ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/03/19 三月歌舞伎座夜の部①「二人椀久」

2006-03-19 23:50:12 | 観劇
三月歌舞伎座夜の部を3/19に観劇。まず舞踊「二人椀久」の感想を書く。
富十郎・菊之助の初共演の舞台だが、私はこの舞踊も初めて。富十郎が長く組んだ雀右衛門とのコンビも観たことがない。イヤホンガイドでも新コンビと紹介されていたが、雀右衛門とのコンビはもう観ることができないのかもしれないのがちょっとさびしいな。
1つ目の演目との幕間に舞台写真を先に見る。最大の関心事は菊之助の顔の拵えが改善されているかどうかだ。あっ、よくなった!先月の「二人道成寺」の時の写真からすると格段によくなっていることに顔がニンマリとくずれてしまうほど喜ぶ。早速ひとりで写っている写真を1枚買った!

富十郎・菊之助のツーショットは...今イチなので見送り。やはり年の差が大きいのがもろに出ているのと富十郎さんってやっぱりタッパがなくて顔が大きくて写真だとちょっと見栄えがしないのだな~。

yukariさんが幕見したいというほどの舞台だし、楽しみにして始まり始まり~。
椀久の富十郎が花道から出てきてすぐにその動きの美しさに釘付けになる。3階東1列目の一番奥の席で観たのだが、上から見ると背の低さってあまり気にならないのだ(勘三郎の道成寺の花子も三階から見てほとんど気にならなかった背の低さをDVDで観て「撮影位置の違いでこんなに背が低いのが目立つの~」と驚いた経験あり)。顔の大きいのも表情の変化がよくわかるという長所に変わる!昔の人気役者は顔が大きいというけれどその典型のようなお方だ。松山太夫恋しさのあまり狂って座敷牢を抜け出したという狂気の姿からせつなさがあふれている。椀久の初演時には25歳だったというからおよそ50年も踊りこんでいるだけに全身の表現がもう椀久そのものという感じがした。これがナマの舞台の魅力なんだと痛感。おそれいりましたm(_ _)m

菊之助の松山が舞台の中央で椀久が気を失っている後ろをセリ上がってくるところで客席がどよめく。顔のメイクについても「二人道成寺」の舞台写真の時に勝手に書き散らしてしまったが、道成寺の後半から目頭から鼻筋にかけて黒のラインがきちっと伸ばされていて切れ長のお目目になってはいた。今回、さらに目尻の赤の入れ方もより改善されて相当艶っぽいお目目に!もう顔の拵えも合格だ~。椀久とからむ場面の表情も色っぽく、今まではあまり女の艶を感じなかった菊ちゃんに今回は大人の女を感じたのだった。拗ねて椀久を睨む目付きにもうなってしまう。これなら椀久が恋狂いするのも無理はないという説得力十分だ。今までふとした表情に姉の寺島しのぶにそっくりだなあと思うことがあったが、今日は母の富司純子が藤純子時代に壷ふりのお姐さんを演っていた頃の顔を思い出すことがあった。それだけ色っぽくなったということだろう。つまらない喩えでスミマセンm(_ _)m

富十郎との連舞でも見劣りをしないなんて思ってしまった。また菊之助はあまり背が高くないのもバランス的にいいのかもしれない。打掛や羽織を着せ掛けあったりする場面も息があってスムーズに美しく決まる。色里での相思相愛のふたりの情の濃厚なやりとりをたっぷりと見せてくれる。そんな松山との幻想から覚めた椀久の落胆の大きさもうなづける。
「二人道成寺」は玉三郎の胸を借りてつとめ、「二人椀久」は富十郎と組むという菊之助。今本当に伸び盛りだということなのだろう。この舞踊作品も内容が素晴らしいと思ったし、ぜひまたこのコンビで再演してほしいと思う。さらに成長した松山を見ることができるだろう。

5月歌舞伎座では菊之助の「保名」に海老蔵の「藤娘」がある。この二人、反対の方がいいんじゃないって思ったが、固定的イメージを持たずにいろいろな演目をやってもらいましょう。二人ともまだまだ若いのだからね。

写真は「二人椀久」の看板絵。