HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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THE RED CRAYOLA / SOLDIER-TALK

2007-04-17 21:50:59 | ROCK
見つからなかったパズルの一片が遂に埋まった、そんな感じである。

79年に発表された、レッド・クレイオラ3枚目のアルバム。
権利関係でCD化が遅れたアルバムで、アナログも容易に見つからなかったので
嬉しい再発である。

2枚のアルバムを発表した後、10年近くの沈黙の後メイヨ・トンプスンが
拠点をロンドンに置いて世に問うたアルバムは、当時のパンクや
ニュー・ウェーブの中でも、最高に緊張感に満ちた音と硬派な歌詞が全編に貫かれた
アルバムであった。
特に凝った音つくりではないが、単純に鋭さを演出するために高音を強調している
くらいで、そのぶん発売から30年近く経った今も古ぼけることなく
聴くことが出来る。フリクションの「軋轢」のような音の肌触りといったら
語弊があるだろうか。ただしリズムやメロディが複雑に絡む様は、
性急なリズムとスピードを求める方には、不向きかもしれない。

キャリアのほとんどが刺激的といっていいのだが、この時代のレッド・クレイオラは
殊更刺激的だ。この「ソルジャー・トーク」にはペル・ウブの全メンバーが
参加しているのが好き者の琴線をくすぐるだろうし、その後に発表されたシングル
ではレインコーツやスウェル・マップスのメンバーを巻き込んで、英国シーンに
傷跡を残す。英国パンクやNWを語る上で、ここいらの動きを見逃すのは
なんとももったいない話である。
幸い、シングルの数々は今では編集盤「SINGLES」で簡単に聴けるし、
限定500枚で今では入手困難かもしれないが「LIVE IN PARIS 」(78/12/13収録)と
併せて聴くと、より立体的にこの時代にレッド・クレイオラが残した音の
素晴らしさが解かると思う。

何故英国まで行かなければならなかったのか、NYにはメイヨ・トンプスンの
理解者はいなかったのか、という疑問が沸いては来るのだが今となっては
この素晴らしいアルバムが残されたことと、こうして容易に聴くことが出来るように
なったことを本当に喜んでいる私がいる。


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