今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

誤解されている「小の三災」

2010-01-20 01:53:32 | 幸福の追求
 今年も神戸大震災の起こった日が来た。6434人のご冥福を祈る
のみである。それにしても大自然の猛威を感じざるを得ない。人力は
微力である。現在の地球は不規則になっている。温暖化の現象が顕著
になっている。一言でいえば、人類の生存に適さなくなっている、と
いうことである。それを環境劣化という。と同時に人類の生存はいつ
まで続くのか、という疑問がわいてくる。世界全体が洪水に襲われ、
竜巻も多発するようになった。これまで30年か40年に一度おこる
かどうかという現象が一年に何度も世界中で起こっている。これが現
実である。好きとか嫌いという問題ではない。ブッダは2500年も
前に、今日の到来を仏典で説いている。いつかは人類もこの地球上か
ら消滅する時がくると云っているのである。それを諸行無常、諸法無
我という。その人類が滅亡するプロセスを「小の三災」という。病気
と飢餓、最後に戦争(闘争)で人類は滅亡するとブッダは説いている。
 一方、我々の属している天の川銀河には1000、宇宙全体では1
兆の宇宙人がいるとも説いている。ブッダはロマンと夢も語っている。
人類は悲嘆することはない、ともブッダは説いているのである。やが
て人類は大宇宙のどこかで、地球と酷似した星に転生するとも説いて
いるのである。人類がこの地球上から消滅しても絶望すべきでない、
と説くブッダの教えは重要である。
 いずれにしても、人類が滅亡するカウントダウンはすでに始まって
いる。これまで何十年に一度しか起こらなかった災害が、世界中で毎
年、何度も起こっているいるという現状を正しく認識すべきである。
 それが嫌悪感や恐怖心から忌み嫌われるのは当然といえば当然であ
る。しかし、野僧の粗本や本欄のブログで紹介、主張しているのは、
この地球上に人類が生存する限り、全智慧を出して、環境劣化に立
ち向かえ、と云っているだけである。たとえば、法華経の寿量品に、
名医が智慧を出し切って病気を治すことが説かれている。それと同じ
ことで、智慧をすべて出して、環境劣化に立ち向かえ、といっている
のである。自分の命は自分で守る以外に方法はない。政府に頼っても、
全世帯、全国民を守ることは不可能だからである。その意識の違いが
今後、最重要課題になるだろう。その認識の差が、問われることにな
らざるを得ない時期が遠からずくるのは間違いのないことである。
 卑近な例で恐縮だが、野僧の寺は札幌市の中心部(大通りのテレビ
塔から直線にして500mの地)に位置している。言葉を変えれば、
熱の塊の地といえよう。札幌市内では温暖化の影響を一番最初に受け
る地でもある。また、五男すべて仏教僧侶でもある。それらの事情か
ら、札幌市内の郊外の安全な地にもう一ケ寺、建立したいと計画して
いる。人類存在の最後まで、正しいブッタの教えを説く寺(根本道場)
が必要だと思うからである。そのため一昨年350坪の土地を購入し
ている。しかし、小の三災が本格化するのは2050年頃になると思
われる。よく考えてみれば、あと40年しかない。それでも新寺建立
してブッダの正しい教えを引き続いて説いてもらいたいと思うからで
ある。このように、野僧は絶望していない。
 野僧は絶望だけを説いているのではないということをご理解いただ
きたい。恐らく、22世紀を迎えられるのは5%ぐらいだとしても、
である。

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