即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

新たなバイパス

2014年02月23日 11時33分14秒 | 雑感
スケートの清水宏保さんが葛西選手のことを書いた20日の朝日新聞のコラム、とても共感したので引用させてもらいます。
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自分との対話 葛西さんの力(五輪コラム結晶)

 葛西紀明さん、ラージヒルの銀メダルと団体の銅メダルおめでとうございます。会場で応援をしすぎて、まだ冷静に原稿が書けるか心配です。

 あなたはふたつのモチベーションを持って41歳まで競技を続けてきた。ひとつは「金メダル」で、もうひとつは「自分の技術を完成させたい」という思いだ。

 人間、30歳を過ぎれば、肉体的には必ず衰えていく。今までできたことができなくなってくる。しかし、彼は神経を鍛えた。伝達系の神経だ。僕はよく「筋繊維と対話」すると書いてきた。ひとつの筋繊維が衰えればほかを鍛える。その筋肉と対話しながら、心臓手術のように新しい神経のバイパスを作っていく。そういう作業を続けてきた。

 僕はソルトレーク五輪前に左腰を痛め、普通に歩いてもつまずくような状態だった。それでも筋弛緩(きんしかん)剤の注射を打ち、どうにか新しいバイパスを作って銀メダルまでもっていけた経験がある。

 人間、年はとる。必ず衰える。後戻りはできない。しかし、自分と対話しながら新しいバイパスを作ることはできる。アスリートに限った話ではない。それを葛西さんは示してくれた。もし、彼が金メダルを取っていても、僕は引退宣言しなかったと思う。二つ目のモチベーション、自分の技術を磨いていくという楽しみが残っているからだ。五輪のメダルは4年に1回しか評価されない。でも、自分と対話しながら、普段から自分を磨くのが楽しいのだ。

 ジャンプという競技は自然とも対話する。自然と対話する時は常に自分とも対話している。例えば、日常に置き換えると、ジョギングも走りながら自然と対話し、そして自分とも対話しているのだ。今回、葛西さんが見せてくれたのは、この究極の形だろう。

 大きな感動を与えてくれたのと同時に、スポーツの持つ根本的なおもしろさを41歳でみせてくれた。中高年のみなさん、何か新しいことに踏みだそう。そんな気になりませんか。

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“人間、年はとる。必ず衰える。後戻りはできない。しかし、自分と対話しながら新しいバイパスを作ることはできる。”という言葉が響きます。
記憶力も体力も集中力も年々なくなってきてるけど、葛西選手に負けないように自分と対話して新しいバイパスを常に作り続けていく努力、していきたいと思います。

それにしてもオリンピック中でも毎日ブログを更新しているし、4年後(8回目)、8年後(9回目)も出ると言ってる葛西選手、応援していきたいです。(葛西紀明オフィシャルブログ『神風ジャンパーの挑戦』

歳を重ね、当然いろいろ衰える部分は出てくる。
そうきたか(そうなったか)、じゃ、こうしたらいいか、この手はどうだ?
と将棋の指し手のように新たなバイパスを編み出していく。
三手先、五手先までいろんな可能性の手をしっかり読んでおいて、常に劣勢に陥らないよう、局面をよくするような手を用意する努力。
もがき苦しんで新手を編み出す姿勢。

いくつになっても人生おもろいことあるし、やりたいこともつきないから、常時真剣に考えて、準備して、対処できるようにしておかないと。

アスリートの話ではないけど棋士の羽生さんは年齢への対応についてこの本だけでなくいろいろ語っています。
大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


『体力や手を読む力は、年齢が若い棋士の方が上だが、「大局観」を使うと「いかに読まないか」の心境になる。将棋ではこの「大局観」が年齢を重ねるごとに強くなり進歩する。同時に熟練になり精神面でも強くなると六十歳、七十歳になって、この「大局観」は戦うための柱となる。』

『「大局観」は多くの経験から培われるもので、自分以外の人間の過去のケースをたくさん見ることでも磨かれていく。いわば、「大局観」には、その人の本質的な性格や考え方がとても反映されやすいのである。』

『メンタルな部分は、年齢を重ねれば重ねるだけ、上がっていく部分だと私は思っています。長老の知恵、年配の人間のもっている揺るぎ無い知恵というか。』

『選択肢が多いことは、迷いにつながる。
がむしゃらに読み込む力は、年齢が若い棋士が上だが、熟年になると、この「大局観」で逆に「読まない心境」となり、勝負の上で若い棋士とも互角に闘える。』

そして同じように不惑となったイチロー選手もこのテーマについての質問にこのように答えています。

「昔できたことが今できない、ということが見当たらない」

「年齢に対する偏った見方をしてしまう頭を持っている人に対して、お気の毒だなと思うことはあります」

「時間という概念も人間が作ったもの。ある年齢になるとこうなっているだろう、なっていてほしいという思いが垣間見えてちょっと嫌」

「先輩たちがなかなかやってきてくれなかったので、そういうきっかけを作るのが僕たちの使命。具体的な例が出てこないと変えられない。
そういう選手がたくさん生まれることが、一番影響を与える」

葛西選手、羽生さん、イチロー選手。
棋士でも、アスリートでも40歳を越えたら下り坂になるのが当たり前という既成概念を日々破りつつある。

ということでいろいろ勇気をもらいつつ、自分と対話しながら、経験に基づく大局観をベースに自分なりの工夫を重ねながら、少しずつでも前に進んでいきたいです。

いくつになっても自分を磨いていけるはずだし、自分らしい新たなバイパスを常に作っていく努力をしながら、一手一手、慎重、かつ、大胆に、指し手を進めていけたらと思っています。
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