HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

鷹魚 剛 / おぼろ街叙景

2005-07-16 10:16:40 | THIS SONG
02年にCD化されるまで、簡単に聞くことができなかった
鷹魚剛の1STアルバム「蛇行都市」。私もCD化されるまで
未聴であったのだが、何故かシングル盤を
持っていた。しかも100円で買ったことまで記憶している。
「ユピテルなんて会社の権利は誰が持っているのだろう、
こんなのCDにならないよなぁ。」なんて思っていたので
たまたま見つけたシングルは珍しく何度も聴いた。

先に書いたようにCD化されたことで私もアルバムを
聞くことができた。アルバムを通して何度も聞くと、
不思議とこのシングル盤のカップリング、というより
A面、B面のふりわけに疑問を持つようになった。

シングル購入時からA面曲、「おぼろ街叙景」がダメであった。
日本のフォークの、個人的に一番相容れない曲調、歌詞、音なので
最初は、「ああ、フォーク歌手なんだなあ。」と思ったものだ。
B面が水谷公生のギターと武川雅寛のヴァイオリンが快調な
ロック・アレンジだっただけに、フォークのシンガー・ソング・ライター
という面を強調しての売り出し方だったのが何となくわかる。

この2曲、アルバムではB面の「日暮しの啼く朝」がオープニングで、
最後の曲がA面の「おぼろ街叙景」という配置である。
アルバムの流れに沿って聴くと、あまり好きでなかった「おぼろ街叙景」が
絶妙の配置でうまく収まっていることに気がつく。単体で抜き出すより
アルバムの流れで聴けばいい曲と思えるなんていうのは初めての体験だ。

しかし。たいてい、シングルを買ったリスナーはA面を繰り返し聞くし、
ラジオが放送するのもA面だろう。これでは、当時そこいらに溢れていた
フォーク、いや後に「ニュー・ミュージック」と呼ばれるジャンルの
狭い世界に収束し、その筋の聴き手にしか届かなかったのでは?。
「ジャックス」や「裸のラリーズ」を引き合いに出した紹介文も
効をなさない。最もそれを頼りに聴いたとしても、轟音ギターしか
聴き所を見つけられないタイプのラリーズのファンは
すぐに放り出してしまうのは間違いない。
この2曲にはさまれたアルバムの残り8曲に聴き所が多いだけに、
シングルのA面の選択として「おぼろ街叙景」に不満がある。
つかみとしては、解りやすいロックの「日暮しの啼く朝」のほうが、
アピールした可能性があるだけに。

長々書いたが、アルバムは日本ロック・フォーク史に残る傑作である。
不思議な詩世界、フォークやらサイケやらロックが混じった音、
バラエティに富んだ曲調・・・。ピンク・フロイドのファンは4曲目の
「NOBODY」にニンマリ。情報の多くないことが、アルバムや曲の神秘性に
拍車をかけるが、2枚目が全くつまらなかったというのも不思議な
アーティストである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« SF / プロセス | トップ | ああ、またしても・・・ »

コメントを投稿