フランク・ザッパの肉体は消滅したが、今年もザッパ・ファミリーの手によって「新譜」が届けられた。
まずは「FEEDING THE MONKIES AT MA MASSON」と題されたアルバム。シンクラヴィアを
使ってつくった曲ばかりで、個人的には最も苦手なタイプのザッパ。86年の「JAZZ FROM HELL」
以前の録音で、後の「CIVILIZATION PHAZE Ⅲ」に収録される曲もある。と、書いてはみたものの
個人的にはあまり有り難味を感じることができない(笑)。発売が9月頃だったので、3Dジャケットを
見ながら、「あと1ヶ月早くリリースされたら良かったのに」なんて思ったのが、もう3ヶ月前である。(笑)
今年の本命はコレだ。
掲載写真は71年10月11日におこなわれた2回の公演を収録した4枚組「CARNEGIE HALL」。
この時期の所謂フロー&エディー・マザーズの演奏は6月のライブを収録した「FILLMORE WEST,JUNE 1971」「PLAYGROUND PSYCHOTICS」、8月のライブ「JUST ANOTHER BAND FROM L.A.」で聴くことができる。
フロー&エディ・マザーズの評価というのは、実はそんなに高くないのではないだろうか。
先に挙げたアルバムが今ひとつ散漫な印象があるのと、FZ以外にフロントに立った二人が「歌って踊って喋れる
デブ」である(笑)のと、もっと言えば派手な演奏(印象でもよい)のメンバーがいないというのもある。
だが今回の4枚組を聴くと、そんな印象は変わるだろう。つまり「フィルモアのマザーズ」も「L .A .から来たバンド」も
LPという収録時間の限られたフォーマットだったが故に、フロー&エディー・マザーズのステージの面白さというか
全貌を捉えることができていなかったのだ。50分近くに及ぶ壮大な『BILLY THE MOUNTAIN』は、時間が
長ければ長いほど、何を言いたいのかさっぱりわからなくなるのだが(笑)CD4枚分の尺があれば、
この冗長な大作の収まる余地もあるというものだ。エインズレー・ダンバーの「如何にも」なタムまわしも
この時期ならではのお楽しみだ。
前座で登場したパースエイジョンズの演奏が収録されているのも、当日のライブに参加したような気分に
させてくれて気が利いている。アカペラでドゥー・ワップを歌うパースエイジョンズはザッパに見出され、当時のFZのレーベル「STRAIGHT」からアルバムを出したこともあり、現在も活動を続けている。
彼らは2000年にアカペラでFZの曲をカバーした
アルバム「FRANKLY A CAPPELLA」をリリースしている。これがFZファンなら思わず笑いがこみ上げるほど
面白い。3度クレジットされている『INTERLUDE』では、FZのアルバムで度々聴くことができる、
不用意で不注意なノイズ(笑)を、そのまま真似している。『ANY WAY THE WIND BLOW』に至っては
ボーカル・パート以外のところも口真似する箇所があり、それはまんま小学生の頃の私達がやったのと
同じようなもので、これを大ベテラン・グループが大真面目にやっているのかと思うと、その潔さというか
おおらかさというか懐の深さに感心せずにはいられない。(笑)
それにしても、この後のザッパは大変な目に遭うのだ。モントルーで機材を火事で消失し、その数日後には
ロンドンで客にステージから突き落とされるのだから。
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