田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

塀の中のジュリアス・シーザー(CESARE DEVE MORIRE)

2013年02月18日 22時21分37秒 | 日記

 

 「父 パードレ・パドローネ」「サン★ロレンツォの夜」などのカンヌ受賞作で知られるイタリアの巨匠タビアーニ兄弟が、2012年・第62回ベルリン国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞したドラマ。実際の刑務所を舞台に本物の服役囚たちを起用し、シェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」を演じることで起こる囚人たちの変化を描き出していく。ローマ郊外にあるレビッビア刑務所では、囚人たちによる演劇実習が定期的に行われており、ある年、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」が演目に選ばれる。オーディションでブルータスやシーザー、キャシアスなどの役が次々と決まっていき、本番に向けて刑務所の至るところで稽古が行われる。すると囚人たちは次第に役と同化し、刑務所はローマ帝国の様相を呈していく。(映画.comより)

 

 う~ん、凄い映画でしたね~。役者さんではなくて、すべて本物の囚人さんたち、とは聞いていたのですが、本当に上手だった!さすが、一筋縄ではいかない人生を送って来られた人々ではある。その酸いも甘いも噛み分けたような、ひょっとするとプロの役者よりうまい演技と存在感はさすがの一言。

刑務所も、微妙にごつごつしていて、得も言われぬ雰囲気を醸し出していましたし、途中から見ている私達も、そこが劇場なのか刑務所内なのか、あるいは現実生活を映しているのか、芝居を映しているのか、本当にわからなくなってくるのです。

実際、彼らもありとあらゆるところで練習してますし、彼ら自身も、あんまり区別せずのめり込んでいたのではないでしょうか。

ともかく素晴らしい!私は恥ずかしながら、「ジュリアス・シーザー」をきちんと読んだことはないのですが、本当に「シェイクスピア全集を読んでみよう」と思わせるほどの出来でした。お勧めです。

ちなみに、この監督さんって、かなり昔に「グッドモーニング・バビロン!」で見た監督だと思うんですよね。見終わると同時に消去しちゃったのですが・・・。随分前だったので、「お元気だったのね」って思ってしまいました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日の空の向こうに(Jutro bedzie lepiej)

2013年02月16日 08時14分01秒 | 日記

 

 「木洩れ日の家で」「僕がいない場所」などで知られるポーランドの女性監督ドロタ・ケンジェジャフスカが、豊かな暮らしを求めて旅に出た孤児の姿を描くヒューマンドラマ。ポーランドと国境を接する旧ソ連(ロシア)の貧しい村。親も住む家もなく、鉄道の駅舎で寝泊りし、物乞いや盗みをしながら日々を過ごす3人の少年たちは、外国に行けばもっといい暮らしができると夢見て国境を越える旅にでる。さまざまな試練や困難に直面しながらも、笑顔でその日その日を乗り切った少年たちは、ようやくポーランドの田舎町にたどり着くのだが……。(映画.comより)

 

<ネタバレあり>

 

 ちょっと癒されたくて、かわいい子供の映画を選択しました。こんなにかわいい子供たちが主人公なら、残酷なお話のはずがない、そんな自分勝手な期待を持って。

主人公の彼らは、ポーランドとの国境にほど近い、とあるロシアの貧しい村に住んでいます。何故なのかはいっさい描かれませんが、彼らには親も保護者もなく、6歳と10歳のペチャとヴァーシャの兄弟・11歳の少年リャパは、駅や道端をねぐらに、物乞いやちょっとした盗みで生きています。

なんとも愛くるしいペチャは、たった6歳なのに、パン屋のおばさんにおすそわけしてもらうために「きれいだね」と言ったり、結婚式の行列が来ると、花嫁さんに話しかけたりします。しかし、ペチャはそれが生きるすべであり、自然にそうした態度をとっているのであって、鼻に付くようなところはまったくなく、その顔のかわいさも手伝って、本当に行く先々でかわいがってもらえます。

前歯も今、生え変わっているのかほとんど歯抜けだし、その愛くるしさったらありません。私がそこにいても、つい情にほだされてしまうでしょう。

年長リャパの知り合いの老人宅に一泊お世話になった時は、「せめてチビだけでも置いて行け。必ず面倒をみるから」と言ってくれるのですが、子供たちは離れません。なんの根拠もなく、”隣の国へ行けば今より幸せな暮らしが出来る”と信じてポーランドへ向かっているのです。

小さいのに必死にいろいろ考えて、子供なりに「ペチャは置いて行け」などと(リャパが)言ってみたり、「僕の弟だぞ!」とヴァーシャが断固拒否したり。生き延びることに一生懸命です。子を持つ母としては、つらかったですね。せめても、彼らは仲間がいたことが救いなのでしょう。

とうとうたどりついた国境。高圧電流が通っているかもしれない有刺鉄線の下を空き缶で必死で掘る子供たち。小さな体を何とか通した後は、軽やかな音楽に大きく広がる空。ペチャは「空はどこでも同じなんだね」、ヴァーシャは「これからは俺達の空だ」と言い、子供たちの顔は希望に満ちています。

しかし、観客である私達、大人は知っています。何の当てもないのに国境を越えて、それから?

早速、言葉の通じない地元の子供たちにバカにされ、3人は警察を捜し保護を願い出ます。でも、幼い子供たち3人だけで、何ができると?太った警察官は彼らに同情するけれど、でも法は法。本人の意思で「亡命」とはっきり言わない限り、本国へ送還されるだけなのです。

悲しいですね・・・。私がその警察官だったら入れ知恵してしまうかもしれません。誰かに吹き込まれた、と絶対言ってはいけないことや、亡命の意味を説明してね。でも、何かの拍子にバレたらそれまでですけどね。

そもそも、異国の孤児院に入ることが本当に幸せなのか。いったい彼らはどういう形の幸せを望んでやって来たのか。考えれば考えるほど、複雑です。

ともかく、ラストシーンは強制送還の車がロシアへと帰ってゆくシーン。真剣に落ち込んでいた子供たちも、しまいには「王様になって帰るんじゃなかったのか」「そうだ、王様だ」と笑い出します。この先は想像するしかありませんが、これだけ機転がきく子供たちのこと、うまく生きてゆくのでしょう。送還された以上、道端に放り出されることもないでしょうしね。いや、ロシアならわからないか(笑)。

なんだか、希望があるんだかないんだかわからないようなラストでしたが、やっぱり子供たちが笑っている以上、希望を持つしかないですね。彼らは一人じゃないし、あるいは母親が捜しているかもですし。

「木洩れ日の家で」とは趣が違いましたが、いい作品でした。なんといっても、こんなに愛くるしいペチャを探して来たのが成功だったと思います。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(Life of Pi)

2013年02月12日 22時22分05秒 | 日記

 

 
 カナダ人作家のヤン・マーテルが2001年に発表し、ブッカー賞を受賞した世界的ベストセラー小説「パイの物語」を、「ブロークバック・マウンテン」「ラスト、コーション」のアン・リー監督が映画化。乗っていた貨物船が遭難し、一匹のトラとともに救命ボートで漂流することになった少年パイのたどる運命を描く。1960年インド・ポンディシェリに生まれた少年パイは、父親が経営する動物園でさまざまな動物たちと触れ合いながら育つ。パイが16歳になった年、両親はカナダへの移住を決め、一家は動物たちを貨物船に乗せてインドをたつが、洋上で嵐に遭遇し貨物船が沈没。必死で救命ボートにしがみついたパイはひとり一命を取りとめるが、そこには体重200キロを超すベンガルトラがいた。(映画.comより)

 

う~ん、難しかったなぁ・・・。とてもスピリチュアルな映画でした。それは映像だけではなく、成人したパイが語る物語すべてがってことです。

最初は大まじめに聞いていたのですが、そのうち到底信じがたい「島」のお話が出てきたり、例えが違うだけとすぐにわかるとはいえ、話がころっと変わったり。「あれっ」と思うことが出て来て混乱しました。

デヴィット・リンチのような、感性で見る映画を理解できる人には、なんてことなくやりすごせるのかもしれません。ただ、私は頭が固くわりと理論的なので、精神世界のお話になってくると理解できないことがでてきます。

自分の能力のなさだと、わかってはいるのですが、でもわからないものはわからないのです。

すぅ~と熱が冷めてしまうのが自分でもわかりました。ダメですねぇ、人間が浅いです。

「パイは、”トラ”という”神”的な存在と共生したからこそ、自分を解放して”生きる”ということを実感できたのです」って言われても、わからないんですもん、その感覚が。

それだけ自分は平凡に生きてきてしまった、ということなのかもしれません。

ウェブによっては「実はこの類まれなるドラマの結末には、想像を絶する奇跡と感動が待ち受けている」などと書いてあるのですが、そうかなぁ・・・。そんなに想像を絶する結末だったかなぁ。自分が見誤っているのかもしれませんね、映画を。

途中で描かれる幻想世界も、本当に美しかったけれど、あまりに美しすぎて人工的に見えてしまったのは私がヒネてるせい?自分が知らないだけで、海の真っただ中にはあんな景色が本当に広がるのかしら。

ともかく、凡人な私は、巨匠アン・リーのスピリチュアル・ワールドについてゆけなかったのでした。ごめんなさい、巨匠。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フリーランサー(freelancers)

2013年02月10日 00時11分21秒 | 日記

 

 ニューヨーク市警の新人警官が、警官だった父親の死の真相を知り、腐敗した警察と巨悪に復讐(ふくしゅう)を誓うクライム・アクション。ストリート・ギャングから警官へと転身した主人公を、ラッパーで俳優でもあるカーティス・“50Cent”・ジャクソンが熱演。悪に染まった汚職警官を、共にアカデミー賞受賞俳優であるロバート・デ・ニーロとフォレスト・ウィッテカーが演じる。メガホンを取るのは、50Centをはじめ数々のミュージシャンのミュージック・クリップを手掛けているジェシー・テレロ。3人の俳優による、すごみのある演技は必見だ。(シネマトゥディより)


 デ・ニーロとフォレスト・ウィテカーですよ!それに、ずぅっと前の50セントのデビュー作もなかなかによかった記憶もあり、上映館は少ないけれど、良作に違いないと踏んで鑑賞したのですが・・・。

はっきり言って、ストーリーは穴だらけでした(と、私は思う)。俳優さんたちはみんながんばっているのですが、どうにも話がパッとしない上に、盛り上がりにも欠け、間延びしている印象を受けました。

それに50セント・ジャクソンの顔がいけませんね。もちろん、腐敗した組織の中で立ちまわってゆくのですから、楽しくないのは当然ですが、いつも歯を剥いたような顔をしていて、怖いやら気分悪いやら。こんな役者さんだったかなぁ。デビュー作で「案外やるな」って思ったのになぁ。

ともかく、デ・ニーロも脚本のどこが気に入って引受けたのか、いや感じ方は人それぞれだけれど、なんだか期待外れでした。

でも、リアリティは感じられたように思います。正直、うすら寒い思いがしました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アウトロー(jack reacher)

2013年02月06日 22時59分35秒 | 日記

 

  トム・クルーズが一匹狼の元軍人ジャック・リーチャーに扮し、難事件解決に挑む姿を描いたアクションサスペンス。英作家リー・チャイルドによるハードボイルド小説を、「ユージュアル・サスペクツ」のクリストファー・マッカリー監督・脚本で映画化した。米ペンシルバニア州ピッツバーグの郊外で、白昼に6発の銃弾が放たれ5人が射殺される事件が発生。元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕されるが、かつて米軍で秘密捜査官を務めていたリーチャーは事件の不審な点に気づき、真相をあぶりだしていく。ドイツの鬼才監督ベルナー・ヘルツォークが悪役で出演している。(映画.comより)

 

楽しめました。よくできた娯楽作品ですね。最初は「またトムちんのヒーローものかぁ・・・」くらいに思っていたのですが、なんのなんの、なかなかによくできてました。

この物語の主人公は、本当は大男という設定と聞いていました。なので「どうなんだろう」と思っていました。しかし、途中、バスを待つ人々に混ざって隠れてしまうシーンがあって、これはうまい演出だと思いました。これが大男なら却って目立ってしまうというもの。

美人弁護士のロザムンド・パイクと、どんな状況になっても一線を越えないのはカッコよかったし、男たちに使われちゃってる若い女性には「君はかわいいし、数字を操る頭もある。男になんか使われるな。この町から出るんだ」と、親身になって言うし、この女性が犠牲になった時は本当に悲しんでたし。

そんな言い方をすると、トムちんがヒーロー然としすぎてるようですが、実際そうなんです(笑)。

まさに娯楽映画。スカっと楽しむにはこれくらいじゃなきゃ。

ロバート・デュバルは相変わらずひょうひょうといい味を出しているし、話題のヴェルナー・ヘルツォークはマジで迫力があるし。怖すぎる(笑)。彼の作品、見てみようかと思いました。多分、見てないと思うので。

ともかく、理屈抜きで(そうは言っても、話は案外入り組んでいるが)よくできた脚本を楽しんだものが勝ちだと思います。

シリーズ化する必要はないと思うけどね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする