そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

砂川裁判をそれでも引き合いに出す高村

2015-06-11 | 集団的自衛権
法制審議会に呼んだ憲法学者3名全員が、集団的自衛権行使容認は憲法違反と結論した。このことは6月5日の本ブログでも取り上げた。自民党は、自らの政党の推薦者の人選を誤ったという、本末転倒の論議で騒いでいる。そんなまともな憲法学者など存在しないのである。戦争法案に反対する憲法研究者の声明には、315名余の学者が名を連ねた。いっぱいいるとウソついた、菅官房長官は一晩かかって3名の名前しか出てこなかった。
そこで今度はこの審査会に、自民党と公明党と民主党の幹部を呼んでで発言させた。今度は自公に次世代が賛成し、民主党と共産党が反対したので3対2になった。それ見たことかといった、アリバイ工作である。
公明党であるが、支持者の60%は政府は十分説明していないというアンケート結果が出ている。野党支持者や支持政党なしと同じ数字である。公明党は幹部が、(北側とかいう)密室で与党協議でかなり抵抗したが、高村に折伏されたのであって、創価学会信者や公明党支持者は納得はしていない。

さて高村の引き合いに出した、最高裁の砂川裁判であるが法学部出身の高村は、知ってか知らずか事実誤認のいい加減な言葉で反論している。このことも本ブログで概要に少しふれた。
砂川裁判であるが、アメリカ軍基地に乱入したデモ隊がいた。国側はこの人たちを訴えたが、アメリカ軍の存在は憲法違反であるから、無罪であると判決を出した。世に言われる伊達判決である。これが1959年3月30日である。
翌年に戦後最大の大騒ぎになる安保改定を控えている。国は年内に判決の確定を望み、中級審を飛び越えていきなり最高裁判種に持ち込んだ。極めて異例のことである。
最高裁判所(大法廷、裁判長・田中耕太郎長官)は、同年12月16日に「憲法第9条は日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず、同条が禁止する戦力とは日本国が指揮・管理できる戦力のことで、外国の軍隊は戦力にあたらない。したがって、アメリカ軍の駐留は憲法及び前文の趣旨に反しない。」とし「日米安保条約のような高度な政治的条約について判断することはできない。」とし地裁に差し戻した。
これは自衛隊の存在を認め、国が持つ固有の自衛権は現行憲法の上でも所有するとされたのである。
問題はこの最高裁判決の背景である。アメリカの公文書の機密指定が解除され、アメリカ大使が日本の外務大臣を通じて田中裁判長に圧力をかけていたことが判ったのである。翌年の安保改定が迫っており、いきなり最高裁へと持ち込ませたのである。12月10日の三者の階段によって、ほぼ判決内容は決められた。アメリカによる日本の司法への介入である。

この最高裁判決であるが、アメリカの介入というよりはアメリカの演出による茶番劇ともいえる判決であっても、個別的自衛権について言及しているだけである。それを高村は、集団的自衛権の存在を明らかにしただの、最高裁判決が正しくて、下級審の判断は参考にならんと言っているのである。
最高裁になれば、これまで通り、政府の意図に沿った判決をしてくれると読んでいるのである。二重三重の意味で、高村が砂川裁判の最高裁判断を根拠に、集団的自衛権行使容認を認めさせようとするのは間違いである。憲法学者の主張が正しいことくらい、火を見るより明らかである。
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