ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/06/11 『功名が辻』ついに「本能寺」

2006-06-11 23:58:23 | テレビ
司馬遼太郎原作の『功名が辻』は放映開始後の評判が今ひとつだった。
ひとつは、信長や秀吉などの主要キャストが年取りすぎだという感想が多かった。でも若い人を起用すると最後の方に無理が出てくるわけでどちらをとるかということだから、私はまあ許容範囲かなとみていた。
もうひとつは、まるで普通の恋愛ドラマ・ホームドラマみたいで大河ドラマらしくないという感想。私は仲間由紀恵を主役に起用した以上、普通のドラマで見せる魅力がここでも生きればいいし、大石静が脚本を書いているので女の脚本家らしい細かい人間関係の機微が味わえるドラマになることを期待していたのでけっこう面白がって観ていた。
山内一豊自体は、武士らしく生きたいと槍働きでは誰にも負けないという気概をもち、まっすぐな気持ちを持った男。その反面としてあまり賢くはない。先を見通すという頭もないが、とにかく千代は優しくまっすぐな気性に惚れこんでいるのだ。上川隆也が賢くはないが千代が惚れるのも無理はないという男をとても魅力的に演じてくれている。
そのふたりのやりとりがとにかく微笑ましい。千代が夫に馬を買うためのお金をひねり出して差し出すという有名なエピソードのところも、とってもおかしくてホロリとさせられる場面となった。

そこに家出したいた信長の正妻・お濃(和久井映見)がいあわせて立ち聞きしていたというのが重要なポイントになっている。キーワードは千代の言葉、「私も妻という立場でともに乱世を戦って生きとうございまする」。それでお濃は迷いをふっきって信長の元に戻っていったのだ。

信長の舘ひろし。安土城を築き天下をあと少しで我が物にするという時期にさしかかった信長をかなりエキセントリックに演じて注目が集まっていた。「わしは死なぬ」「わしをあがめよ」とか叫んでもそれが似合うような狂気じみた信長。
そして今晩、ついに「本能寺の変」だ。

明智光秀は、「朝廷さえ不要で自分こそがこの国の王だ」と言い出したり家康の前で自分を辱めたりした信長を討つことを決意。
秀吉の中国攻めへの出陣要請を受けて西に向かった信長が京都で「本能寺」に陣を張ったところを急襲した。戦には奥方を連れて来ないのが常のはずだが、本能寺にはお濃も一緒にきていたという設定。信長はお濃に女たちを連れて落ち延びさせる。
通常は寝巻姿で刀で応戦するという姿で描かれるところを今回は寝巻の上に短時間でつけられるだけの甲冑をまとって鉄砲で応戦。そこにお濃も戻ってきて一緒に闘う。「あの世で会おうと仰せになれども、あの世では殿は地獄で私は極楽。これでは死に別れでございます」という台詞がなかなかぐっとくる。先に銃弾に倒れた信長は奥に連れられていくが、お濃は敵を中に入れまいと奮闘するところを光秀の前で銃弾に散っていく。予想をしなかった事態に動揺の表情を隠せずに「帰蝶さま~」(お濃の幼名?)と叫ぶ光秀。
奥での自刃の場面、銃弾に肺を貫かれたらしいヒューヒューという鳴る呼吸の中で「夢まぼろしの如くなり」と喉をかき切る。火の手の回りは速く信長の首は光秀に渡ることはなかった。
見事、見事。

この本能寺の変を知らせる毛利への使者を一豊が偶然とらえて毛利への情報を断ち切って和睦を有利に結ぶことができたために、有名な「大返し」が実現。一豊は秀吉にとって運をよびよせる軍神のような存在として描かれている。
これからいよいよ秀吉の天下取りに入っていく。最後の最後は千代の助言で徳川につくから土佐藩主になれるんだよな、一豊くん。
夫婦の絆、強し。仲良し、うらやまし。
大河ドラマの公式サイトはこちら
写真は上記のサイトより「本能寺」舘・信長(持つのはサーベル!)と和久井・お濃(帰蝶の別名から衣装も蝶の模様入り)
追記
向こうからの光(天界からの光?)を浴びながら洋装のマント姿で天国への階段を上る信長のイメージ映像。ベルばらのマリー・アントワネットの断頭台シーンをふと連想してしまった。うーん。VIVAエンタメ大河!


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4 コメント

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夢幻の如くなり (スキップ)
2006-06-13 01:00:37
ぴかちゅうさま



コメント&トラックバックありがとうございました。

三津五郎贔屓でどうしても光秀に肩入れしてしまうのですが、舘・信長の鬼気迫る熱演も光りましたね。

濃姫が身分を隠して一豊の家にいて二人の話を立ち聞きするとか、浅井に嫁ぐ前のお市と千代の係わり合いとか、大石静さんの脚本はほんとにうまくメインの話に千代や一豊をからめていくというカンジです。

信長や光秀とお別れするのは寂しいですが、今後の展開も楽しみですね。
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ヨカッタ! (かしまし娘)
2006-06-13 08:33:19
ぴかちゅう様、まいど!

今年の大河は原作を読んでなかったら、うっちゃってただろ~って感じなんですヨ。

これからまた新たな時代へ突入する。って事は新たな人物が出演する。ということで楽しみ~。



>和久井・お濃(帰蝶の別名から衣装も蝶の模様入り)

OH~!そうでありましたか!



>洋装のマント姿で天国への階段を上る信長のイメージ映像。

私は劇団☆新感線を連想!かといって何の舞台か具体的にパッと思いつかなかったんですが…
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皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-06-14 01:40:39
★「地獄ごくらくdiary」のスキップさま

三津五郎さんの光秀はスタート時、近藤正臣とかかつての光秀らが見ている中で緊張されたようです。当初地味な感じがしたのでちょっと心配でしたが、もう見事見事!

>大石静さんの脚本はほんとにうまくメインの話に千代や一豊をからめていくというカンジ.....ホントそうですよね。山内一豊とその妻で本当に大河ドラマになるの??という心配を払拭してくれています。

その夫婦像が可愛いったらないですよ。さあ、いよいよ秀吉の天下取りにどうついていくかですが、柄本さんの怪演も毎回楽しくて仕方ないです。

★かしまし娘さま

私も古本屋で見つけたら原作本読もうと思ってます(^^ゞ

前進座の嵐広也くんの加藤清正を楽しみにしてます!

★「豆若茶房」の若菜さま

お初のTB、有難うございます。

>「信長が死んだ。ワシはそれだけで良いのじゃ。」という光秀の台詞.....これが全てを表してましたよね。天誅としての信長討ちで換わって天下をとる気がないという人物造詣。それを三津五郎さんがうまく演じていました。来週で姿を消してしまうのがちょっとさびしいです。

義昭役の三谷幸喜さんもほんのちょっとの出でしたが、楽しませていただきました~。

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遅くなりました・・ (若菜)
2006-06-14 08:34:05
ぴかちゅうさんへ



こちらにも改めてコメントさせていただきます。

ご指摘のあったように・・やはり私、台詞書き間違えていました。

(昨夜、気になって・・もう一度『本能寺』見てみました。)



ぴかちゅうさんは、歌舞伎以外もいろいろな舞台をご覧になるんですね。

私は・・ハマッたら・・とことん行く派なので・・そんな自分が恐ろしいです(笑)



私は坂東三津五郎丈のファンなので・・ブログも偏りがち(もう偏ってます)ですが

こんな私でよければ・・是非また遊びにいらしてくださいませ。



私もちょくちょく寄らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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