ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/01/31 「ゴールデンスランバー」は面白かったけど好みじゃないかな

2010-02-06 23:59:20 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

大河ドラマ「新撰組!」の山南役から注目していた堺雅人の映画の主演が続いているが、全部観るつもりはなく、これならばといいかなぁという作品を選んで観る。「南極料理人」はよかった!「ゴールデンスランバー」は冤罪サスペンス物ということでまぁいいかなぁと観てみたら・・・・・・。

【ゴールデンスランバー】
以下、MOVIXサイトよりあらすじ等を引用、加筆。
<あらすじ>
「伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説(Wikipediaの記事)を、「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」に続き中村義洋監督が映画化したサスペンス」
「凱旋パレード中に首相が暗殺された仙台、宅配ドライバーの青柳(堺雅人)は、久々に再会した大学時代の友人(吉岡秀隆)の謎の言葉を聞いた直後、警官から突然銃を向けられる。訳もわからず逃げ出した彼は、身に覚えのない証拠と見えない力によって無実の首相暗殺犯に仕立てられていく。絶体絶命の中、青柳は大学時代の仲間たちに助けられながら逃亡を続けるが・・・・・・」

あまり現代小説を読まない私は伊坂幸太郎という名前も初めて認識したくらい(^^ゞ興味がないことは視野に入ってこない方かも(笑)
政争の中で首相が暗殺され、その犯人に仕立て上げられる宅配ドライバーの青柳。妻の借金帳消しの代わりにその先棒を担いだ友人が、「お前、オズワルドにされるぞ」というわかりにくい言葉を使いながら必死に状況を説明し、逃げて生きろというメッセージを受け取って同乗していた車を出た途端に爆発炎上。その殺人の罪も負わされての逃亡が始まる。
なかなか緊迫感たっぷりで面白いスタートだ。数年前にアイドル凛香(貫地谷しほり)を助けて一躍注目されたとにかく人のいい男が、わけのわからない状況に追い込まれてパニクって情けなく、それでも友人たちや関わる人達が放っておけずに助けたくなるというキャラクターに堺雅人ほどハマル役者はいないだろうと思える。

オズワルド=ケネディ暗殺犯だが、本当の犯人は別にいてその身替りにされて消された男ということだが、警察は首相暗殺犯が逮捕できなければショットガンで撃ち殺してもいいという乱暴なやり方をおしすすめる。香川照之が主人公を追い詰める警察陣の指揮をとるのだが、これまた偏執的でいい。ところが最後になって、本当に犯人だと思っていたのが間違いだったと県警本部長(竜雷太)の一言で気づかされるところは実に皮肉が効いている。

青柳の無実を信じ、逃亡を助ける人たちとのドラマも実に面白い。タイトルの「ゴールデンスランバー」はビートルズの名曲由来らしいが、彼らのベストアルバムの赤と青バージョンに入っていない曲は知らないので初めて聞いたように思うし、私にはその曲への思い入れができない。とにかく大学時代のサークル仲間が信頼に結ばれていた共通の懐かしい思い出の象徴になっている。

その中の一人が指名手配中の通り魔殺人犯のキルオという設定が現実離れしている。演じる濱田岳はTVドラマの「3年B組金八先生」での生徒役が印象深く、彼のイメージで書かれた役らしく、その存在感も魅力のひとつになっているのだろうと思うのだが、やっぱりなぁ。

青柳の父役が伊東四朗で、マスコミの批判にも屈せずに息子は犯人ではないと言い切って、とにかく「チャッチャと逃げろ」というのがキーワードのようだった。
主人公は地方マスコミに公開取材をさせて無実を訴えようとするが、それも失敗。そこからはとにかく逃げる。彼を助ける人たちもとにかく逃がす。

その先は?青柳は逃走の末に海に浮かび、濡れ衣を着せようとする巨悪は暴かれなかった。ところが青柳は社会的には死んでも生きていた。途中でも出てくるが「整形」もまたキーワードになっている。彼を心配する人達には生存を知らせるので観ている方も少しは落ち着くのだが、なんだなんだ?この結末の肩すかし感にびっくりする。
感想未アップの「崖の上のポニョ」と同じエンディングの疑問「主人公の戸籍どうすんだよ~」(笑)(まぁ、戸籍と住民票でダブル管理している国は日本とその旧植民地国くらいらしいので戸籍制度も見直していいとは思っているのだが・・・・・・脱線m(_ _)m)
確かに、巨悪とは闘い切れるような状況ではない。だったらせめて「生き残ること」が庶民のとるべき最上の手段なんだろうなぁというように思うようにした。そうして初めてなんとなく落ち着いた。まぁ今の世の中的にはアリだろうねぇ。
しかし、カタルシスがないまま終ってしまうので、私的には好みではないかなぁ。
以上、ようやく書けた感想でしたm(_ _)m
<他の出演者>
竹内結子、劇団ひとり、ベンガル、相武紗季、大森南朋、ソニン、柄本明、香川照之、永島敏行、木内みどり、他
写真はこの作品のチラシ画像。