そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

なぜ世界は独裁者を好み、民主主義を嫌うのか

2016-10-23 | 民主主義
自民党が総裁の任期の延長を決めようとしている。これまで2期6年までだったが、これをどうにかして延長するようである。安倍晋三のためである。仮に3期となれば、史上最長の首相の登場となる。選挙で自民党が勝てばであるが、単一色になった自民党が柔軟性を失い多様な意見を無視する、平気で前言を翻す、民意には無関心な極右翼の独裁政権にこの国を長期間ゆだねることになる。

中国共産党の習近平総書記(国家主席にほぼ自動的になる)は、党の最高指導部の定年を延長する検討に入った。現在は68歳で引退との指導部内の決めがある。習氏自身が69歳となり2期10年の任期を終える2022年の次々期党大会でも引退せず、自らの3期目の続投を画策している。
こうしたことを背景に、周辺人事の粛清だけでなく、経済的にも国際戦略的にも実績作りに躍起になっている。

ロシアのプーチン大統領は、憲法の規定で4年間メドベージェフに大統領は譲って首相に就ていたが、任期を4年から6年に伸ばして、結果として2000年からすでに16年間もの間権力の頂点に居座り続けている。プーチンは世界で最も政権が安定している権力者である。少なくともあと2年は大統領の座にいることになる。プーチンは自ら任期を延長する可能性すらある。

ドイツのメルケルも、消去法で選択された後に政党の烏合集散などの結果、すでに11年首相の座にいる。アラブではエジプトの独裁者のムバラクは30年政権の座をアラブの春の革命で降ろされたが、全く同じ手法のシーシが大統領に結局就いて、言論統制など弾圧を繰り返している。リビアのカダフィ大佐は40年以上の独裁を、EUの支援を受けたアラブの春で政権が崩壊し殺害されて、取り戻せない混乱と内戦の中にある。シリアはアサドがロシアの支援の下で、欧米がいくら介入しても崩れない。中東は独裁者が好きなのである。北朝鮮の独裁は、崩壊後を恐れる中国によって保たれている。
フィリッピンのドウテル大統領の麻薬取り締まりの、殺人をも認める非人道的強硬策を多くの国民が支援する。プーチンが秘密警察出身で、民族弾圧にい強硬だったことに重ねることができる。
アメリカ共和党が大統領候補に、不見識で粗野なトランプを選んだのも同類の意識が底流にある。

人類は自ら考えずに、強大な権力下にいる安穏が好みなのかもしれない。それが独裁者には心地よい寝床になる。安倍政権はまさしくそうした、独裁軍事政権への道を今開こうとしているといえる。人類が営々と築き上げてきた、極めて遠回りで面倒くさい民主主義が、リベラルな思想が崩壊するときに差し掛かっているといえる。
コメント (5)
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