goo blog サービス終了のお知らせ 

HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

BOB DYLAN / HURRICANE

2005-01-06 22:41:54 | THIS SONG
ディランを聞き込み始めたのは
かなり遅かった。バンドで一丸となって
音を出す楽しさを自分でも体験すると
なぜか「バンド幻想」とでもいおうか、
ツアーやレコーディングの度に
メンバーが変わるということ自体が
私の中で低い位置にあったのだ。
「追憶のハイウェイ61」でさえ、当初は購入して
一度聞いたのみで押入れ行きであった。
哀れな10代の私・・・。(笑)

真剣に聞くようになったのは、友人の家で酒盛りしながら
レコードを聞いていくうちにディランの「欲望」に出会ってからだ。
かなり酔っ払っていたはずなのに、どんどん覚醒していくのが
わかった。「欲望」というより冒頭の「ハリケーン」に
やられたのだ。A面が終わり盤を裏返そうとした友人を制し、
もう一度かけてもらったのが昨日のことのようだ。
「ハリケーン」の話は知っているだろう?

F、C、Gという循環コードにAmが入ったことが日本人好みかも
しれないが、全体はアグレッシブである。録音時のドラム・セットに
組み込まれていたチャイナ・クラッシュは、ボクサーのフックの
ように体にきいてくるし、スカーレット・リヴェラの天翔ける
ヴァイオリンが気分を高揚させる。
ディランの歌唱の良さは勿論だが、韻の踏み方が冴え渡る。

You'll be doin' societry a favor
That a sonofabitch is brave and gettin' braver.
極めつけは
jailhouseとmouse、advanceとchance、slumsとbumと連続で
踏んだあとのこの歌詞である。
And to the black folks he was just a crazy nigger.
No one doubted that he pulled the trigger.

ディランは実話を元にした歌詞だけに慎重で、レコーディング終了後
事実でない部分を知らされて、再レコーディングをしてこの
曲を完成させている。それにしてもこの大量の歌詞(何せ8分32秒の曲)
の中で、ここまで格好よくライムを踏むディランには絶句する。

無実のボクサーが黒人で、陪審員は全て白人であったことが
歌詞に出てくるが、将来日本においても陪審員制度が開始されるという。
つまらない差別や偏見で、結審することがあってはならない。
ルービン・ハリケーン・カーターはミドル級だった。
ボクシングで一番面白いのはミドル級だといわれる。
ロベルト・デュランを思い出して欲しい。
日本ではミドル級は重量級にあたる。このクラスのチャンピオンは
出ないとさえ言われたが、1995年12月19日竹原慎二がWBA
世界ミドル級チャンピオンになったときの試合はよく覚えている。
そんなことまで思い出させる曲である。


コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャックス / この道

2005-01-04 22:24:51 | THIS SONG
68年発売のジャックス4枚目の
シングル。
ジャックスのアルバムは入手困難な
時期があって、ベスト盤「レジェンド」しか
入手が容易でなかった。
1985年の話である。

今ではジャックスのオリジナル・アルバム2枚は
カタログに残っているが、それらを購入しても
この曲を聴くことは出来ない。
先のベスト盤かシングルを買うしかないのである。
ライブ・テイクは多く残されており、私家盤「LIVE 68'7'24」
アナログ「エコーズ・イン・ザ・ラジオ」、それをCD化した
ジャックスCD BOX収録の「ジャックス・ラジオ・セッション」
69年のライブ「ジャックス・ショウ」で聴くことができる。

ジャックスの中ではあまりにポップであるとか、早川義夫自身が
気に入ってないとかで、軽い扱いの曲ではある。
しかし。シングル盤である。ポップス上等、広く聞かれて
なんぼである。水橋春夫のキラキラ光るリード・ギターに
うねるベース、きれいなメロディ、なんの不足があろうか。
嵐の晩は好きだし、海の底は静かだと思うけど、それだけが
ジャックスではない。水橋作の「時計をとめて」と同様に、この
切ないメロディもジャックスなのだ。

愛されてばかりいるとどうなるかは、後に井上陽水が歌ってくれた。
私はこの曲の歌詞が大好きである。
「あなたを信じはしないが 愛することと待つだけ」

この曲のB面は「からっぽの世界」である。
東芝はこの曲をシングルのB面として2度リリースした。
(タクト・テイクもA面で2度リリースされている)
この曲の重要性を鑑みてのことだろう。
が、この曲の歌詞のためにLP再発、CD再発が遅れたとしたら
かなり犯罪的だとは思わないかね。

拝啓EMI殿。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CHRIS SPEDDING / GUITAR JAMBOREE

2005-01-04 21:10:27 | THIS SONG
邦題「夢のギター・ジャンボリー」。
76年、ロックンローラーとして
再デビュー(!?)となるアルバム、
「天才クリス・スペディング登場」に
収録された有名曲で、日本でも
シングル・カットされた。

セッション・マンとして様々なアーティストのレコーディングに
参加したクリスが、ロック史に残る名ギタリストの
フレーズを真似る、楽しい曲である。
最初に登場するのが、アルバート・キング。ここで私は
初めてあることに気が付いた。アルバート・キングのフレーズを
聴いて、「あれ、別のアーティストで聴いたことあるフレーズだ。」
そう、クリームの「ストレンジ・ブリュー」のソロと同じなのだ。
若き日のクラプトンが、憧れのブルース・マンのフレーズを元に
ソロを組み立てたというのは、なんとも微笑ましい。
そう思うと同時に、アルバート・キングのこのフレーズが
収録された曲を知りたいという、強い欲求にもかられたものだ。
皆さんご存知の「クロスカット・ソー」ですね。

チャック・ベリー、ジミ・ヘンドリックスとつないで、唯一
登場するベーシストは盟友ジャック・ブルース。
企画モノだけにアラはいくらでもある。ピート・タウンゼンドは
「ピンボールの魔術師」のフレーズだが、全盛期というか、
この曲を録音した時のピートはカッティングの数がもっと多い。
クラプトンは「いとしのレイラ」だが、ECはもっとロー・ポジションで
このフレーズを弾く。まあ、これはキーの問題だからいいか。
キース・リチャーズが登場してからは、曲のバッキングがずっと
「ブラウン・シュガー」状態となる。愛してるぜ、クリス!(笑)
傑作なのがチョーキング一発のポール・コゾフ、
アームをぐいぐい使うだけのデイヴ・ギルモアだ。
スタジオ・バージョンでは登場しないが、ライブでは
ロバート・フリップまで登場する。

最近のギタリストで付け加えるとしたら誰を選ぶか?という問いに
クリスは「エドワード・ヴァン・ヘイレンと、イングヴェイ・
マルムスティーンは試したがうまくいかなかった。
他の若いギタリストはこの二人と似てるだろ」
と答えている。なるほど・・。

クリスの物真似?はさかのぼること6年、1970年のアルバム、
「BACKWOODPROGRESSION」収録の「SESSION MAN」に端を発する。
ここではJBやモータウンのバック・トラックで聞かれるような
ギター・カッティング、スティーブ・クロッパーや
リッチー・ヘブンスらの物真似を聞くことが出来る。

ロック者は更に2年さかのぼってエリック・バードン&
ジ・アニマルズの「モンタレー」も楽しめるだろう。
ラビ・シャンカール、グレイトフル・デッド、
ジミ・ヘンドリックスらのフレーズが楽しめるし、何より
ザ・フーが歌いこまれるところで、ドラムスが喧しくなるところが
ポイント高い。(笑)
何れ、アルバムも紹介したいクリス・スペディングであるが、
まずはこの1曲。(写真はフランス盤)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BRUCE SPRINGSTEEN / BORN TO RUN

2005-01-01 21:58:07 | THIS SONG
ラジオ(AM,FMどちらでもいい)って
今でも有効なのだろうか?
いまや、ほとんど聴くことが無いのだが
高校生まではよく聴いていた。
ラジオでON AIRされる曲を沢山聴くことが
ロックの大山脈のなかから、宝の鉱脈を見つける
一番の早道だったからに他ならない。

高校2年のとある日曜日の朝、NHK-FMを聴いていると
とてつもない曲が流れてきた。イントロからエンディングが
終わるまで痺れっぱなしである。声で歌っているのは
ブルース・スプリングスティーンであるのはすぐわかったが
曲名がわからない。時代的にいって「ザ・リバー」は発売されていて
これは友人が持っていたので聞かせて貰ったことがあり、
「ネブラスカ」は発売前であった。ディスコグラフィーの
類は見ていて「BORN TO RUN」というアルバムの存在は知っていた。

歌詞の中に遂にタイトルが出てきた。
「BABY,WE'RE BORN TO RUN」。ああ、これがBORN TO RUNか。
曲が終わるとしばらく考えて、庭で花に水をやっている親父に
頭をさげた。今まで親父に頭をさげたのは、この時ただ一度である。
「今すぐ、欲しいレコードがある。どうしても今すぐだ。
金がないので、来月の小遣いを先にくれないか?」
何故かわからないが、私がレコードを買うことを快く思ってなかった
親父がすぐに金を渡してくれた。
もちろんすぐにレコード屋へ行った。
何故かシングル盤を買う発想は無く、すぐにLPを手にとった。

アルバムはもちろん最高だったがやはりこの曲だ。
後にスプリングスティーンのこういう発言を知る。
「ディランのような詩を書き、フィル・スペクターのようなサウンドで
デュアン・エディのようなギターを弾き、ロイ・オービスンのように
歌おうとしたんだ・・。」
その全てがこの曲に集約されている。ロイ・ビタンのピアノ、
クラレンス・クレモンズのサックスが曲に熱気を与え、
BOSSのギターは適度にリヴァーヴがかかり、
なにしろロイ・オービスンより激しく歌う。
曲中には緩急をつける箇所があり、登りつめたかと思うと急降下する・・・・。
この曲はアレンジが派手なように見えるが、これでも結構
そぎ落とされているのである。完成直前のアウトテイクを聴くと
ボーカルはダブル・トラックで、女性コーラスやストリングスは
もっと大々的に使われ、ミックスも大きく収録されている。
そのバージョンもやたら格好いいのだが、それもこれもこの圧倒的な
オフィシャル・テイクを耳にしているからこそ言える話である。

歌詞も素晴らしかった。
見たことも無いアメリカの、長いハイウェイが容易に想像できた。
大した目的意識もなく学生生活を送っていた、田舎者の私にさえ
「俺達が望むあの場所に到達するんだ。いつか陽の当たる場所を歩くだろう。
その時まで俺達は走るために生まれてきたんだ。」という歌詞は、
異様な高揚感と、連帯感をもたらしたものだ。

今でもこの曲は大好きで、よく聴く。
が、ハイウェイは何処にも無く、自分は走るために
生まれてきたのではないことに気がつくのに大した時間はかからなかった。
それでも、死んでしまったジョニー・サンダースのように
「失うために生まれた」わけではないと思いたい。
願わくばキース・リチャーズじゃないけれど
「走らされる前に歩き出したい」と思っている。




コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

THE DAMNED / NEAT NEAT NEAT

2004-11-13 20:15:47 | THIS SONG
「パンクのレコードっていうとまず最初に何が想い浮かぶか?」
酒の席で唐突に、こう訊かれた。飲んでいようがいまいが、こういう会話はいつも唐突に
始まる。しかも去年の話である。(笑)ロックを聴きはじめて3年目くらいの中高生の
会話ではなく、いい歳をした大人の会話である。

クラッシュのファンだったので「ロンドン・コーリング」か何かを答えとして
挙げたように覚えているが、何か釈然とせず、
帰りの電車の中でいろいろと思い巡らせた。
「ダムドかデッド・ボーイズの1ST、だな」、
と結論に至ろうとしたのだが、
「いや、パンクならシングルだろ。」ということで、
最終決定されたのが、
ダムドのこのシングル盤である。邦題は「嵐のロックンロール」。性急でやかましく、2分40秒で
全てが片付く、1977年リリースのダムドの2枚目、スティッフ・レーベル10枚目のシングルとして
世にでた。これからスーパーマーケットに強盗にでも入ろうかという、白黒のジャケットが
なんとも格好いい。ニック・ロウがプロデュースした1STアルバムのプロモーションとして
これほど打ってつけの曲は無い。(1STシングルのNEW ROSEはその約4ヶ月前の発売)

1STアルバムで「誰にも感謝しない」と77年に相応しいサンクス・クレジット
で突っ張ったにもかかわらず、インナー・スリーブの写真は
エディ&ザ・ホット・ロッズの物が誤って使われたという、間の抜け方がその後のダムドの
迷走ぶりを象徴している気がして好きなエピソードである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする