常
間があいてしまいましたが、新年初のブログ投稿。
あけましておめでとうございます。

昨年どこかに書いた「年末までガッツリ取り組まなければならないこと」が、予定を超えて新年までかかり、ようやく解放されたのは1月6日。それから、仕事がふつうに始まって、ずっと連携している小学校で3日連続で授業もあり、職場と小学校を行ったり来たりでバタバタしていて、やっときたこの3連休。
この3日間は、新年あけて初めてゆっくり休めています。

濃い日々が終わり、残念なのが、視力の低下。著しく感じます(もーいやー)。
しかし失ったもの以上に、目に見えないけれど大切なもの/あたたかいものもたくさん感じました。
2008年から2009年へ移り変わりは、とてもとても地味ではあったけれど、精神的には大きな学びがあったなぁと思います。

さて、もう慣れっこになった環境の変化にも柔軟に対応しつつ、
新しい2009年の風を楽しみたいと思います。