そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

なんだか気になるバター不足とトランス脂肪酸

2015-06-24 | 農業と食
日本ではバター不足で、今年5月に七千トン緊急輸入し追加の輸入もなされている。不足の原因は生乳生産量の減少である。政府の発表は現象として間違ってはいない。生乳も他の乳製品は不足していないということで、バターだけが足りないことに異論を唱える評論家もいる。それは乳価の構造を知らないからである。
酪農家が受け取る乳価は単一の構造になっていない。とりわけ北海道の乳価は複雑である。目的ごとに乳価が異なるのである。一番安いのは、給食向けで次のチーズ加工用、そしてバター向けとなる。一番高いのが、飲用向けである。これらの仕分けと比率によって乳価が決められている。
牛乳は生鮮食品である。消費地に近い府県の牛乳はほとんどが、飲用向けである。つまり高いのである。酪農家の受取り1キロ当たりの乳価は、北海道がおよそ90円足らずであるが府県は110円以上である。府県は消費の落ちる冬は少し安くなる。
当然高いものから売れるため、政策的に決められている給食向けは別として、当然高いものからさばかれることになる。府県の酪農家が減少しているため、北海道の牛乳の飲用向けの比率が高くなり、バター不足が生じていることになる。因みに北海道は日本の生産乳量のほぼ半量を生産している。
輸入されるバターは、25キロのバラバターといわれる加工業者向けの冷凍品がほとんどであろう。多分アメリカが主になろう。これはとても危険である。
乳房炎の指標になっている体細胞というものがあるが、日本では30万以上は自主的規制を掛けて、出荷すらしていない。ところが、アメリカでは75万以上になって2カ月続けば、バター用に回されるのである。このことは「汚い牛乳」で以前に触れた。日本では農協などが主体になって、こうした規制をやっている。
アメリカの牛乳のほぼ半量はホルモン処理された乳牛からのものであり、多分70%以上が人間の感染が危ぶまれているヨーネ病に感染しているのである。こんな汚い乳製品には、たっぷり関税をかけて日本国民の健康を守るべきである。TPPはその規制を外し関税を撤廃する制度である。そんな汚いバターを輸入するのである。

こんなに汚れた牛乳や抗生物質等に汚染されている肉製品であるが、日本から見ればアメリカでは規制がないに等しい。他の食品も同じである。遺伝子組み換え作物や化学薬品の処理には寛大なアメリカが、突如として「トランス脂肪酸」を規制すると言い出したのである。
FDA(米食料品医薬品局)が、3年以内に全廃すると発表した。アメリカの1~2万人の心筋梗塞の発病原因であるというのが根拠である。この規制だけ見ると歓迎すべきであろう。
9年前から表示義務を課してはいたが、唐突の感は否めない。これはマーガリン製造禁止といって良い。これまでのアメリカのやり方を見ていると、日本のバター不足を念頭に置いたバター売込み作戦とみると納得がいく。
多分トランス脂肪酸の製造禁止したのは、アメリカだけではないだろうか。これほど食品規制の緩い国家が、なぜという問いにはうってつけの回答と思われる。
コメント (1)
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