古墳時代以降の日本では、豪族たちが土地と人民を支配していた。
それが「大化の改新」によって、律令国家となっていく。
律令制の中央集権により、
豪族、人民、土地を、天皇が直接支配することとなる。
先々月、平安時代と律令国家に関わる記事をアップしてから、
何かが、しっくりしないように思っていた。
(関連する過去の記事「新元号の2年目は、5月の気分。」)
学生時代、日本史の成績が良かった訳でもなく、
ちゃんと勉強すらしていなかったけど。
当時の朝廷は、色々な土地政策も行なっていたような気がする。
何かを見落としているようにも思える。
そこで色々と調べてみることにしました。
平安時代以前の743年(奈良時代)、墾田永年私財法が出されると、
地方の有力者(豪族など)には、
新たな土地を開発していく“開発領主”になるものが出てくる。
※現在なら、新規事業へチャレンジしていくベンチャー企業や
青年実業家のようなもの。
地方の役人である“国衙”(”こくが“と読む)は、
そうやって開発された土地を、国の公領として取り上げようと、
律令制(国や天皇の権威)を利用して、何かと、ちょっかいを出してくる。
まあ、地方の役人にしてみれば、土地を取り上げてしまえば、
自分たちの税収は増え、たらふく食っていける。
民間の事業主に面倒ごとを押しつけて、
うまみのあるところだけありつこうと考えるのは、
今も昔も変わらないというところ。
ブルドーザーやトラクターなど存在しない時代、
労働環境は、すべて肉体労働になる。
国に逆らうつもりはなくても、面白くもない話である。
それに木っ端役人の言いなりになって、
土地を引き渡しても、生活を保障してくれる訳でもないのは、
(これまた)今も昔も変わらない。
そこで、若社長…ではなくて、
開発領主たちは、“自分の土地”を皇室や大貴族、寺社などに
“荘園”として寄進することで保護を受けることとなる。
大物政治家(議員のエラい人)を通じて、
お役所に圧力をかけているような構図は、どこか印象が悪いけど。
お役人やエラい人たちの不正や腐敗を是正する制度もなければ、
個人の財産が保護されるような時代でもないのだから、
無防備でもいられない。
こうして、私有地を得た“荘園の領主”たちが増えていくことになる。
もちろん、こんなトラブルが1度や2度で済むハズもなく。
その都度、有力者たちへの寄進も必要となったと思われる。
悪政や愚法(悪法や愚政?)が、不正や腐敗の要因になり。
お役所への不信感が、大物政治家の地盤につながっていくのは、
いつの時代でも聞くようなことだけに困った話。

追記:
実のところ。
当時、朝廷の支配力は、すべての地域に及んでいたというものでもなく。
制度(律令制)を守れていない地域も多かった。
朝廷の力が及ばなければ、朝廷に守られることもなく。
自力で、身を守るしかない地域では、
税を納める義理を感じることもなかったのかも知れない。
平安時代は、そんなときに院政まで絡むのだから、かなり面倒臭い!
「トチはキシンとしましょう」などと記せば、
受験勉強みたいだけど。
現在の世界でも、共〇党により一党独裁となっている国家があり、
「人民や土地は、すべて“党”のものだ!」と言っているらしい。
それに、土地の権利に絡んでのトラブルは、
国家間だけでなく、個人でも起きていることだけに、
他人事として笑ってもいられません。