掲載写真左はアイズリー・ブラザーズの23枚組CDボックス「THE RCA VICTORS
& T - NECK ALBUM MUSTERS」。59年から83年までの活動のうち、モータウンに在籍した時代を含む
62年から67年にリリースした4枚のアルバムは収録されていない。
ビートルズのカバーで知られる(という表現も変な感じだが)『TWIST & SHOUT』を収録した
同タイトルのアルバムや、モータウンでの『THIS OLD HEART OF MINE』を収録した
同タイトルのアルバムが含まれていないということなのだが、それらは今も
単体で廉価で入手できるので、この箱を手にするような人には特に不満も無いだろう。
世間の大方の評価に漏れず、彼らが自身のレーベルであるT - NECKの配給権を
ブッダからCBSに変更した73年から78年辺りの時期のアルバムが好きである。
そうはいっても、83年に出た「BETWEEN THE SHEETS」の艶っぽさも好きで
あれを実用(笑)した人もいるのだろうな、などと今更のようにニヤける。
83年盤の後にメンバーは分裂しボーカル組と演奏組に分かれてアルバムを
出し続けるのだが、今回のボックスで美味しい処のほぼ9割は手に入るという
考えに異論は少ないだろう。ボーナス・トラックの数が84曲(!)というのも
素晴らしく、数年前のニルスンのボックスを想起せずにはいられない。
今回の箱の最大の目玉は掲載写真右の「WILD IN WOODSTOCK」と題された
ベアズヴィル・スタジオで80年に録音されたスタジオ・ライブ盤であろう。
ヒット曲にヒット・アルバムを出すことを会社に要求され続け疲弊が始まった時期に
ライブ・アルバムを出して時間稼ぎをしようという考えが前提にあったものの、
様々な音楽的要素のコントロールがし易いスタジオで過去曲の生演奏を収録して
後から歓声を被せるという案の下に録音されたのが「WILD IN WOODSTOCK」。
会社から却下されリリースは見送られた音源だが、歓声を被せることもなく
スタジオ・ライブの形式で録音されたこのCDから飛び出る音は新鮮で緻密。
アイズリーズの演奏の上手さ、歌唱の上手さに改めて感動する。勿論曲の良さにも。
全12曲中、半数以上の曲が過去に何らかのボーナス・トラックで既出であるが
未発表テイクを加えてまとまった形で出たことの意義は大きい。
余り気乗りがしなくて、今まで聴いてこなかった(今回初めて聴いた)ジミ・
ヘンドリックスとのセッションを収録した「IN THE BIGINNING」も個人的に
今だから楽しめるという感じで、今回聴くことができてよかった。
「THE ISLEY BROTHERS LIVE AT YANKEE STADIUM」と題されているものの
肝心のアイズリーズは17曲中4曲しか歌っていないというライブ盤も、こんな
機会でもないとなかなか出会えない。
79年から81年あたりの盤を聴くのも初めてだったので、私には本当に便利な
一組となった。
気になっている、このボックス。
やっぱスタジオ・ライブが気になります。6人組時代の、タイトな演奏は格別ですからね~
これだけ別売りして欲しいくらいです。
収録されているアルバムの枚数を考えれば、コスト・パフォーマンス的には合格なのですが、それでも既に所有している盤の枚数を考えれば人によっては割高なボックスということになりますよね。
スタジオ・ライブだけでも単体ででたら、という気持ちも
わかります。