TPPが大詰めになったと何度も聞かされてきた。今回もそうである。最終段階に入ったとハワイで交渉している。
自民党が2012年12月の総選挙の際選挙公約として、TPP交渉参加の判断基準を明確に示している。
①、政府が「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
②、自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
③、国民皆保険制度を守る。
④、食の安全安心の基準を守る。
⑤、国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
⑥、政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対すると、自由民主党は選挙公約として掲げていた。「聖域」として、コメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖の5品目が挙げられてきた。要するにTPP不参加を地方では訴えていたのである。
6項目の公約のなかで、最重要の公約は⑤の「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない」というものであった。ハズである。
ISD条項とは、企業がTPP参加の国家を訴えることができるというものである。訴える先はアメリカ傘下の世界銀行である。上告のない制度であり、結果は知れている。
この選挙公約は完全に破られている。交渉内容や進展状況などは殆ど公開されないか、部分的に小出しにして国民の反応を覗っている。TPP不参加の自民党公約は誰も信じていない。今ではISD条項については黙して語らない。
その一方で、選挙時には公約にもあげていなかった、「集団的自衛権行使容認」や「武器輸出三原則の撤廃」や「特定秘密保護法」などの成立にそそくさと動いている。積極的平和主義なる自己矛盾する造語も掲げてはいなかった。
今回の安保法制(選挙法)であるが、何処から降ってきたのか、昨年7月1日の閣議決定で決めただけであるが、安倍晋三はすべてをかけてもやる勢いである。
選挙公約など選挙に勝てば、無関係にやりたいことは何でもやってしまうのである。政治家不信の根源と言える。