戸惑い八景

見たり聞いたりしたモノを独自に味つけしました。
飛騨の高山から発信しています。

こまめに動くのは

2015年08月03日 | 想うこと

 

昨日の日曜日、久しぶりに名古屋へ行きました。

娘と娘の友達がオープンキャンパスに参加するため名古屋へ行かなければならないので、妻と一緒に名古屋まで送っていったのです。

夏休み四人で行くわけですから、普段使用しているライトバンではきついだろうと、トヨタレンタカーで、”ビッツ”を借りて名古屋まで走りました。

昼ころ名古屋に着いたのですが、車は夜に返せばいいわけですから、何をしようかと考え、とりあえず映画でも観ようと色々と検索しました。

そして、名古屋駅西側にある映画観へ、映画を見に行きました。

ですが、夏休みの日曜日、映画自体は混んでいないと思うのですが、駐車場が一杯でどこにも停められません。

映画観が入っている施設の駐車場も何台も待ちの状態で、待っていては映画に間に合いませんから、諦めて帰ることにしました。

ですが、帰り道、狭い道に駐車場へ入るための車が停まっていて、前に進むことができません。

うちらの二台前の車が駐車場に入るため、左側の通路に車の半分だけ入れて停まっています。

そのため、うちらの直前の車は、次に駐車場へ入るため斜めになっているのですが、これが道をふさいでいて、後続の車の進行の邪魔になっているのです。

うちの車は帰ろうにも前に進むことができません。

そうこうしているうちに、次々と帰る車が後にやってきて、前にも後にも進めなくなってしまいました。

本当に弱ってしまいました。

帰りたいのに帰られないのです。

二台前の車は、レクサスの黒いリフトバック車です。

直前の、道をふさいでいるのが、ベンツの黒いCクラス車です。

さてどうしようかと迷いながらも、私、クラクションを鳴らしました。

すると、黒にベンツは、少しですが、どけようと少しだけ進みました。

ですが、黒のレクサスはびくともしません。

ちょっとだけでもいいから、レクサスが駐車場内へ入れば、後の車は進めるのです。

が、まったく動こうとしません。

気がついてみると、私の車の後には、いつのまにか10台くらいの列ができていました。

ですけれど、どの車も静かに待っています。

映画はすでに観られなくなっていますから、誰も帰りたいと思っているのですが、黒のベンツが道をふさいでいるため、帰られないでいるのです。

私も男ですから、意を決して、何回もクラクションを鳴らしました。

2台前の黒のレクサスが、ちょっとだけでも駐車場内へ進めば、後のベンツも入られますから、私たちは前に進めるのにと。

それでも、まったく動きません。

その間、5分ほど。

こうなったら仕方がないので、私、ビッツから下りて、二台前まで行きました。

どけてくれるようにお願いするために、炎天下の中。

スモークガラスの中は見えません。

運転席の窓を軽くノックしました。

運転席の窓が下りると、運転席には、若いお母さんが座っていました。

となりに小学生くらいの息子を乗せて。

そこで私、「すいませんが、後が詰まっていますので、車を駐車場内へ勧めてくださいますか」、とお願いしました。

すると、若いお母さんは、苛ついた様子で、「駐車場内が一杯だから、私は帰りたいの。バックさせたいんだけど、後が来ているから動けないの」、と仰いました。

わかりました、と。

それで私、黒のベンツの横に行き、運転席の窓を叩きました。

もちろん、スモークガラスですから中は見えません。

私がノックすると、運転席の窓がすぐに下りました。

運転されていたのは、やはり、若いお母さんでした。

後の席に子供たちを載せて。

私、「前の車は帰りたいそうです。ですから、私も車を後に移動させますから、あなたもちょっと車をさげてもらえませんか」、と頼みました。

すると、運転席の若いお母さん、「はあー?」、と怒りにも似た声を発せられました。

「帰りたい?」、と私に訊くのです。

「はい」、としか答えようがありません。

「わかりました」、とベンツに乗った若いお母さんは、窓を閉めかけ車を移動させようとしたようです。

もっとも、締まり間際、「すいません」と仰いましたが。

すると、ベンツが移動するまでもなく、レクサスの意図が後に伝わったということが分かったのか、すぐにレクサスはバックし、駐車場から離れて帰っていきました。

私がビッツへ戻る前に、ベンツは駐車場へ入り、道は空きました。

それで、私たちは無事に帰ることができたのです。

後から、10台以上の車たちが移動していきました。

炎天下の中、セレブ同士の無言の対決の仲裁に入ったのは、ビッツに乗ったくたびれたオッサンだったのです。