HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

AND I'LL SCRATCH YOURS

2013-11-01 00:01:46 | ROCK

掲載写真はピーター・ガブリエル名義のアルバム「AND I'LL SCRATSH YOURS」。
ピーターは10年に様々なソングライターの作品をとりあげたカバー集「SCRATCH MY
BACK」をリリースしたのだが、今回の盤は企画の意図としてはピーターにとりあげられた
ミュージシャン達が今度はピーターの曲をカバーするというものであった。

残念ながらピーターがとりあげたミュージシャン達の中で、ニール・ヤング、デヴィッド・
ボウイ、レイ・デイヴィスといったところが参加しなかったのだが、それでもアルバム自体は
聴き応えのある盤に仕上がっている。

実のところ、私はピーター・ガブリエルのアルバムは6、7枚くらいしか持っていないのだが
基本的にカバー好き(笑)なので、今回の企画には興味が大いにあった。
どの曲もカバーしたミュージシャンの個性が強烈に反映されているので、カバーした
ミュージシャンのファンはともかく、ピーターのファンからは賛否が別れるのは間違いないが
それがカバー集の宿命であり、ハナから完コピなど望んでいないのだから、なるべく
多くの個性を楽しむべきだろう。

それでも、やはり個人が贔屓にいているミュージシャンの演奏は気になる。
結果としてルー・リードが発表した生前最後のトラックとでも言えるのが『SOLSBURY HILL』。
実は個人的に最も好きなピーターの曲でもあるので、これはどんなカバーになるのか
楽しみだった。

さて聴いてみると・・・。これがいかにもルー・リード。原曲の持つ美しいメロディーの起伏の丘が
ごつごつとしたルーのギターによって荒涼とした大地になった、という感じでルー・サイドに立つと
納得だが、ピーター・サイドに立つと疑問なところもあるかもしれない。
でも、これがルー・リードなのだ。
ほとんどノイズの延長のような、音数が少ないが持続音の長いギターは、ささくれだった
環境音楽のようにも思えるのだが、今思えばルーは35年以上も前にノイズで環境音楽を
つくっていたのだなあ。

ルーの『SOLSBURY HILL』の次(アルバムの最終曲でもある)は、ポール・サイモンの
『BIKO』。オリジナルは神々しくも重厚な光を放っていたが、ポールのバージョンは、なんというか
蓮の華に座る慈悲の心を持った仏様の教えを聞いているような気分になる。

他にも音像の歪み?が気持ちいい『SHOCK THE MONKEY』や、清涼感漂う『BLOOD OF
EDEN』等、聴き処は多い。何度も繰り返して聴くことはないだろうが、時折思い出したように
聴きたくなる類の盤である。


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2 コメント

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oh! アンパンマン (tapara)
2013-11-03 01:03:20
Harryさん、

ルー・リードの『SOLSBURY HILL』は、らしい曲調に
なってます。これが彼の最後の軌跡かもしれまへんが、
少し納得。

ところで、彼の奥方がローリアンダーソンとは知らなかった。ほかにも知らんこと多いんだろうな。

荒涼感の『SHOCK THE MONKEY』も秀逸。
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アソパソマソ (ハリー)
2013-11-03 18:15:34
taparaさん

ルー・リードは08年にローリー・アンダーソン、ジョン・ゾーンと共に「THE STONE ISSUE THREE」という盤を出しています。これが、何とも面倒くさくていいのです。(笑)

『SHOCK THE MONKEY』、いいですよね。
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