藤田敏八監督の82年の映画「ダイアモンドは傷つかない」は、田中美佐子を目当てに見た。
映画での山崎努演じる不良中年に憧れる女子大生という図式は、当時の私には全く理解できなかったが
今でも女性がどんな男性に憧れるかなんてのは、全く予想がつかない。当たり前か。
映画の中で田中美佐子が街中のレコード店に入る場面がある。今現在、街中のレコード店にどれほどの
需要があるのかは計り知れぬが、当時は私も大いに利用した。馴染みの女主人にはよくしてもらったものだ。
で、店内には「ナイアガラ・トライアングルVOL.2」のポスターがでかでかと貼ってあるのだが、
当時このレコードはよく売れたように記憶するし、シングルとなった『A面で恋をして』は私も好きだった。
この曲がバディー・ホリーの『EVERYDAY』を下敷きにしていることに気がつくのは、かなりの時間が
かかったのだが、それを知ったのはエリオット・マーフィーがカバーした『EVERYDAY』を聴いた時だった。
勿論、単純に私はマーフィーの選曲とアレンジのセンスの良さに唸り、より多面的に件のシングルを
楽しむことができるようになった。
「ナイアガラ・トライアングルVOL.2」を気に留めたのは、佐野元春が参加しているからであった。
佐野主導の曲にはデビュー時から佐野を支えた伊藤銀次がギターやコーラスで参加しているのが、古くからの
ナイアガラ・ファンには感慨深いものがあったと思うが、当時の私はそんなことは知る由もなかった。(笑)
ここで聴くことができる『彼女はデリケート』は、この1曲のためだけに、この盤を手にした価値があったと思うほどの
出来で、私の大好きな曲となった。アルバムと同時にリリースされたシングル盤は冒頭の語りがカットされた
バージョンなのだが、語り好き(笑)の私としては、やはりアルバム・バージョンが好きだ。
コーラスにラッツ&スターのメンバーが参加しているのは、レーベル関係やかつての大瀧詠一との関係とかが
上手く機能したためであろう、そのために実に楽しい出来になっている。曲の途中で『TWIST & SHOUT』の
フレーズが挟み込まれるのも、洋楽の深みに填り始めた私には格好よく思えたものだ。
佐野が沢田研二に楽曲を提供していることは知っていたが、高校生当時の私はジュリーのシングルは
気にしても、とてもアルバムまでは手が回らなかった。後にCD化された時に飛びついたのがコレだ。
ジュリーの「G.S. I LOVE YOU」は80年のアルバム。
これがG.S.出身のジュリーが『P.S. I LOVE YOU』に引っ掛けたアルバム・タイトルだというのは
すぐにわかったが、ビートルズを聴いていなかったら、こんなわかりやすい捩りに気がつくのも遅かっただろう。
このアルバムには佐野作の『THE VANITY FACTORY』や『I'M IN BLUE』と共に『彼女はデリケート』が
収録されている。ブルース・ブラザーズっぽい曲のアレンジが格好いいのだが、全体に妙なエフェクトを
かけすぎなのが、今思えばちょっと不可解ではある。ジュリーの歌唱のハジけ具合が強烈なだけに
そう思うのだが、それでも曲の良さは変わらない。単に私が当時好きだった誰かを、曲のイメージと被らせて
いるだけなのだろうけど。(笑)
このアルバムにはジュリー自身の曲に加え、かまやつひろしや加瀬邦彦といった当時のG.S.仲間が
曲を提供しているのも面白く、そんな中でもシングルになった『おまえがパラダイス』の出来は群を抜いていて
シングルというのは重要なのだなぁと再認識したものだ。
そう言えば、大瀧作の『あの娘に御用心』も佐野作の『彼女はデリケート』も、共にジュリーのための
書下ろしである。後に作者がセルフ・カバーしたという共通項があるのが、何だか美しい偶然のように思えてきた。
あれから30年。
えっ、30周年?。それに関しては興味が無いのだなぁ。(笑)
もう30年経つんですねぇ。
俺も田中美佐子が目当てでした。
『丑三つの村』も。
あれから30年。早いものです。(笑)
おお、流石はイケダさん。「丑三つの村」も
見ていましたか。密かに「私的日本映画100選」
も進行していまして(笑)、当然ランク・インしております。あの映画の暗い猥褻感と閉塞感は、
なんとも言えず、古尾谷雅人の狂気にはゾっとしました。私も、もうすぐ古尾谷の没年を超えることに
なります。
アヘイ、アヘイ、ってところやAメロもモロだし、、何で今まで気が付かなかったんだろう?
ありがとうございました(笑)
それにしてもこんなかわいい曲を下敷きにして大ヒットさせましたね
化粧品CMに使われていましたもんね
機会があれば、エリオット。マーフィーのバージョンも聴いてみてくださいね。いいですよ。(笑)
資生堂のCMでしたね。
個人的には、実はこの次の『いけないルージュ・マジック』のほうが印象が強烈でした。(笑)
エリオット・マーフィーの聴いてみました
やけにエイトビートですねー、新鮮でした
当時の日本の化粧品CMって、作り手のクリエイティヴィティはあったんでしょうが、マーケティング的なフォーカスはゼロですね
化粧品なんて買うハズもない層にここまで衝撃を与えておいて、買う層にはそこまでのインパクトが無かったんでしょうから(笑)
ところでTレックス、、シッカリ押さえていないだけに妙に惹かれます
マーフィーのバージョンは何というか、わかりやすくて、すんなり馴染んじゃったという感じで
好きです。(笑)
仰るとおりだと思います。広告屋の好き放題というか、遊び心満点なところは面白いのですが、
果たして使われた「CMソング」が商品の実売増に
役立ったかどうか・・・・。
宣伝写真を見ると、アルバム・ジャケに使われた
写真がブックレットの表紙みたいなので、
もうそれだけで「買い」なのです。(笑)