リンゴ農園を営む両親とその息子の姿を描いた鉄拳の同名パラパラ漫画を、岡田将生主演で映画化。拓也の両親役で時任三郎と財前直見、地元の同級生・明日香役で成海璃子が共演。鉄拳がアートディレクターとして参加。
あらすじ:とある挫折によって自身の進む道を失ってしまった拓也は、親元を離れて東京で暮らしている。大学に通いながらもバンド活動に熱が入る拓也は、次第にプロを目指すようになる。さまざまな挫折を経験しながら、家族の温かさを改めて感じながら成長していく拓也を岡田が演じている。
<感想>鉄拳のパラパラ漫画が脚本であり、本作でも鉄拳のパラパラ漫画がたくさん出てくるのだ。前に鑑賞したMUSEの曲をBGMに使って話題になった「振り子」も良かったが、この作品も最後には泣けてくるのだった。
両親役を時任三郎と財前直見さんが演じており、さすがの演技で圧倒されます。それに地元の同級生・明日香役で成海璃子さんが、断然に上手いので、主人公の拓也を演じている岡田くんよりも秀でいた。
こんなにも、同級生とはいえ、親身になって拓也のことを思って車で送り迎えとか、大学を退学してバンドをやっている拓也にアドバイスをするし、両親のことをもっと大事にすること、親の仕送りで東京で大学にいけて、それもバンドにはまって退学とは、観ているこちら側も怒ってしまう。
そのバンドも、自分はギターを弾いて少し歌うだけであり、殆どがリードボーカルの男がこのバンドを引っ張っているのだ。その彼がバンドを解散すると言い出し、拓也はそんなことは考えていなかったので、慌てるのだ。バカみたいな拓也の鈍感さ、それに幼馴染の明日香が、拓也のことを好きなのに、そんな彼女に甘えてしまっている彼が許せない。
実家のリンゴ農園だって、台風の被害をうけて落ちたリンゴをジュースにして販売するなど、いろいろと考えている。下宿に毎年贈ってくるリンゴを、腐らして捨てる拓也には呆れてしまった。明日香に実家の経済的な苦労を言われても反発したり、実家のリンゴ農園を継げと父親に言われるのが苦痛であり、自分は東京でいっぱしのミュージッシャンになった気でいる。
そのことが、最後に帰った実家で、母親が押し入れのお菓子を持って行ってと言われ、箱に入った菓子をそのまま袋に入れてバスに乗る。途中でバスが急ブレーキをかけた瞬間に、お菓子の入った袋が床に落ちて、箱の中に入っていた息子の活躍した新聞の切り抜き、高校時代の活躍とか、大学へ入って音楽に目覚めてバンドをやっていることも地元の新聞にのり、切り抜いてい大事にしまって置いたのだ。
母親の優しさと無口な父親、そして息子への愛情と、実家のリンゴ農園を継いでほしいとは言えずにいる母親の想いも。それに、父親にしても息子が幼いころに言った言葉「リンゴは一度落ちても終わりじゃない」と、高校時代に怪我をして陸上を止めてしまった時にも、リンゴは万病に効く特効薬だとも言っていたのに。昔にも台風の被害とかあって、乗り越えてきたことを忘れている拓也。
反抗期っていっても、大学生になって親の仕送りに甘えているのが許せない。しかし、終わりころになって、やっと拓也が両親の思いやりに気づく。それに幼馴染の明日香の心をもてあそんでいるのも、いい加減に気づけよと言いたかった。明日香は他に恋人がいると言っていたが、違うと思うよ。
卒業した高校の鈴木先生とか、バンドのボーカルの子とドラムをたたいている子が、一度は断った拓也の高校創立40周年記念に、来てくれる友情とかも良かった。
観終わった後に、親の大切さを思い出して、心がすごく温まって、うるうるしてしまった。
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