菅義偉の別人格で売れないミュージシャンだった長髪の長男が、総務省の吉田眞人総務審議官に高級手土産を渡しタクシーチケットの説明をしているところである。まるで水戸黄門の、「お主も悪よのー。。」というセリフが飛び出しそうな画像である。
菅の長男、菅正剛氏は大学卒業後定職に就くことがなかったが、菅義偉が2005年に総務副大臣に任命されると、翌年正剛氏を政務秘書官として自らの下に置いた。菅は副大臣として情報通信、郵政を担当する。その後総務大臣に就き官房長官となり、放送の許認可や人事などに強く拘わることになる。
菅は首相就任後もデジタル改革など総務省関連政策を彼の任務の最優先に掲げているのもそうした基盤がるからである。その息子がコネで放送関連会社「東北新社」に就職したのであるが、こんな得体のしれない経歴もない中途採用の若僧を、BSやCSの許認可の関わる高級官僚と何度も会食に同席させるのは、会社の思惑が裏にあるに決まっている。
事実2008年に正剛氏が就職すると、東北新社の創業者の植村伴次郎は八年間で、菅が代表を務める自民党神奈川県第二支部に計500万円の寄付をしている。
東北新社の子会社は無事お願い通りの認可を受けているが、武田総務大臣は、行政には全く影響がなかったと国会で報告している。何の根拠もないこうした主張がまかり通る。
秋本情報流通行政官は、音声まで捕られていたことに驚き、一旦は否定したが翌日になって、「天を仰ぐ驚愕」とサル芝居の台詞を吐いている。正剛氏の国会証言を野党が求めても、私人を理由に拒否する与党である。私人の安倍昭恵は拒否したが、同じ私人でも籠池氏は呼んでいるし夫婦を収監までしている。
放送会社が許認可権のトップの別人格と言え長男を使って、高級官僚たちを怯えさせて利益供与を受けたのである。こんな解り易い贈収賄事件の構造を、今さら論議するまでないだろう。
こうした土壌は、安倍晋三が築いたものである。政権に身近な連中を優遇し、権力を自在に駆使して利益供与をやる。たまたま別件捜査や報道の盗撮でバレるだけであり、実際はこの何倍もの不正が行われている可能性が高い。バレても政権に近ければ、公文書の廃棄や改ざんまでするのであるから、官僚も腐敗するのも当然といえる。
今回も政権に近い正剛氏の罪は問われないだろうし、官僚は世間が忘れる頃ご出世することになるだろう。