ぶらぶら人生

心の呟き

今日のあれこれ

2008-01-12 | 身辺雑記

 朝日新聞の<be on Saturday>に、<愛の旅人>「ハンカチ振る浜辺の妻」 寺田寅彦と妻夏子 「団栗」が、2ページにわたって掲載されており、寺田寅彦の、未知だった若かりし時代の人生を知ることになった。
 寺田寅彦の作品は、かつてかなり読んでいるので、「団栗」も読んだ可能性はあるが、細やかには思い出せない。
 ベッドで、読んだ新聞をお腹のうえに載せ、結核によって20歳にも届かぬ若さで、寅彦との間にできた娘一人を残して他界した、夏子という女性のことを、あれこれ思い描いていると、電話がかかってきた。

 起き上がって受話器をとると、遠い昔の知己から、今日訪問してもいいかを尋ねる電話であった。かまわないと答えると、10時に訪問するという。
 私は慌てて、今何時かを尋ねた。
 9時半近くだという。随分遅くまで、ベッドにいたものだ。
 10時は無理だから、時間をずらして欲しいと頼むと、では10時半に…ということになった。
 それから、慌しく支度した。

 来訪者は二人。その二人が以前やってきたのは、いつだっただろう? と考えるが、思い出せなかった。(昨年のお盆だったと、後で分かったのだが…。)
 その時は、50余年ぶりの再会であった。
 が、この度は、その時から5か月目。
 お互いの間に流れた空白の時間があまりに長った前回は、思いを繋ぐのにやや時間を要したが、今回は親しみの度合いが、始めから全く異なっていた。途中、電話や便りもあって、交わりに切れ目がなかったこともあって。
 私より、8歳は若い二人である。

 私は、最近、自分の力ではできないことが増えている。
 そこで、訪問者があったときには、遠慮なく手助けを求めることにしている。
 早速、<申し訳ないけれど、日めくりカレンダーにを吊るすためのフックを取り付けて欲しい>と頼んだ。ひとりがお安いことだと、すぐ応じてくれた。(写真)

 (日めくりカレンダーは、先日、友人にいただいたものである。
 一枚めくるごとに、新しい日が始まるというのは、新鮮な気分を掻き立ててくれ、ありがたい。
 今は分厚いカレンダーだが、残り少なくなったとき、どんな一年を生きたことになるのだろう?!)

 二人とは、遠い昔一年だけ、同じ土地に住んだという関係に過ぎない。だが、話は尽きることがない。
 実は、なるべくなら、今日はお昼に草花舎に出かけたい、と思っていた。
 というのは、また人頼みだが、草花舎の、YさんかTちゃんに、手助けしてもらいたいことがあったのだ。
 ちょうどよい機会なので、草花舎は知らないという二人を誘った。
 お昼には帰る予定だったようだが、まだ話し足りない様子もあったし、場所を換えて話を続けることにした。

 実は、昨夕来、相当な時間をかけ、悪戦苦闘したにも拘らず、ネックレスの取り外しができず、困っていたのだった。入浴にもつけたまま、就寝時もそのままにしていたのだが、首を絞めるわけでもないけれど、つけた状態で居続けるのが、ずっと気になっていた。
 近所の人に、「ネックレスを外して」と頼むわけにもいかず、思案の末、草花舎に出かければ、何とかなると、昨夜来思っていたのだった。

 草花舎に入るや否や、Tちゃんに見てもらった。
 鎖が妙な絡まり方をしていたらしい。取り外しにはTちゃんでさえ時間がかかった。これは自分では外しにくいと言いつつ、苦労の末、取り外しに成功。
 今日はTちゃんにも、お世話になってしまった。
 昨日来、絡まり続けていたネックレスが首からなくなると、ほっとした。

 それを見ていた男性の知己どもは、そんなことぐらい僕たちがしてあげたのに、と言う。しかし、フックのとり付けは頼めても、いくらなんでも、ネックレスを外してとは頼めない。Yさんも、傍から、それはそうよね、と同感。

 昨年の暮れにも、姪がやって来るなり、缶詰めの蓋を開けてもらった。
 缶きりがうまく使えなくて。
 これからは年々というか、日を追って、できない事が増えてゆくのだろうと思う。
 その話に至ったとき、私より若い知己たちは、用があれば、いつでも手伝いに飛んで来るからとは言ってくれたが、ことはそう簡単にはゆかないだろう。
 不便を凌がなくてはならないのが、老いというものかもしれないと、つくづく思う。

 心細いことと言えば、今朝も、服に着替えながら、少しずつ細る身体を気にした。 この調子なら、あのズボンが履けるかもしれない、とふと思った。
 来客があるのだから、今しなくてもいいことなのに、ごそごそと洋服ダンスを開き、ズボンを取り出した。
 もう25年も前に仕立てたズボンである。
 当時はパンタロンスーツが流行っていて、冬用2着と夏用1着を仕立ててもらった。夏用はとっくに処分したが、冬用は2着とも傷みもせず、まだ健在なのだ。そのズボンは、裾広がりだったので、15年ほど前に、普通のズボンに手直ししてもらった。(今はパンツというのかもしれない。)
 その中の一つは臙脂色で、特に気に入っている。
 それが履けないと気づいたのは、いつだっただろう?
 知らぬ間に、ウエストや腰周りが大きくなって入らなくなっていたのだ。それが分かったときには、うんざりした。せめてこれが履けるくらいには、細まりたいと思った。
 が、その後、それは容易なことではないと、すでに諦めていた。
 ところが、今朝、試みに履いてみると、楽々とファスナーを引き上げることができたのである。一体、どうなったんだろう? と、訝った。
 妙なもので、履けると分かると、それを喜ぶ気持ちより、なぜ細くなったのかが気になるのだった。
 お正月で、お餅を沢山食べているのにと思えば、疑うのはやはり病気である。 しかし、またすぐに、<まあいいか、たいした命でもないし…>と考えを改めた。
 人間というのは、生きてる限り、心の休まる暇はないようだ。

 それはさておいて、今日、教えてもらった石見の方言を一つ書き留めておこう。
 「とぎ」という言葉。
 「伽」の意味ではなくて、「角」といったような意味らしい。
 アクセントは、最初の<と>にあるようだ。
 「とぎを曲がったら…」というように使うらしい。
 長年、石見に生きながら、この年になって、初めて耳にする方言であった。
 今日の訪問者は、石見弁丸出しを恥じない人たちである。
 彼らと対話するとき、意味が取れないと、私は、すぐ聞き質すことにしている。

 草花舎から帰って、昨年亡くなった知己、Oさん蒐集の<石見方言集>を取り出してみた。が、それには載っていなかった。
 生前には、新たに知った方言を互いに教えあっていたのだが…。
 <と>の欄に補足しながら、
 「Oさん、<とぎ>という方言があるんだって!」
 と、亡き彼に語りかけながら、私はもの悲しくなっていた。
 最近、とみに気弱になっているようだ。

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1月12日(土)の新聞より (百日紅の実)

2008-01-12 | 身辺雑記

 ※ 1面
 給油新法 再決議で成立
   逆転国会で57年ぶり
     防衛相が派遣準備
 薬害肝炎救済法が成立
   訴訟5年、全面解決へ
 グッドウィル事業停止
   2~4ヵ月、違法派遣で  厚生省命令

 天声人語(ネーミングの話 犬の名と社名)
 ☆ <チョコ、マロン、モモとくれば、ケーキかアイスと思う方が多いだろう。実はこれ、犬の名前の上位三つだ。>との書き出しで、今時のペットの<名前は甘くかわいく、動物臭がすっかり抜けた。>とある。昔は、犬ならポチ(223位)、猫ならタマと仲間を代表する言葉があったのに云々と記し、松下電器事業の社名変更について書いているのが面白い。「パナソニック」とは「あまねく響く」を意味するとか。その名の通り、飛躍が遂げられることを期待しての社名変更らしいが、それによって、「世界ブランド番付」のランクを上げられるかどうか?

    2面 時時刻刻
 「宝刀」抗戦なき結末
    補給支援法 再議決・成立
    小沢氏、採決直前に退席
    「台無し」民主に不満
 「真の貢献」姿見えず
    残る「湾岸トラウマ」
 <安倍前首相が「職を賭し」、福田首相が衆院再議決という異例の手段で再開させなければならなかったインド洋での海自給油活動とは何だったのか。「国際貢献に必要不可欠」と強調してきた政府の説明にもかかわらず、約3ヵ月にわたる国会での議論では海上での補給活動がテロ抑止にどう結びつくのか、という根本的な説明は結局、見えてこなかった。
 日本の国際貢献議論でしばしば語られるのが「湾岸トラウマ(心的外傷)」だ。91年の湾岸戦争で日本政府が130億㌦財政支援をしながら戦争終結後、当事国のクウェートに感謝されなかった、という苦い記憶が政府内にはなお残る。
 「真の国際貢献とは何か」という本質的な議論とは別に、「カネ」ではなく自衛隊派遣という「汗」をかくことが「国際貢献」との思いこみが見え隠れする。
 インド洋では6年にわたって、海上自衛隊が他国籍軍艦船への給油活動を展開。国費220億円を投じた「無料の洋上スタンド」とも揶揄された。だが、「1400億円という世界第2位のお金を出して支援をしてきた」(高村外相)にもかかわらず、現地のニーズにどこまで結びついていたのかは疑問が残る。
 関係国のある大使は「日本に来るまで、日本の補給活動のことは知らなかった」と打ち明ける。
 成立した補給支援特措法も1年後に期限が切れる。このため、政府・与党は18日召集の通常国会から、自衛隊の海外派遣を可能にする一般法(恒久法)の検討に入り、民主党と政策協議の糸口にしたい考えだ。
 しかし、国連の安保理や総会での明確な決議の有無を自衛隊派遣の条件と位置づける小沢民主党代表と、多国籍軍の後方支援などを想定する政府・与党との間の溝は深い。
 憲法が禁じる武力行使との関係も踏まえ、、国民のコンセンサスをどう得るのか、という道筋は、約80時間に及ぶ衆参の補給法案の審議でも、明確にはならなかった。(金子桂一)

 ☆ 少し長くなったが、金子桂一氏の文章を全文引用しておいた。以後、今回成立の給油支援法について考えるとき、大いに参考になりそうに思ったので。

   
3面
 違法派遣 実態次々に  グッドウィルに事業停止命令
   会社側の「認識」指摘
    「失業」労働者続出の恐れ
   社説
 禍根を残す自衛隊際派遣  給油新法成立
    文民統制が揺らぐ
    世論を説得できたか
    合意作りをやり直せ

   4面
 活動再開 急ぐ政府
      補給支援法成立
  転用防止策 徹底へ
     関係各国からは歓迎の声

 
※ 19面(スポーツ)
 山本・堀内氏 殿堂入り  
   (写真 ミスター赤ヘル 巨人V 9エース 故・嶋清一氏)
      戦前に活躍の故・嶋氏特別表彰
   36面
 戦火に散った大エース
   中等学校野球で活躍 故嶋清一さん殿堂入り
     全国大会5戦完封 ■準決・決勝は無安打無得点

 ☆ 山本浩二・堀内恒夫二氏の活躍は知っているが、かつて嶋清一という大投手のいたことは全く知らなかった。和歌山・海草中(現向陽高)出身の投手という。戦争さえなかったら、嶋投手の人生は夢多きものだったに違いない。しかし、人生を戦争によって損なわれた人は、嶋投手に限らない。ここでも、戦争による無意味な死を考えさせられた。

 ※ 37面
 違法派遣 怒り続々 グッドウィル事業停止
   「二重三重あたり前」
   不透明な天引き・派遣元口止め

 (添付写真 山口・パークロードの百日紅の裸木。見上げると、黒い実を沢山つけていた。9日。)

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