パピとママ映画のblog

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君の名前で僕を呼んで★★★・5

2018年05月18日 | アクション映画ーカ行

アンドレ・アシマンの同名小説を「日の名残り」「モーリス」の名匠ジェームズ・アイヴォリー監督が脚色し、「ミラノ、愛に生きる」「胸騒ぎのシチリア」のルカ・グァダニーノ監督で映画化した青春ラブ・ストーリー。北イタリアの避暑地を舞台に、17歳の男子高校生がアメリカからやって来た24歳の青年相手に生涯忘れることのできない情熱的な恋に落ちていく瑞々しくも切ないひと夏の出来事を、郷愁溢れる筆致で美しく繊細に綴っていく。主演は本作の演技でみごとアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた新星ティモシー・シャラメと「ソーシャル・ネットワーク」「J・エドガー」のアーミー・ハマー。共演にマイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール。

あらすじ:1983年、夏の北イタリア。両親とともに毎年夏休みを過ごしている田舎のヴィラへとやって来た17歳のエリオ。彼はそこで、大学教授である父がインターンとして招いた24歳のアメリカ人大学院生オリヴァーと出会う。自信に溢れて自由奔放なオリヴァーに最初は苛立ちを覚え、つい反発してしまうエリオだったが…。

<感想>インディ映画ながらも今年のアカデミー賞では、4部門にノミネートされた作品。脚本を書いたジェームズ・アイヴォリーが見事にオスカーに輝いた物語で、17歳のエリオの初恋を描いたこの作品は、人の心を鷲づかみにするように、あまりにも切ないラブストーリーになっていた。

物語は、イタリアの美しい田舎街、避暑地であるロンバルディアが舞台であり、毎年そこで夏休みを過ごすエリオ一家の下に、大学教授である父親に招待された大学院生のオリヴァーが訪れることに始まる。

まず、何よりも少年エリオを演じたティモシー・シャラメの鮮烈なデビューを飾った演技が眩しすぎる。思春期の性と恋愛、その美しさと儚さを堪能するに限る。ティモシーが水着姿でピアノを奏でるシーンが好き。

中性的な美少年とインテリ美青年の恋なので、女性ならどちらに自分を投影しても楽しめるし、自分と自分の好きな相手を同一化するような倒錯感や、イタリアの夏ならではの上流階級なムードが、少女漫画的な世界観を醸し出している。

大学院生のアーミー・ハマーは、清潔感に溢れていて、若い少年が心を時めかせる相手としては及第点ですね。だから、男でも女でも、恋をすると相手が世界のすべてになってしまうこと。少年の通過儀礼的な同性愛に対する憧れが描かれている。聡明で芸術家肌の少年の恋は、美しくロマンティックであり青春の悲しみが心に沁みる。

しかし、エリオには同級生の女の子がいて、二人で愛し合うシーンなども描かれている。だから、決して同性愛者を好んでいるわけではないのだ。

父親が大学教授の裕福な一家の日常は、いかにも「モーリス」の名匠ジェームズ・アイヴォリー脚本らしい貴族的品格とユーモアに溢れている。少年は感情を抑えることができず、最高と最低の瞬間を行き来することなどを、怖れることなく心の脆さをあらわにした演技で、観客の胸に迫って来るのだ。

しかも、多くの初恋がそうであるように、おそらくこれにもいつか終わりが来るだろうということも感じられるからこそ、終始胸がチクチクと痛むのだろう。そして、こらえていた涙をこらえきれなくなる瞬間が訪れる。

最も忘れがたいシーンでは、終盤近くの父と子の対話であります。人世の岐路に立つ息子に、すべてを知っている父親の理解と慈愛に満ちた、知的な助言は感動的でした。

それにエリオの言葉にならない感情を見事に代弁した音楽や、80年代のファッションの再現も素晴らしく、初恋のあまりにピュアで、胸が張り裂けそうな、切なくて美しいさまが主人公のティモシー・シャラメによって昇華されているのも素晴らしかった。

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