ケメという女性は多才な人である。勿論、多才は多彩と書くこともできる。
ちょっと懐かしいような、私からすれば気恥ずかしいようなメロディーに歌詞を乗せ
アコースティック・ギターを弾くSSWの側面があれば、エレキギターに強烈な
エフェクトを効かせてサーフ・バンドを牽引する。どちらも嫌いではない。(笑)
個人的な趣味を押し出せば、サーフ・ギターの音が好きなので今回は発売された
ばかりのトーキョー・キラーの「トーキョー☆キラーストリート」を取り上げる。
12年に4曲入りの7インチがリリースされたが、今回は待望のフル・アルバム。
とはいってもCDだと11曲入りで収録時間は、わずか30分ちょっと。この潔さが
かつてのサーフ・インスト・バンドのようで短いと感じつつも燃える。(笑)
往年の名曲に混ざってメンバー作のインストが4曲あるのだが、その出来が不足ないので
違和感なく聴きとおせる。勝手な物言いだが、サーフ・インストの曲のメロディー・ラインを
書くのはそれほど難しくないと思っている。メロディーの改変や曲の起伏を少し捻れば
参考になる過去曲から何曲もできる可能性が容易にあるからなのだが、それをバンドの
音として完成させるとなると、これが難しいのではと考えるのだ。そう思えばここでの
メンバーのセンスは素晴らしいということになる。おっと、そこに付け加えれば
オリジナルの4曲を4人のメンバーが1曲ずつ持ち寄っているというのも素敵だ。
サーフ・バンドが取り上げるお馴染みの曲の中に混じって、琴線を擽るのが頭脳警察の
『真夜中のマリア』のカバー。出演が予定されながら叶わなかった昨年の「UNTI
CHRISTMAS」にケメが参加していたらこの曲が演奏されたのだろうか。なんて想像
してしまうのだが、それはともかくここでのギターと鍵盤の組み合わせが絶妙で
実に怪しくも艶っぽい。リンク・レイの『SWITCHBLADE』を取り上げているのも
渋い。
ケメは絵的にも可愛らしいので、この音で夏フェスなんかに出れば強烈な印象を
残すのでは、なんて下種なことを考えてしまう私は阿呆なのだが、愛聴盤になるのは
間違いない。DVD出ないかなぁ。(笑)
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