ファイバーコアは「グラスファイバーで強化した樹脂」でできた土台です。
「樹脂」はプラスチックをイメージしてください。
ですから歯科でいうファイバーは「ガラス繊維で補強したプラスチック」ということに
なります。
土台によって歯の根が割れないように、「やわらかく」作ってあります。
樹脂は接着剤とよくくっつくので、歯に強く固定されます。(金属よりも強くつき
ます。)
ファイバーコアのわかりやすいメリットは「白い」ことです。
前歯に透明なセラミックを入れるときは、中の土台が透けて見えてしまいます。
金属の土台にオールセラミックスをかぶせると、金属の影響で色が暗くなってしま
うことがあります。
ファイバーコアを使用すれば、透明感は失われません。
と書くと、いいことずくしのように感じますが、「ファイバーの劣化」という問題があり
ます。
金属にはない「劣化」という現象によってどういう影響が出るかはまだわかって
いません。(歴史が浅いからです。)
強く噛む歯の治療には金属の土台の方が安心です。
小幡歯科医院
インジウム銀合金は「歯の土台」に使う金属です。
インジウムと銀の合金なので貴金属ではありません。
貴金属ではありませんが土台の金属としては優れています。
その理由は少しやわらかい金属だからです。
何故やわらかい金属が良いかというと、やわらかい土台の方が歯が割れる
危険が少ないからです。
硬い土台を入れると、歯(実際は歯の根)が割れることがあります。(割れる
のは一般的に歯の神経を取ってから10年以上経ってからです。)
金属アレルギーの問題がある場合は土台にも貴金属を使います。
前述した「白金加金」、「金銀銅パラジウム」を使います。
強い接着剤を用いれば土台がアレルギーの原因になることはないのですが、
アレルギーがある場合は卑金属は使えません。
ただ、最近は貴金属でもアレルギーが出ることもあり、また土台にコストのかかる
金属を使うのはもったいないという発想から、「ファイバーコア」という土台が開発
されました。
コバルトクロム合金も金属床義歯(入れ歯)に使用する金属です。
チタンが歯科用に加工できるようになるまでは、入れ歯にはこの金属が主流で
した。
その他には白金加金を入れ歯に用いることがあります。
白金加金は材質的にはもっとも優れていますが、高額で重くて実用的ではなくなり
ました。
コバルトクロムは歴史があり使いやすい金属ですが、強度がチタンよりも劣るので
チタンのように薄くはできません。
また、味に敏感な人はコバルトクロムの味を感じるようです。(チタンでは味が悪く
なったという話は聞きません。)
この2つの条件がクリアーされればコバルトクロム合金はチタンよりもコストがかか
らないのでお勧めです。
チタンは生活用品、スポーツ用品の中にも使われているので、なじみのある金属
です。
歯科ではインプラントと金属床義歯(入れ歯)にチタンを使用しています。
チタンの特性は「体にやさしい」「軽い」「硬い」といことです。
もともと整形外科で骨折したところをとめるボルトに使われている金属なので、
体に害がないのは実証済みです。
軽いので入れ歯として使うときに違和感がありません。(重さは無意識に感じる
ものです。)
とても強度が強いので破損しにくく、入れ歯を薄く作ることができます。
デメリットは「加工が難しい」ということです。
これは作る側の問題なので、患者さんにとってチタンを使うデメリットはありま
せん。
ただ、とても硬いのでチタンで歯を作るのはお勧めしません。
セラミックがまだ信用できなかった頃、金属アレルギーの方の奥歯はチタンで作
っていました。
現在ではセラミックの開発が進んで、金属アレルギーの方の奥歯はセラミックを
使うことが主流です。
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治療でお話する「銀歯」とは12%金銀銅パラジウム合金のことです。
日本の保険適応の金属はこれが主流です。
金が12%も入っている金属を使う日本の保健医療は世界一です。(医療費抑制
政策によって今後はどうなるかわかりませんが。)
この金属には十分な強度があり、白金加金よりも硬いです。
ただ、硬いと言うことは歯に負担がかかる場合もあります。
金属アレルギーを除けば、患者さんがこの2種類の金属の差を感じるとすれば
「味」だけです。
安い金属ではイオンが流出やすくなるので、金属の味を感じて食べ物の味が
変わると言う人がいます。
ただ、これは味覚に鋭敏な人の話で金属の味を感じる人は少ないです。
保険治療と自費治療の金属の差は、材料の問題よりも、「適合」「形」「精度」
「適正なかみ合わせ」「歯ぐきとのなじみ」「つける接着剤の強さ」などに
あらわれます。
「ハイブリットセラミック」とは「セラミック」と「プラスチック」を混ぜた材料です。
セラミックとプラスチックのいいとこ取りをねらった材料です。
セラミックは硬すぎるので、プラスチックのやわらかさを混ぜて「歯にやさしく」
「割れにくい」性質を目指しています。
プラスチックは表面がザラついているので、セラミックの硬さを混ぜて「色が変色
しにくい」性質を目指しています。
ただ完全な材料は存在しないので、割れることもありますし色が変色すること
(特にタバコを吸う方)もあります。
ただ、セラミックよりも扱いやすいのでコストも安く、弱い歯には適している材料
です。
弱い歯とは
歯周病で少しぐらつくようになった歯
ヒビが入っている歯
大きな虫歯を治した歯
歯ぎしりや食いしばりによって負担のかかっている歯
噛む相手の歯が弱い場合
などです。
奥歯にはセラミックよりもお勧めすることが多いです。
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レジンとは歯科用プラスチックのことです。
安価で使いやすい材料です。
最近は色の種類も増え、かなりきれいな歯の色を再現することができるように
なりました。
虫歯が小さければ確実に詰めることができ、長持ちします。
歯に初めて虫歯ができた時にはこの材料を選択すべきでしょう。
欠点としては、やわらかいので噛むことや歯ブラシで磨くことによってすり減って、
ざらついてくることです。
ざらつくと変色したり汚れがつきやすくなります。
弱い歯ぐきの近くには使いたくない材料です。
初期の虫歯に使用する分には、デメリットはほとんどありません。
虫歯が大きくなる前に発見して、このレジンで治療することが「最小限の治療で
最大限の効果」を生むことになります。
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歯科用セラミックは近年開発が進んで、義歯として色々な使い方ができるように
なりました。(セラミックは陶器、瀬戸物をイメージしてみてください。)
前歯に使うことが多いですが、その理由はツヤが天然の歯と同じようにできるから
です。
自然な歯を作るにはセラミックがもっとも適しています。
ツヤも永遠に持続しますが、その表面はとてもツルツルしています。
ツルツルしているのは美しさを出すことに有利ですし、汚れがつきにくいという
メリットもあります。
汚れがつきにくく着色しないので、歯ぐきに対してもっともやさしい材料だといえ
ます。
一つだけ欠点があり、それは「硬い」ということです。
金のやわらかさと正反対の性質をもつセラミックは、欠けるという危険性を秘めて
います。
そして奥歯に使用した時には、硬いがために歯に強い負担がかかることがあり
ます。
特に「歯ぎしりや食いしばり」が強い方にセラミックを入れると、セラミックが欠け
たり歯が痛んだりすることがあります。
セラミックは前歯にはお勧めすることが多いですが、奥歯にはお勧めできないこと
もあります。
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http://www.obatadc.sakura.ne.jp/index.html
白金加金とはいわゆる「金歯」のことです。
歯科治療において、金は古くから好んで使われてきたのでトップバッターに選びました。
何故、金が歯科治療において気に入られたのでしょうか?
金はやわらかい金属で、噛んだ時の衝撃を吸収してくれるので歯にやさしい材料
として好んで使われてきました。
また金は延びるので(金の延べ棒というくらいですから)、噛んで使っていくことに
よって歯に適合していくという側面もあります。
そして、加工しやすく精密な義歯を作るのにも適しています。
現在でも義歯の内部のフレームに使うことが多いです。
しかし見栄えとしては金は嫌われるようになって、見えるところに金の歯を入れる
ことはほとんどなくなりました。
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歯科で扱う材料にはたくさんの種類があります。
金属でいえば
金
銀
銅
白金
パラジウム
インジウム
チタン
ニッケル
コバルト
クロム
非金属でいえば
レジン(プラスチック)
セラミック
ハイブリットセラミック
ジルコニア
人工の歯を作るために、これらの材料を組み合わせたりしながら用途に応じて使い分けています。
どんな時にどういう材料を使っているのかお話していこうと思います。
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