Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

教える立場がいちばん学べる。

2012-06-27 13:31:03 | サウジアラビア
貴重な経験をさせてもらっているなぁと毎日ひしひしと感じている。

ふだんサンフランシスコにいるときは、チームのみんなを信頼し、チームのみんなを尊敬している。「自分たちは共通の価値観や教育的ゴールを共有している」というゆるがない自信と土台があって、その閉ざされた数人のチームの中にいるときはとても居心地がよい。

それがここサウジアラビアでは、必ずしも価値観やゴールを共有していない現地のファシリテーターと毎日向き合っている。相手がまったくバックグラウンドを共有していないがために「えっ!?」という信じられない発言もあるし、異なる文化や背景を抱える中で、自分たちの信ずるひとつの方向へ全員を導いていくのは至難の業だと感じる。

でもそれがとても心地よい。

今日ふと日本でしていた仕事を思い出して、「あぁなんだ、あれもそれも、ぜんぶ今につながっているじゃないか」と思った。思い出したのは、ワークショップファシリテーターを育てるために大学生にプロジェクト型授業をしたことや、ファシリテーター講習会という名の「研修」、一緒にプロジェクトをしていた同僚やボスと何度も何度も話題にしていたことや読んでいた本など。

そして、とうの昔に何度もかみしめた事実が再び新鮮な響きをもって私にストライクしてくる。
「こどものワークショップしているというと、こどもの学びのためにやっているみたいに聞こえるけど、実はそのワークショップしているファシリテーター(ふだんの自分の立場)が一番学んでいるんだよね。でももっというと、そのファシリテーターを育てるために研修をしているメタ・ファシリテーター(今回の自分の立場)が一番学んでいる。」

エクスプロラトリアムの居心地のよい環境を飛び出て、地球半分はなれた場所で異質なものに向き合うというこの経験。お互い、ガサガサだったりでこぼこだったりする表面を少しずつ地ならししながら、目指す1つの学びの場をつくっていくというプロセス。私にとってすべてが成長のためのアドベンチャーなのだなと。当然、frustration(不満感)、disappointment(落胆)、failure(失敗)がつきまとう。でもその失敗もフラストレーションも、自分をひとりの学び手として見た時、ものすごく必要な要素だと感じる。

今その真っ最中。
でもすごく楽しんでやっている。サウジアラビアにきたことは、私自身が自分の学びをつくっていく上でものすごく大切な通過点となることを実感している。

後半チームにバトンを渡すまで残りあと3日と半日、どこまでいけるかな。


(同僚達。毎朝ロビーでふるまわれるサウジコーヒーをいただく。)

サウジアラビアの砂漠でサンドバギー

2012-06-26 01:13:43 | サウジアラビア
サウジアラビア10日目。

Saudi Arabia 6/24/12
ホテルとフェスティバル会場との間を往復するだけの毎日にピリオド。「何かたのしいことをしよう」ということで、近くの海(Gulf)へジェットスキーをしに行った。

Saudi Arabia 6/24/12
ファミリー向けのプライベートビーチ。「ここならアバヤを脱いでいいよ」と言われてアバヤを脱ぐ。下にはなんともラクチンなイージーパンツ&Tシャツ。

この日、念のため一番下に水着を着ていたのだけど、たぶん水着なんて許されないだろうなと思っていた。ダメ元で「水着になってもいいの?」とここに連れてきてくれた現地ファシリテーターにきくとここなら OK とのこと。今までずっと全身を覆っていたのに、急に水着いいよ!って言われて少しためらう。でも私も同僚女子も、もうはじらいの年代はとうに越している(笑)OKをもらって、そそくさと水着になり、人生初のジェットスキーに挑戦。

(注:もしも同行者に1人でも非常に熱心なイスラム教徒の方がいたら、水着にはなれなかったと思う。ファミリーの間柄でもないのに私たち女子がアバヤを脱ぎ水着になるという行為が、イスラム教徒の方には迷惑となる可能性があるため。ただ一緒にいたのはサウジアラビア人でも、みなアメリカ留学経験のある男性陣たち。ビーチで水着は当たり前、という私たちの文化もよく理解してくれていたと思います。)

といってもずっと運転してたのでジェットスキーしているところの写真はないけど。
スピード感と、水しぶき。顔に容赦なくたたきつける海水。湾だからそんなに波はないけどさすがに8台のジェットスキーが走り回ってると水面が波だってうねりをつくる。その海のうねりの上をジェットスキーで走り抜けるのがとてもたのしかった。

帰り道。

砂、砂、砂、、、の砂嵐。両側に砂丘、まんなかに道が一本。

Saudi Arabia 6/24/12
せっかくだから砂漠もたのしもうってことで、サンドバギーにも挑戦。

Saudi Arabia 6/24/12
サンドバギーのスタンドのおっちゃん達。
今日は強風だから誰もお客さんこないと思って、テントの下で寝ていました。

Saudi Arabia 6/24/12
砂漠で記念撮影。
ファミリービーチを出た後はまたアバヤを着なければいけないので、砂漠でアバヤ(同僚女子がアバヤ着ていないのは単なるものぐさ・・・同じメンバーだし、砂漠だし、他に誰もいないし、という考えから)。

Saudi Arabia 6/24/12 Saudi Arabia 6/24/12
容赦なくふきつける砂嵐で一秒以上目を開けていられないので、このときの運転は同僚に任せる。

Saudi Arabia 6/24/12
後輪が砂に埋まって立ち往生。

こんな強風の中サンドバギーする無謀な人は他におらず、スタンドのおっちゃんたちには「危険だし、目に大量に砂が入ってよくないからバギーは出せない」と反対されたものの、「15分だけ!」とお願いしてバギーを出してもらったのだ。バカみたいだけど一生に一度、旅の思い出づくりということでトライしてみてよかった。

朝7時から遊びにいっていたので、ホテルにはお昼前にもどる。
身体中が痛いのだけどこの後午後はサイエンスフェスティバルの会場へ。ホテル帰着は夜の12時。

1日が長かった。
でもせっかく同僚達とサウジにいるから何かたのしいことしよう、という目的は達成!

まだサウジな日々

2012-06-25 03:10:43 | サウジアラビア
気温45度!
湿気をふくんだ熱風が顔にまとわりつく。ついさっき洗ってしぼった Tシャツも、あっという間に乾いていく。私はまだアバヤを着てサウジアラビアにいます。

サウジアラビア皇太子の死去で延期になっていたサイエンスフェスティバルがようやく開催日を迎えてからすでに3日。始まるまではすごく長く感じられたサウジアラビアでの1日も、実際に仕事が始まるとまるでジェットコースターのようにびゅんびゅん過ぎていく。

Saudi Arabia 6/22/2012
夜の間しか写真が撮れなかったけど、これが私たちがブースを出しているテント。

Saudi Arabia 6/22/2012
会場にはいくつもの巨大テントが連立していて、さながらアメリカ西海岸の Maker's Faire を彷彿させる。

このサイエンスフェスティバルは、Saudi Aramco Cultural Program と呼ばれており、Saudi Aramco の社会貢献活動として行われている(Saudi Aramco は、名実ともに世界一のオイル産出会社であり史上最大規模の「企業」)。今回のミッションは、ここサウジアラビアに私たちがふだんエクスプロラトリアムで行っているものづくりのワークショップを現地で雇われたファシリテーター達とともに行い、彼らをエクスプロラトリアム流のファシリテーターとして育てること。ワークショップをこども達に提供するうえで、現地の若手ファシリテーターを育てることが主目的。

Saudi Arabia 6/21/2012
これは初日の写真。大混雑しすぎてもろもろのことがアウトオブコントロールとなった。。

2日目以降は立て直して、今は本当にスムーズに気持ちよく現地ファシリテーターと一緒にワークショップをしている。いろいろ書きたいことはあるけれど、とりあえず毎日が学びの日々だ。自分のコンフォタブルゾーン(安全地帯)を少しはみ出て、少し勇気のいることをしてみる。そんな小さな実践が自分の中で続いている。

Saudi Arabia 6/22/12
地球半分くらいの距離を移動しても、まだ価値観やパッションを共有できる人達と出会えてうれしい。この中のひとりの青年が今年から MITメディアラボのミッチェルの研究グループへ留学するのだそうだ。私、日本でしていた仕事がつながってアメリカにきて、こうして出張の機会を与えられてその先で日本にいた頃めちゃくちゃ影響を受けた海外コラボレーターとつながる人に出会っている。
なんて small world !

サウジアラビア3日目

2012-06-19 15:56:27 | サウジアラビア
いまだ開催されないフェスティバル。
3日目は私たちの休日にするべくホテルでのんびり過ごす。

夜になって、知り合ったばかりの現地ファシリテーターの女の子とそのお兄さんとみんなでビーチへ。サウジアラビアでのビーチ、といっても女性は水着になって泳げるわけもなく、ビーチでもアバヤ着用。車を降りると、外はまるでサウナのような湿気。肌が喜んでるのがわかるけど、とにかく蒸し暑い。海水は温かく、数人泳いでいる人を見かけたけどもちろん男性のみ。


サウジアラビアに来てびっくりすることの連続。
女性の行動はずいぶん制限されてるなぁと感じる(それはイスラム教徒でない私が言っても単なるおせっかいなのだろうけど)。レストランは女性の入り口と男性の入り口が分かれているし(通常レストランには女性用に家族ルームという部屋がある、つまり家族同伴でないなら女性はレストランに出入りできないということ)、カフェでコーヒー買うときも女性用、男性用と分かれている。当然、女性は車の運転もできないから、現地ファシリテーターの女性達はみな運転手の車で出勤する。頭も顔も、目も隠して、体全体からつま先まですべてを真っ黒におおった女性達がふつうにそこらじゅうを歩いているのを最初に見たときはやはり驚いたものだ。


浜辺でライトペインティングをして遊ぶ。
アバヤの中を汗がツトーッと落ちていくのがわかる。ここサウジアラビアに来てから、アバヤを脱げるのはホテルの自分の部屋だけ。部屋から出るときは(例えば朝食をとりに階下のレストランに行くときも)必ずアバヤ。ホテルにはプールやジムもついているのに、これはみんな男性用。女性はそういうものを楽しむことはできない。ここでは女性がプールで水着で泳ぐなんて、、、もってのほか、という感じなのだろう。


夕食に食べたサウジアラビア料理 Mandi(マンディ)。tandoorという特別な巨大釜のなかで炊いた羊のお肉とライス。同席したサウジ人達はみな器用に手でつかんで口の中へ放り込んでいく。

いやぁ、これも実際にやって見るとカルチャーショック。
手で食べる、のは分かるけれど、こんな脂っこい、しかもつかみにくいお料理を手で食べる??やってみるとすごく難しい。手や口のまわりを油でギトギトにしながらも、つかんではパラパラと落ちていくお米の粒を手のひらであてがいながらハグハグと食べてる自分のことがなんだかケモノのように思えるもの(もちろん私が下手なせいだけど)。テーブルもイスもなくて、カーペットの上にビニールシートをしいて、あぐらで車座になって食べる。もちろんパラパラのお米はそこらじゅうに落ちているわけだけど、誰も気にしない。

サウジアラビアは私にとって本当に「異国」!
日本とアメリカ間のカルチャーショックがなんでもないように思えるほど、ここの国は今まで訪れたどの国とも違う。現地ホスト役や、現地ファシリテーター達との交流をとおして、もーっと深く正しくこの国のことを理解したいと思う。

サウジアラビア2日目

2012-06-18 15:56:52 | サウジアラビア
時差ぼけと長旅、気温45度からくる暑さによる疲労、いろんなものがマックスになって死人のようにぐっすり寝て翌朝を迎えた。


明け方ホテルからの景色。砂と湿気で目の前が海なのに、すべてがかすんで見える。

サウジアラビア2日目:
この日も国全体が皇太子の死去のために喪に服しており、予定されていたサイエンスフェスティバルは開催されず。仕方ないので同僚と11時にロビーに集合し、ワークショップの買い物に。ファンと、延長コードと、こまごまとした文房具品など。

ここ Al Khobar の街は、マクドナルド、スターバックスをはじめ、大概のアメリカで見るチェーン店が揃っている。IKEAもあったし。大きなショッピングモールがいくつもあり、サウジの人々の最大のレジャーはショッピングというのもうなずける。

午後になって、がらんとした空っぽのフェスティバル会場へ。
開催が延期になったけれど、せっかくの1日をムダにしたくないために急遽、現地のファシリテーター達を招集して少しだけワークショップの予行演習のようなものをすることに。
Saudi Arabia 6/16/12
急な呼びかけにもかかわらず、5人が集まってくれた。

フェスティバルの会場は複数の巨大テント。ただ開催前なのでエアコンがきいておらず、中は蒸し風呂のよう。それでも黒いアバヤを着なければいけないのは本当に辛い。ただ、アバヤの下にはタンクトップとハーフパンツという何とも楽ちんな格好をしていたわけだけど(この暑いのにジーンズとか履けないよー)、今日ばかりは下に水着を着ておけばよかった、、、と思ったくらい暑かった。背中から胸から、汗が流れ落ちていくのを感じる。

Saudi Arabia 6/16/12
ダンボールでオートマタをつくる。
外国人でイスラム教徒でない私は頭にスカーフを巻かなくてもいいけど、こちらの女性はみなアバヤ+スカーフ。みんなはきっとエアコンが効いているものと思って足を運んでくれたのだろうに、この暑さに申し訳ない。

でもそんなの忘れちゃうほど、みんな熱心に自分のオートマタをつくっていた。
私たちのワークショップはみんなで同じように同じものをつくるのではなくて、枠組みだけ与えてあとは自分の好きなようにデザインしてつくっていく、というスタイル。だから最初にみんな「あ、こうしたい」というアイデアがあり、それをするにはどうしたらいいのかと考えて、試して、失敗して、、、をくり返して、ようやく自分の作品につくりあげていく。みんな驚くほどすぐに没頭して、熱心に取り組んでくれていた。

ここに来て本当によかったと思ったのはあるファシリテーターがこう言ったこと:

「手で考えるということを、長い間忘れていたし、してこなかった」

サウジアラビアで私たちのワークショップや tinkering はどう受け入れられるのだろう。このファシリテーター達を見てたら、少し光が見えた気がした。

サウジアラビアにいます

2012-06-16 20:12:51 | サウジアラビア
サンフランシスコを出てから36時間、ようやくサウジアラビアの目的地に到着しました。案の定時差ぼけで目が覚めてしまったのでこれを機にブログを更新。忘れないうちにいろいろ記しておこう。

■ハプニング:
乗り継ぎの飛行機に乗り遅れた。

サンフランシスコ(米国)→パリ(フランス)→リヤド(サウジアラビア)→ダマン(サウジアラビア)という旅の行程でトータルでも24時間ぐらいで目的地のダマンへたどり着くはずだったのに、リヤドでの乗り換えに失敗。というのもリヤドでのサウジアラビア入国審査にとても時間がかかったから。乗り換えの時間は1時間半しかないのに、入国審査の列は遅々として進まず。結局、夜10:30に出発するはずだった飛行機に乗れもせず、私たちが入国審査を終えたのは11:00、、、。乗り継ぎをのがした人はスタンバイカウンターへ行き次の飛行機の空席を待たなければならないのだけど、もう夜も遅いのにカウンターは飛行機に乗り遅れた人でごった返し。私と同僚は2人でそのまま空港ステイ、翌朝一番のフライトが出るまで空港のベンチで夜をあかしました。なんてこった。


(リヤド空港)

家を出てから36時間後、ようやく目的地のまずはホテルへ到着。ものすごくホスピタリティのあるホテルで快適。このままベッドに倒れ込みたいところ、ささっとシャワーを浴びて私たちより数日先に現地入りしていたボス達と、他の同僚とやっと再会!本来ならボス2人は私たちと入れ違えで現地を発つ予定だったのに、私たちが1日遅れて到着したためこの後のアムステルダムでの仕事を延期してもう1日サウジにステイすることに。飛行機に乗り遅れた時点で、ボスとテキストメッセージ/電話で状況報告をやりとりしていた時は気づかなかったのだけど、現地で会えた時、分かりました。なんだかとても心配されていた(じーん)。

■食事:
それから現地ホストの方々とランチへ。

テーブルもイスもなくて、カーペットに座り、床の上で食べる伝統的なサウジアラビアのスタイルでランチを頂きました。


同僚達。
女性はアバヤという黒い衣装を着ないといけませんが、外国人は頭と顔を覆うスカーフはしなくてもよいのだって(ほっ)。それでも気温40度を超える中、私も着てますこの黒いアバヤ。暑い。


もうすごく眠くてランチよりホテルで寝ていたかったのだけど(笑)、お肉料理(ラム、チキン)を中心としてごはんはとてもおいしかった。ハマスにピタパン。そしてアルコールは一切ない代わりにサウジシャンパンという伝統的なソーダ水には青リンゴとレモン、ミントが涼しげ。

■サイエンスフェア(仕事)
ランチの後は、今回のメイン目的であるサイエンスフェアの会場へ。
数日前からエクスプロラトリアムのデベロッパー達が現地入りしていて、会場をセットアップしていてもう準備万端。これからここで6週間にわたり年に一度のサイエンスフェアが行われるのです。エクスプロラトリアムはこのイベントに招待されていて、ものづくりや tinkering をメインとしたワークショップを行うことになっています。現地からもサウジアラビア人のファシリテーターを雇っていて、ボス達が数日前からその人達に向けてトレーニングをしています。

Saudi Arabia 6/15/12
(これはその時の写真だそう)
現地の女性はみなアバヤ、頭にはスカーフ。顔は隠している人と、そうでない人がいます。みなとても明るく、やる気があり、親しみやすく、チャーミングでプレイフルなのだそう。

Saudi Arabia 6/15/12 Saudi Arabia 6/15/12
私も今日現地ファシリテーターに会う予定でしたが、またまた予期せぬ出来事があり、まだこのファシリテーター達に会えていません。

■サウジアラビア皇太子の死去
その出来事とは、サウジアラビアのナエフ皇太子の死去です。そのため、今日から開催されるはずだったサイエンスフェアが急遽開催を延期に。オープニングは4日後まで延期となりました。そんなわけで、今日はぽっかり空きができました。

あぁ、すっかり夜が明けてしまった。窓をあけると、もわっとした熱気。
あたりは砂漠地帯。部屋のテレビをつけるとメッカからの生中継でイスラムの祈りの歌が流れている。

どれだけ遠くにきたのだか。。