波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

第33回『ほんのおつきあい』交流記録

2023年08月18日 | 読書

7月の『ほんのおつきあい』、コロナも落ち着きやや安心して4人参加で読書感想交流。今回は、主催者の波風氏から初の宿題交流もあり楽しかった。一冊の本をもとに語るのもアリだね。


ママヨ
 『なつかしい時間』(長田弘著:岩波新書)、昭和から平成の時代を舞台に詩人ならではの言葉選択でごく身近な身の回りのこと、懐かしさを感じる記憶を書いている。中に、『智恵子抄』の『あどけない話』があり(『遠くを見る目』から)、21世紀は戦争の無い平和な時代になると思っていたら9.11でとても悲しく辛い気持ちになったことと重なった。難しい言葉を使わず大事なこと深いこと考えさせられることが詰まった1冊、★4(5段階評価)。

 

 

 

 

 

HH(女)『ハンチバック』(市川沙央著:文藝春秋社)、今期の芥川賞作品。受賞インタビューが心に残り図書館で借りて読んだ。「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」主人公、題名の意味は『せむし』。文章が上手く、エンタメとして楽しく読める。行間に健常者への怨み、生まれてきたことへの怨嗟が。重度の障害者を一括りにして1人1人が違うことを全く理解してこなかったことを強烈に自覚させられた。★5

 

 

 

 

 

 

 

 

MS(女) 『夢をかなえる象』(水野敬也著:文響社)、全5冊の1冊目で今のところ★4。芥川龍之介『芋粥』を読み、欲しかったものが手に入ると思った時に「これで良いのかと」と躊躇し、食べられなくなったのではと思った。疑問は、芋粥を腹一杯食べさせようとした上司の理由は何か?上司に従って道案内する狐は何を表しているのか?・・・・交流会はこの疑問を巡って白熱、龍之介『鼻』と比較して欲望の違いや、龍之介の人間観・価値観にも話及ぶ。

 

 

 

 

 

波風氏 『お菓子の包み紙』(甲斐みのり著:グラフイック社)、懐かしい記憶というか甘い憧れというかこの手の本に弱い、全140ページに洋菓子和菓子の包み紙がオールカラー、本を処分している最中だが「買って良かった」の一冊。菓子本体より包み紙の方が不思議に魅力的、六花亭はやはり秀逸だなあ★5。『緑の画家 鈴木信太郎 喪失と祈り』(安藤京子著:慶應義塾大学出版界)、1895年生まれ(1989没)の画家の絵を偶然サイトで見つけ強烈に惹かれる。鮮やかなのに落ち着いていて親しみのある題材と線に童心を思う。画集欲しいが難しく絵はもっと難しい。この丁寧な評伝を読み「何をどう描くか」以前の「どういう心が大事なのか」を考えさせられる。俺はこの道を行くのだ、を貫くと道は開ける。★5。


【お知らせ】今月の読書交流会は8月27日(日)14:00~16:30予定。会場:波風食堂、会費:200円(珈琲、オヤツ)。交流する本は1冊で粗筋か内容と感想を15分めどに。宿題出します(笑)、8/11の公式裏ブログ記事『楽しく生きる心』の短歌を参考に、暮らしの中で思うあなたの「たのしみ」を教えてください。初めて参加する方は、黙って聞いていても可、但し司会者が無理やり発言させることあり。ではよろしく。

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