そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

中国が「国家安全法」が成立、国内の反政府勢力と香港を封じ込める

2015-07-01 | 中国

中国全国人民代表大会常務委員会は7月1日、中国の安全保障政策の土台となる新たな「国家安全法」を成立させた。領土や海洋権益の防衛に止まらず、民族や宗教の名の下の国家反逆を許さないということに加えて、南極や北極に留まらず、宇宙やサイバー空間など幅広い分野を安全保障上のリスクとして想定する、極めて強権的な法律を成立させ、即日発効させている。
7月1日は香港返還の日でもある。今年は18年目になる。あと32年は一国二制度を堅持するはずである。防衛と外交以外は香港に自由を大きく認めるものであった。このタイミングでの行われたことは、南沙諸島、あるいはスプラトリー諸島(Spratly Islands)の、埋め立てインフラが終わったのを待ってであり、明らかに根強い香港の民主化運動抑圧を狙ったものである。国内的には、習近平体制の確立を意味する。
本法は、戦前の日本の治安維持法に見られるように、国家のためにはあらゆる権限を行使するというもので、極めて国家強権性の高いものである。

然し香港はこの18年で、中国本土との相対的関係を大きく減らしている。中国のGDPに占める割合が、18%から今や僅か、2.8%までになってしまったのである。18年前には、香港経済が中国をリードする存在であったが、今や大陸からのマネーの流入は、香港のインフラを整え不動産を高騰させ香港経済を大きく支配するまでになったのである。
中国は、香港の若者の新鮮で自由な発想と技術力を求め、香港は本土の資本によって支えられているようになった。経済発展中国の象徴的存在の経済特区の深圳には、香港から1700もの企業が参入している。本土の教育環境では得られない貴重な人材は、中国本土へと流入しているのである。

経済関係が深まり、中国が香港を吸収する現実を背景に、中国政府は香港の行政権をさらに強めていくことになる。中国国家安全法の成立は、安全保障法制(戦争法)の成立に命運をかける安倍政権を、ホラ見たことかと勢いづかせることになる。力を見せ合う外交は、双方が抑止力を国民を欺く危険を孕んでいるといえる。

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