ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/05/16 『メタルマクベス』ようやく感想(^^ゞ

2006-06-10 23:58:10 | 観劇
青山劇場にて新感線☆RS『メタルマクベス』の東京初日を観劇。ようやくの感想アップなので恐縮(^^ゞ
劇団☆新感線を観た3本めの舞台。新感線☆の後の「R」はロックで「S」はシェイクスピア。彼らの初めてのシェイクスピア劇の上演だというのも期待が増す。

高校時代にKISSを日本武道館に聞きにいった私。カーペンターズから入ってビートルズはすっとばしてQUEENに行ってビジュアルからKISSにも行った。だからヘビメタロックも抵抗なし。
クドカンの脚本は、シェイクスピアのマクベスの物語を未来の時代設定にした上でさらに1980年代のある架空のジャパメタバンドのお話と時空を超えてリンクさせる。まるで昨年私がハマったTVドラマ『タイガー&ドラゴン』が現代と落語の江戸の世界を行ったり来たりしていたのと同じようだ。
「タイガー&ドラゴン」の感想はこちら
魔女たちの煮る鍋は林○△×のカレー鍋のパロディ。お揃いの真っ赤なmiki houseのロゴ入りのトレーナー姿。右近健一が○△×役?それがおかしくてとてもキュート。
主要キャストはまるでKISSメンバーのような衣装で登場。役の名前もエレキギターの名前のパロディのようだ。上條恒彦の殺されるレスポール王役のそういう姿、ロック調ではないが響き渡る歌声が予想を上回ってよかった。
将軍ランダムスター(マクベスにあたる)の内野聖陽は二枚目から三枚目のかなり幅が広い演技を要求されて一生懸命に三枚目をやっていて思わず何度も笑ってしまった。歌も『エリザベート』初演の悲惨なレベルを克服してきたことの延長上にはあった。さらにいつの間にあんなに太ってしまったのか。透けてみえる衣装からお腹の肉のだぶつきが見えてしまっている。二枚目が太ることに厳しい私はここでイエローカード。
夫人の松たか子も酒井若菜みたいなしゃべり方をさせられていたが、実は私ああいうのは気持ちが悪くて大嫌いなのだ(今も小野妹子のTVCMダメ)。ラブホにありそうな丸いベッドの上で夫妻が幼児言葉で甘えあうような場面、おかしいのはおかしい。しかし私は違和感があって繰り返して観たくはない。
今回の夫人像はまるで『モーツァルト!』のコンスタンツェみたいだった。わがままな奥さんで夫を破滅に追い込んでしまい、狂気の中に夫にそれを謝る場面があってそれはそれで可愛いのだけれど、私のマクベス夫人のイメージとは違うのでやっぱりダメ。
なんでこの作品には深く入り込めないのだろうとずっと考えてきた。まず、マクベス夫人の人物造詣に違和感があるというのが大きいと思う。次に内野聖陽は真面目に演技していてそれがずれているというくらいがいいのだと思う。あそこまで顔をくずして笑いをとることが似合う役者ではないように思うのだ。
友人エクスプローラー(バンクォーにあたる)の橋本じゅんの方がカッコいいと思ってしまった。ロックバンドのメンバーで出てきた時のKISSのジーンみたいな内腿が露出する黒パンツ姿が魅力的~。

それと今回初見のふたり。森山未來(マルカムにあたる)と北村有起哉(マクダフにあたる)が予想以上によかった。おふたりとも素顔はあまり二枚目とはおもわないが、化粧栄えがすると思う。森山未來は氷川きよしのパロディでタップダンスを踏みながら踊るところが上手くて唸った。もう少し宝塚風のくどい顔の拵えが似合うようになると化けるんじゃないかな。

最後はその森山くんにカッコよく決めてもらいたかったのに、城が破壊された時に死んでしまう。そして先にすっとばしてエクスプローラーの息子に王位が行ってしまう。そりゃあ予言通りになるっていってもねえ。奇しくも「そんな学級委員決めるみたいに王様決めていいのかよ」っていう台詞そのまま!原作からぶっとんだこのなしくずし的な終り方にも肩透かしを食って少しガッカリした。

というわけで、劇団☆新感線は『SHIROH』が激ハマリ、『阿修羅城の瞳』がダメだったので、3本めの今回はどうかと心配していたが全体的には杞憂だった。さすがクドカンで面白かったけれどちょっと物足りない。ゲキ×シネになったら観たいとは思うが、観劇リピーターにはなりにくいな。DVDも買わないと思う(^^ゞ
それよりも私の心は、来年の染五郎がリチャード三世にあたる役をやるという『朧の森に棲む鬼』に飛んでいる。大きい悪をおかしみも含めて魅力的に演じることができるかどうかが問われてくるだろう。

何はともあれ、真聖さんと初日をご一緒できたのがよかった(いのうえひでのりが一番後ろの音響の操作スペースの前でチェックしていたし)。観劇後の4人でのミニミニオフ会も楽しかった。これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
写真は劇団☆新感線のサイトより今回の公演のイメージイラスト。
これまでで一番気に入っている『マクベス』=能楽堂でシェイクスピアシリーズの感想はこちら
追記
『メタルマクベス』の舞台装置で一番感心した電光掲示板についていろいろ考えてみた。私の観劇経験から字幕から画像までの進化を振り返り、別の記事で書いてみた。よろしかったらご参照くださいm(_ _)m
『メタルマクベス』の電光掲示板~字幕から画像までの進化を振り返る


最新の画像もっと見る

19 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おんなじ♪ (yaya)
2006-06-11 03:59:50
>劇団☆新感線は『SHIROH』が激ハマリ、

>『阿修羅城の瞳』がダメだったので、

>3本めの今回はどうかと心配していたが杞憂だった。



ワタシも~!!

SHIROHはゲキ×シネだったけれど、ハマりました~

阿修羅城はダメ(ーー;)

メタマクは、楽曲が結構ツボで、観終わったあとから

じんわり甦ってきたりしてます。



>森山未來(マルカムにあたる)と

>北村有起哉(マクダフにあたる)が予想以上によかった。

ここにも同感。



そして

>おふたりとも素顔はあまり二枚目とはおもわないが、

にも(爆)



ホントは、「4」まであるのですが、

怒涛の?観劇記1~3までトラばらせて頂きました。
★yaya様、怒涛の3本TB有難う!! (ぴかちゅう)
2006-06-11 16:30:23


4本目も面白いし、まだ続きそうで楽しみです。3本目では特にギターのあたりの解説が勉強になりました。私の高校には邦楽部があったのですが、いつも文化祭で三味線が上手いなあって思っていた先輩が同じ文化祭のバンドのところでギターに持ち替えて活躍していて、うーん、同じような楽器だからスイッチできるのねと妙に感心した記憶が蘇りました。

yayaさんの詳しいレポで細かいところまで蘇り、有難いですm(_ _)m
Unknown (なっちゃん)
2006-06-11 22:01:37
私も色々同意見です!(笑)

私は今回のが阿修羅城、アテルイ、SHIROH(同じくゲキ×シネ)に続いて4本目かな?(もう少しあった気もする)

でも、しばし新感線は・・・って気がしてます^_^;

ま、ファンの友達がチケット取りすぎて、というわけで「なんとなーく」行ってるような感じなのも少し問題なのですが。これを「長いなー」と感じている時点で私は合っていないのかも。帰りに他の人は「あっという間だったね」って話していたし(笑)
たぶんクドカン・・ (harumichin)
2006-06-11 22:57:46
TBありがとうございます。

いつもなら「新幹線を見た」という感触に触れるのですが・・今回確かに新幹線なんだけど・・・っと

かなり、微妙でした。

なぜなんだろう?

「クドカン」の脚色のせいかな?と、クドカンはどうもわからん!と彼の作品にほとんど「?」が付いてしまうため、今回もそこかな?っと。
まだ未見ですが・・・ (ゆき)
2006-06-12 09:17:22
ぴかちゅう様

おはようございます!



うっちぃファンの私ですが、今回は”新感線”という事で、ちょっと躊躇しました。

なので、今度の千秋楽に行って来ます!



みんなから「大音響だよ!」「ライト強いからね!」と言われて、ちょっと心配です。(笑)



初新感線なので、これもドキドキ

あ、ワタシも (うり子)
2006-06-12 22:16:20
QUEENにハマってました(笑)。生写真とかサインとか持ってたっけなあ(遠い目)。

ワタシは新感線☆初体験だったのですが、この演目はとても面白かったです。またミュージカルっぽいのを演ってくれたら見たいです。
滅茶苦茶に通っています! (いっちゃん)
2006-06-12 23:39:45
う~むむ。好み的にはやはり微妙だったのですね。『SHIROH』風なら○、『阿修羅城の瞳』風なら× と聞いていたので、どうかなぁと思ったのですが。まぁ △ ってところですか。

ワタシ的には『SHIROH』の様な、突き抜ける様な高揚感や身体中を満たす充満感は無いけれど、この作品なりの楽しみ方を観付けて、通い続けている真っ最中です。

それも後僅かになり、今は少しずつ寂しさも出始めていますが。
皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-06-13 02:13:49
★なっちゃん様

「アテルイ」は観ていないのですが、ゲキ×シネとかの上映があるなら観てみたいと思っている作品です。大和政権に追われた蝦夷の人たちの話に興味があります。他の劇団のミュージカルで観たことあるんですが、劇団☆新感線というか中島かずきがどう料理したかみてみたい。

今回の「メタルマクベス」は長さも許容範囲内でした(^^ゞ音楽もけっこうよかったし、面白かったですが、クドカン脚本の軽さからか「マクベス」としては物足りませんでした。

★harumichinさま

クドカン作品が??だと今回も苦しいでしょうね。私は大丈夫になりましたが、アハハハハと楽しく笑って後をひきませんでした。「マクベス」は能楽堂シェイクスピアシリーズが今のところ一番よかったです。

★ゆき様

「阿修羅城の瞳」なんて音ばかり大きくて歌詞もききとれないし、無駄に長いチャンバラはあるしで、それに比べたら軽い軽いですよ。クドカン作品だしね。歌詞も字幕が電光掲示板で全部出るからききとれなくても読み取れます!

うっちぃファンのゆき様には一見のある舞台だと思います。でも私はこの役を続けてくれなくていいと思うな。

★うり子さま

QUEENの生写真とかサイン.....それはス、スゴイです。とてもとてもそこまで気合が入ってはいませんでした。

それとシェイクスピアはホント翻訳で違いますよね。蜷川シェイクスピアは絶対はずさないようにしているので松岡和子さん翻訳のちくま文庫ずらっと並べています。ハムレットなんて一番新しい河合祥一郎版まで3人の翻訳本が....。だから冒頭の魔女たちが誰の本でいくのよっていう場面はとてもハマりました。

★いっちゃん様

そうそう、私には△といったところです。劇団☆新感線のファンにはたまらないでしょうねえ。私は青山劇場クラスではチケット代が高くてリピート対象にできません。「SHIROH」は帝劇だったからリピートしても許容範囲におさまるのですが(^^ゞ
メタルなマクベス (Unknown)
2006-06-14 08:11:32
まいど!

5月は怒涛の観劇でブっ倒れる寸前だったんですが、あのオープニングヘヴィメタ聞くと、己の体が完全復活した気分になるから怖い~(笑)

”高いお金払ってくれてるお客さんに、精一杯の物を見せる姿勢”を崩さない新感線ってイイ!
名前入れ忘れた! (かしまし娘)
2006-06-14 08:12:24
あ…名前入れ忘れた!ごめんなさい…

コメントを投稿