パピとママ映画のblog

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コーダ あいのうた★★★

2022年05月08日 | アクション映画ーカ行
                

           

家族の中でただひとり耳の聞こえる少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク。

あらすじ:海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……。テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズがルビー役を演じ、「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害のある俳優たちがルビーの家族を演じた。監督は「タルーラ 彼女たちの事情」のシアン・ヘダー。タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネートされ、同3部門を受賞。ルビーの父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優で初のオスカー受賞者になった。

<感想>とにかく一番に、第94回アカデミー賞で作品賞に選ばれたことが大いに喜ばしい。映画の内容としては、家族の一人娘を除いて両親と兄が耳の聞こえない障がい者(聾啞者)だということ。日常の生活では、ただ一人健常者の娘が頼りの毎日の生活。特に、家業が漁師ということもあり、釣れた魚を卸すところでは、特に娘が役に立っている。生活を支える役目として、一番に大事な存在であり、両親も一人娘のルビーに頼り切りである。

それでもルビーは忙しそうに生活のために漁師の仕事を手伝い、学校へも行っているのだ。自分が大好きな歌、音楽への道を選びたいのだが、生活のためや、家族のために彼女の役割が大事なポイントになっている。

とにかく、娘のルビーがいないと様々なことがたちいかない。立場上、ろうあ者と健常者と間を手話通訳で橋渡しをしていて、彼女の責任過多の立場が大きい。それでも彼女は一度も家族にたいして、一度も愚痴を言ったり、自分の好きなことが出来ないことなど不満や苦しさを見せないのだ。

そんな子供の苦しみなど知らない両親と兄貴は、当たり前のように毎日の仕事をさせて、学校へ行き勉強などのことを聞こうともしない。両親は仲が良いというか、あからさまに男女のセックスを優先的にして、子供の前だろうが平気でベットインをしてしまう。

そんな彼女が学校の合唱部に入り、歌の才能を見込まれて音楽の顧問の先生、名門のバークリー音楽大学への進学を薦められる。しかし、家族を想う気持ちとの板挟みで悩んでしまう。

こういったシリアスな題材を、シアン・ヘダー監督はユーモアをまぶして「リトルダンサー」のようなヒューマンコメディに仕立てあげている。ヤングケアラー問題に光を投じつつ、また当事者キャスティングを推し進めた点でも画期的といえると思う。

ちなみに美人の母親役のマーリー・マトリンは、デビュー作品「愛は静けさの中に」(86)でアカデミー賞の主演女優賞を、聾者俳優として初で獲得しており、しかもしかも史上最年少21歳で掴んでいる。今回も彼女の尽力もあって当事者キャスティングが実現したわけ。父親役のトロイ・コッツアーは男性聾啞者俳優として、オスカー初ノミネートされている。

シアン・ヘダー監督もアメリカ式手話を学び、俳優陣やスタッフと密接にコミュニケーションを取りながら作業を進め、彼女自ら手掛けた脚本にも専門アドバイザーが深く関わったという。

劇中の、ルビーと家族たちのエピソードの数々、とりわけ合唱部のコンサートや音学大学のオーデション場面では、胸が熱くなり涙が出てきた。娘が奨学金制度で音楽の道をすすむことに、始めは両親が反対していたが、先生たちの応援もあり入学できたことに安堵した。

両親と兄たちが、生活のために、いつまでも彼女の将来をダメだと決めつけて、彼女の未来を悲しいことにならないようにと配慮してくれたことに感謝です。

けれども、聾啞者の当事者目線で考えると、中には批判の声も聞こえる。それでも、ルビーがオーデションで歌うナンバーを「青春の光と影」にしたこと。つまりは、ルビーが朗々と歌う歌詞が、これからルビーが偉大なるシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルのような歌手になることを示唆するメッセージに聞こえました。

ルビーが手話を交えながら、両親に分かるようにと歌いあげるのに対して、父親がその声を何とか感じ取ろうとする行為にも感動しました。

 

 

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