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「冬眠らぬクマ」 不安募る街

2023年11月25日 12時41分00秒 | 地域
  今年は師走が近づいても各地でクマの目撃情報が相次いでいる。
  出没が止まらない秋田市では小学生が鈴を鳴らして登下校し、住民は撃退スプレーを日常的に持ち歩く。
  エサ不足を背景に冬でも食べ物を探して歩き回る「穴持たず」が出現する恐れがあるといわれている。
  冷え込む市街地には緊張感が漂っているそうだ。

  11月中旬の朝、秋田市立太平生の出入り口のすぐそばにスクールバスが停車した。 バスを降りた
   児童らは全員、クマに人の存在を知らせるための鈴をランドセルに付けている。 「リンリン」と
   音を響かせながら教室に急いだ。
  大平小は市中心部から車で15分ほどの郊外にある。 夏休み明けにバスの運転手が校庭のすぐ脇で
   ツキノワグマを目撃し、校庭での体育の授業を中止して体育館を使った。 年内は休み時間も外で
   は遊べないんだそうだ。
  従来は体力向上のためスクールバスを校舎から700㍍の地点に止めていたが、降車場所を敷地内に
   変えた。 全児童がバスか保護者の送迎で登下校を続けているそうだ。 "菊地校長"は「大切な児
   童の命を守るためなら何でもする」。 6年生の女子児童は「校庭で遊べないのはつらいが、クマ
   が出るから仕方ない。 早く外で遊べるようになってほしい」と話している。

 秋田市内では11月に入ってもクマの目撃情報が
 相次いでいる。タクシー運転手の男性は11月中
 旬の夜、幹線道路の路肩でクマを見かけた。慌て
 て車を止めると、クマはしばらくその場にとどま
 り、ゆっくりと道を横切って姿を消した。「11
 月にクマを見たのは生まれて初めて」と驚きを隠
 せない様子だった。 「効くかどうか分からない
 けど、常に備えているよ」と‥話した。
  屋外での仕事が多い自営業のその男性は、スズメバチ駆除用のスプレーを見せてくれた。 「今ど
   の店もクマ用は売り切れだったんだ」。 市内のホームセンターでは1万5000円ほどするク
   マ撃退のスプレーが品薄の状態なんだそうだ。

  男性はこの秋、住宅街での仕事に出かける途中でクマを見かけた。 「今まで目撃したことのない
   場所。 いつ出くわしても不思議でないと実感した」と警戒する。

  人的被害も後を絶たない。 「右耳を見てごらん。左より小さいでしょ。クマに食いちぎられたん
   だ」。 北秋田市で菓子店を営む"湊屋さん"は10月19日、自宅裏の車庫の近くでクマに襲わ
   れた。 周囲は駅や市役所も近い住宅街。 「まさかこんな街中の自宅で襲われるとは夢にも思
   わなかった」と。 車庫の施錠を確かめようとシャッターを開けると、そこに体長1.5㍍ほどの
   クマがいた。家に逃げ込もうと走り出したがすぐに追いつかれた。 「頭と顔を狙われた。ゴー
   ゴーという荒い息づかいが聞こえ『ここで死ぬのか』と思った」と振り返る。 この日、市内の
   バス停にいた女子高校生ら数人もクマに襲われ負傷した。
   湊屋さんは自宅に駆け込んで命に別状はなかったが、「安全な場所はない」と感じたという。 

  秋田市の女性は「いつまで警戒すればいいのか」と不安を募らせる。 クマの生態に詳しい東北
   芸術工科大学の“田口名誉教授”によると、冬も活発に動き回る「穴持たず」と呼ばれるクマが
   発生する可能性がある。 田口名誉教授は冬は木の実などのエサがないため多くのクマが冬眠
   するとみる一方、「シカなどを食べて肉食化した場合、エサを探して活動を続ける恐れがある」
   と懸念している。 「冬眠に入れないストレスで凶暴化しやすく、エサのある人里まで行動範
   囲を広げる可能性がある」と指摘する。

  秋田はもともと街と豊かな自然が共存し、人とクマとの距離が近い。 秋田県立大学の“里崎教
   授”は「人口減などによって森林や耕作地の放棄が増え、人とクマの境界があいまいになって
   いると説明する。  人的被害の抑止に向け、東京農工大学の“小池教授”は「まずはクマの駆
   除、庭先の柿の撤去といった即効性のある対策が必要」と指摘。 そのうえで中長期的な対策
   として「クマが来たら駆除する市街地エリア、クマの生息地の森林エリア、両地域の間の緩衝
   地帯に分ける『ゾーニング』を進める必要がある」と話している。

 環境省によると、2023年4月~10月の全国のツキ
 ノワグマによる人的被害は過去最多の159件(速報地)
 で前年度(68件)の2.5倍だった。 このうち秋田県
 は3割を占める。県担当者によると、エサとなるブナの
 実などが記録的な凶作で、エサを求めて人里に近づいて
 いるとみられる。各地の自治体から対応を求める声が上
 がり、環境省はクマを「指定管理鳥獣」に追加する検討
 を始めた。指定管理鳥獣は農作物や生活環境などに被害
 を与える野生動物。計画に基づいて捕獲事業をする都道
 府県を国が交付金で支援する。 日本には本州と四国に
 生息するツキノワグマ、北海道に生息するヒグマの2種
                    類のクマが存在している。 
  ちなみに、ツキノワグマの体長は成獣で1~1.5㍍、体重は60~120㌔程度といわれています。
    〔私も昔、檻の中で飼われていた子どものツキノワグマを見たことがあります〕