HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

恋の歌

2014-07-21 09:51:11 | 日本のロック・ポップス

昨日は日がな一日何をしていたかというと、ずっとプロレスのDVDを見ていた。
何でそんなことになったのかわからないが、たまたま見たミル・マスカラスとアブドーラ・ザ・
ブッチャーの試合に感じ入ったために、次々と見続けたのだ。大好きだったブルーザー・
ブロディーのことを考えていたのも遠因かもしれない。

テレビ放送を録画したり、YouTubeにあがっているものを編集したりのDVDには私が
よく見た時代までのものしか収録していないので、最近のいやここ10数年の事情にはトンと
疎いが、まあいい。プロレスにそれなりのストーリーがあるのは今では周知の事実であるが、
それでも肉体のぶつかり合いと、見る者に「怖さ」や「痛さ」を感じさせるところの「リアル」に
今更のように感心する。

今なら苦し紛れの反則でベルトを防衛するチャンピオンや、両者リングアウトなんてのは
見る側に許されないのだろうが、改めて昔の映像を見れば、今ほど派手では無いものの
肉体の軋みというものは確実に存在した。マスカラスとブッチャー、或いはかつてタッグを
組んでいたスヌーカとブロディーの殴り合いというのは、もうそれを目の当たりにするだけで
非日常なのだから、私にとってこれは紛れもなくロックンロールなのだ。

藤波や武藤(ムタ)の試合運びの上手さや、橋本の男気溢れる試合に今更のように
目を奪われ、今ならわかる猪木の山師ぶりに感心しつつ、気が付けばその猪木に翻弄され続けた
前田にもシンパシーを抱いた10代の自分の思い出を、心の中で反芻していた。

掲載写真はデビュー45周年の遠藤賢司の新作「恋の歌」。
もう、ジャケットの美しさにやられてしまった。

全ての歌は恋の歌だという思いで作られた盤が美しくないわけがない。
中学生の頃であろうと、相方がいる今であろうと誰かに何らかの好意を持つという気持ちに
変わりはないし、おそらくはそのほとんどはこちらの思惑通り都合よくいかないところが
また美しいのかもしれない。純粋な気持ちも不純な気持ちもそれを抱いた自分の正直な
気持ちに他ならないのだから。

エンケンはかつて「プロレスを八百長と言うヤツは、人生において八百長をしていないと
言い切れるのか。」という思いで『輪島の瞳』という歌を作った。当たり前だがプロレスを
八百長だと思ったことは一度もない。プロレスも人生も大河ドラマなのだ。終わりを迎える
までに訪れる何百何千もの荒波を如何にかわしていくか、という意味合いで同義かもしれない。

今回のアルバムはアコースティック・ギターとピアノの弾き語りであるが、バンド編成で
エレキをかき鳴らす音と比べて何ら聴き劣りすることのない、優しさと力強さが溢れている。
カーステ向きではない(笑)が、何度でも聴き返したいアルバムだ。

タイトル曲『恋の歌』で歌われる正直さには本当にヤられた。そして『小さな日傘と大きな日傘』に
込められた想いを自分のものとしたい、と思った。

そして、今年もエアコンは買わないことに決めた。




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2 コメント

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Unknown (col)
2014-07-21 21:33:39
ハリーさん

お久しぶりです

「パリ・テキサス」の様な映画を観て”ああいう男のヒトって最低だし、映画としてもつまらない”って言われると、プロレスが八百長だと言われたような気になるなあ、と何の脈略も無く思いました

いろんな意味で反論しない方がいいのでしょうね、どちらにも
Unknown (ハリー)
2014-07-22 19:14:21
colさん

W杯終わっちゃいましたね。何だか拍子抜けした大会
でしたが、それなりに楽しみました。不満があるとすれば
ゴールデンボール賞をとった人でしょうか。(笑)

私個人としては「パリ・テキサス」で、ロード・ムーヴィー
という言葉を知りました。はっぴいえんどでない映画の
方が強く印象に残るというか、好きなのはひねくれている
からかも。(笑)サントラも買いました。

大勢の意見(特に女子がいる場合)には、反論せずに
ニコニコ笑って「そうかあ。」なんていっている自分に
自己嫌悪することが多々ありますが、土俵いや
リングが違うぜ、と心の中で呟いています。

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