そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

テロを考える

2015-02-25 | テロ
2月6日に国会は、まるで翼賛会を髣髴させるように、「対テロ非難」決議を行った。唯一参議院の山本太郎が退場して決議に加わらなかっただけである。共産党すら与党案に賛成をした。
”テロ”という言葉だけで、悪であり疑う余地のないものというだけでは、そこですべて論理がが完結してしまう。たとえば、後藤さんとの人質の交換として出された、リシャウィ死刑囚であるが、夫と共にシリアの結婚式会場で自爆で60人以上殺害している。本人は爆発できず生き延びた。決して許すことのできない、極めて残忍なテロの首謀者である。
しかし、彼女は夫と兄弟3人をイラク戦争でアメリカの空爆によって殺害されている。彼女に報復感情を持たせたのは、アメリカの無意味な戦争である。
9.11同時多発テロを受けて、ブッシュは報復の戦争を仕掛けた。ブッシュの報復感情と、リシャウィ死刑囚の報復感情を比較すれば、彼女の報復感情の方が純粋で数段高い。政治的な判断と、国家のメンツで抱いたブッシュの見下すような報復感情は、彼女の報復感情より数段低くドロドロしたものである。
更には、安倍晋三の邦人二名の殺害について発言した、報復発言はこれよりも数段程度が低いばかりか、法的根拠も欠落した感情でしかない稚拙なものである。
殺人行為のテロに賛意をすものではないが、テロする側には根拠がありその原因は多くは武力によるものである以上、暴力による解決は困難である。さらなるテロの根拠を産むことになるからである。
ブッシュはアメリカ軍がバクダッドを陥落した時に、「ゲームは終わった、世界はテロの脅威から遠のいた」、と凄んで見せた。オバマも、これこそ典型的なテロ行為と思われる手段で、オサマビン・ラディンを殺害した時にも、同様にテロがなくなったと発言したが、現実は倍増したばかりか、より悪質になりより広がりを見せている。
国会決議は、テロの土壌もその意味も検討することのないものである。テロを暴力で抑え込もうとする暗黙の了解すら感じられる。
テロは攻撃者にとって都合が良いことだらけである。戦争なら兵士はジュネーブ協約に沿った扱いを受けるが、テロであれば自国の法律でいくらでも自由に裁けるからである。残虐で非人道的な行為も行われるのも当然あるだろう。
テロを結果的な暴力行為だけから判断するのは間違っている。多くの国民から支持されれば、時の権力や支配国に立ち向かえば、時にはレジスタンスとも呼ばれるし、独立戦争とも言われたりするものでもある。
テロの温床を産んだ殺戮こそ批難され、相互で検証されるべきでものある。
<フィリッピンのパマン島の眠られぬ暑い夜に記す>
コメント (1)
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