掲載写真はブライアン・ウィルスンのトリビュート盤2枚。左の盤は90年に出た「SMILES ,VIBES ,
& HARMONY」。古き良きアメリカン・ロック、ポピュラー・ミュージックという枠でビーチ・ボーイズを
好きな人には承服しかねる盤かもしれない。まあ、それは右の盤も同じで、それだからこそこうして
私の手元にあるというわけなのだが。ラモーンズのおかげでビーチ・ボーイズのポピュラリティーは
更に拡がり延命し、ジョン・スペンサーのおかげでエルヴィス・プレスリーの影響は更に遠くへ拡がり
現在に繋がると、自己中心的に解釈し満足している私のような阿呆には最適なトリビュート盤である。
冒頭に配された『DANCE DANCE DANCE』を歌うのは、あのハンサム・ディック・マニトバ。もう
これだけで嬉しくなるというか笑ってしまう。何せあのディクテイターズのボーカリストなのだから。
ザ・レコーズが演奏する『DARLIN』というのも渋い。コーラスを含めて丁寧にカバーしていて、
後付け上等なのだがパブ・ロックの雰囲気が出ているのが憎めないところ。
この盤を手にした方々にとって目玉となったのは、ソニック・ユースが演奏する『I KNOW THERE'S
AN ANSWERS』ではないだろうか。「PET SOUNDS」収録の名曲のコーラスをつけるのが
ドン・フレミングとJマスクスというのが時代というか、ファンには堪らん組み合わせである。(笑)
この盤の最後を締めるのはニッキ・サドゥン。私的には「PET SOUNDS」を超える名盤「SMILY
SMILE」から『WONDERFUL』を選んでいて、このカバーが実にクール。音数が少ない中、
キラキラしたギターが占めるパートと猥雑にサックスが鳴るパートの対比が素晴らしい。
私が無知なだけなのかもしれないが、全体的にそれほど知名度の高くないミュージシャンが多く
大体においてそういう場合は出来の悪いカバーが多く収録されがちなのだが、この盤は
選曲は通好み出し、演奏は皆素晴らしいので私は大好きだ。
右の盤は00年に出た『CAROLINE NOW ! THE SONGS OF BRIAN WILSON AND
THE BEACH BOYS」。ギター・ポップ(そんなジャンルがあれば、だが)とかいう名称で一括りに
なりそうな人たちの名前が目を惹く。ユージン・ケリー、ノーマン・ブレイク、ジャド・フェアー、更には
アレックス・チルトンなんて名前もある。
通好みなのはセント・エティエンヌがカバーした『STIEVIE』だろう。ビーチ・ボーイズの
未発表曲で名前のとおり題材はスティーヴィー・ニックス。微妙な題材(笑)なので、今後も
オフィシャルで出そうもないのだが、そんな曲を選ぶところがこのバンドらしい。
この盤の最後に登場するのが、何とキム・フォウリー。ビーチ・ボーイズの思い出を語った後に
穏やかに歌う『ALMOST SUMMER』を聴くとなんだか気分が落ち着く。歌い終わってブライアンに
メッセージを投げかけ盤は終わる。
このトリビュート盤も粒ぞろいの演奏で満足できる。大事なのは「愛」なのだ。
ところで、「愛」って何だ?。(笑)
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