今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

原発がなければ電力供給できないのか?

2011-07-12 17:13:12 | 幸福の追求
 エネルギ-に関する最近のマスコミ報道は錯綜ぎみである。原発がなければ
産業界に与えるマイナス要因は計り知れないという説がある。一方、原発がな
くとも日本の電力は十分に供給できる、という二説が報じられている。それを
反映するように、政界も混交の様相を呈している。どちらが本当なのであろう
か。
 この点について、「ロンドン、2011年3月15日発のロイタ-」の記事を紹
介しよう。「東日本大震災に伴う原発事故を受けて、国際エネルギ-機関(I
EA)は15日、日本は原子力発電の不足分を補うだけの十分な石油発電によ
る余剰能力を有している、との見解を示した。 IEAは月次報告書で『実際
には、液化天然ガス(LNG)および石炭も使用することで需要に対応できる
可能性が高いが、LNG、石炭の両セクタ-においては余剰発電能力がより限
定的であるようだ』と指摘している。 IEAの推計によると、日本は200
9年に石油火力発電所の30%しか使用しておらず、平均で日量36万パレル
の原油・燃料油を使用し、100テラワット時余りの電力を生産した。 IE
Aはまた『60テラワット時の不足分すべてを石油火力発電で補った場合、石
油消費量は年間ベ-スで日量約20万バレル増加する見通し』としている」。
 以上、インタ-ネット(日本、原子力発電不足分補う石油火力発電の余剰あ
る=IEA)参照。注(テラ=兆)。

 上記を簡単に云えば、日本は原発がなくとも、現在でも十分に他の電力でま
かなえる設備を持っている、いうことである。具体的には、2009年で石油
火力発電所は30%しか稼働していない。100%稼働させれば、現在でも原
発がなくても十分に電力を供給できる、と世界エネルギ-機関が認めたという
ことである。
 これに対し日本の経済界は、原発以外の発電ではコストが高くなり、製造業
などへの悪影響が心配である。また、各家庭の電気料が高くなる、との見解を
すでに表明している。一方、脱原発派は、今回のように原発事故が生じた場合、
各種の損害弁償金や補償金、さらには原発の廃棄費用などを入れれば、原発の
発電コストは決して安くない。また、血税が使われるることになる。さらに住
居移転、農業の廃棄、放射物などによる病気や被害など国民は踏んだり、蹴っ
たりで即原発を止めるべきだと反論している。
 最近、菅首相は「再生可能エネルギ-特別措置法案」の成立に執念を見せて
いる。その考え方は間違っていない。このことと政局を混同してはならない。
冷静に対処して成立させるべきである。
 「原発事故さえなければ」、と云って自殺したり、泣く人達がいることを我
々は忘れるべきではない、と考える。

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