12/07/28 澤瀉屋の襲名披露公演前楽夜の部(2)少人数だが饒舌だった「口上」


【二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車襲名披露 五代目市川團子初舞台 口上】
六月の澤瀉屋一門勢揃いの口上に比べ、七月の口上は5人と少人数だったが内容は濃かった。
冒頭は新橋演舞場の入り口に掲げられた襲名披露の4人の口上姿の写真看板だが、猿翁は登場せず、市川宗家の團十郎、海老蔵で5人。猿翁は同じ夜の部に襲名披露演目の「楼門五三桐」があるのでこちらに出なくてもよいようになっている。

口上の口火を切るお役をなんというのかと思っていたら、渡辺保氏の劇評に「引き合わせ」とあった。ネット検索してさらに調べたら、襲名する者を観客に引き合わせる役目ということからきているらしい。六月の引き合わせは藤十郎、七月は團十郎ということになる。上方と江戸の歌舞伎役者の二大名跡にお願いしたわけだ。これはさすがなのである。

一番印象に残ったのは、新猿之助の口上で先祖は毛利藩の蒔絵師で身上をつぶして役者になったということだった。そのDNAで新猿之助は書画ともに能筆なんだと思い当った。そして喜熨斗亀治郎の代に九代目團十郎に引き立ててもらったというくだりで、今回も当代團十郎の引立てが大きかったということにつなげているのかと感心した。

そこを確認したくて「猿之助 先祖 蒔絵師」でネット検索したところ、SwingingFujisanさんが初日の口上の内容を詳しくアップしてくださっている記事がすぐに見つかった。前楽のこの日も大体似たような内容だった。

とにかく、團十郎は饒舌に澤瀉屋の代々との関係を語り、團子ちゃんも娘ぼたんのところに弟子入りしてお稽古を積んできたので、今回の襲名は他人事とは思えないと熱く語っていた。
これは中車が息子を日本舞踊を市川宗家に習わせているという話が早くから聞こえていたので、知らない話ではなかったが、ここまで入れ込んでもらえるようになっていたというのはものすごいことだ。新猿之助、中車ともに実に人脈づくりがうまいとつくづく感心した。

海老蔵も妹思いの兄であるらしいし、その妹に弟子入りした團子ちゃんも可愛がってくれるだろう。香川照之と映画(海老蔵主演の「出口のない海」)で共演した時に、彼から歌舞伎界への想いを聞いていたということで、それを実現させるために力を貸してくれたのではないかと思われる。
市川宗家の弟子筋である澤瀉屋が宗家の成田屋とうまく組んでいけば、歌舞伎界の中でバラバラでいるよりもよい座組みで公演ができるというものだ。
ロンドンやパリ公演での共演も、三代目猿之助から早くに「四の切」「伊達の十役」を継承していたこともここにつながってきている。

とくに團十郎が熱く饒舌に語り、そのハイテンションの中で5人がしゃべる口上は熱が入り、予定時間より10分以上伸びていたようで、上演時間の予定表とかなりずれた進行になっていて驚いた。
けれども、これからも成田屋、澤瀉屋が組んだ面白い舞台が観られることが期待できると思えた口上だった。

7/28澤瀉屋の襲名披露公演前楽夜の部(1)「将軍江戸を去る」「楼門五三桐」
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コメント
 
 
 
Unknown (SwingingFujisan)
2012-08-19 09:14:30
ぴかちゅう様
おはようございます。
リンク、ありがとうございます。
7月の口上は人数が少なくても、アツく心温まるものでしたね。とくに團十郎さんのお人柄がよく表れていて微笑ましく拝聴すると同時に、おっしゃるようにこれからも澤瀉屋とうまく組んで、よい舞台を見せていただきたいと思いました。
新猿翁さんも新猿之助さんも書画の才能は、ご先祖からのDNAだったんですねえ。そういう才能の全然ない私はただただ羨ましく思っています。

PS 「思い出のメロディー」のカメちゃんの司会、よかったですね。私が大好きな歌謡曲をカメちゃんも好きというのは大変嬉しいことでした。
 
 
 
★SwingingFujisan様 (ぴかちゅう)
2012-08-25 01:33:19

拙記事にもご訪問を有難うございますm(_ _)m
18日夜の「NHK第44回思い出のメロディー」で亀ちゃんが司会をしているのを見ながら、勢いづいて2本連続で記事アップしてしまいました(^^ゞ
>書画の才能は、ご先祖からのDNA......新猿翁さんの絵もけっこう上手でしたが、新猿之助さんの絵と書は「亀博」の展示で舌を巻きました。BS朝日の「京都1200年の旅」でも京都でお盆の上に砂などを使って描く芸術があり、その場で習って描いてみせた作品は教えた方も驚くくらい上手でした。毎回最後に色紙に書く書の筆遣いにも感心させられています。
團十郎さんの真面目な人柄にも魅力を感じています。そういう宗家の成田屋ともども澤瀉屋がよい舞台を見せてくれるだろうと確信をもてた公演でした。
 
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