普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

揺らぎ始めた6年制の教員養成

2010-03-01 10:33:33 | 鳩山内閣

日教組の政策丸呑みの民主党マニフェスト

 朝日新聞が教員養成、公約の「6年制」にこだわらず で次の様に伝えています。
・民主党がマニフェストに掲げた「教員養成6年制」について、鈴木寛文部科学副大臣は27日、福井市内の「日本における教師教育改革」のシンポジウムの講演で、6年制にこだわらず、「『4年プラスアルファ』で少なくとも1年間、長期教育実習を抜本的に拡充する」と語った。教師になるまで従来の4年が6年に延びると学生の負担が増すなどの批判があり、マニフェストを修正して現実的な案を示した形だ。
 教員養成に関して民主党はマニフェストに「教員の養成は6年制(修士)」と明記した。好意的な意見の一方、教員養成系大学の人気が落ちる▽学生の経済的な負担が増える▽実習を受け入れる学校の負担が大きい――といった批判の声もある。

[私の意見]
 これは民主党政策集INDEX2009
の「教員の質(養成課程を6年制に)と数の充実」で書かれているように、日教組の主張に従って、自民党政権で制定された「教員免許制度を抜本的に見直し」の対案としてだされたものです。
教員の養成のための6年制の問題点
 私は朝日新聞が指摘した問題点以外にも次のような基本的な問題点があると思います。
・人の生命を預かる医師ならともかく、高校を出て6年も掛からねば小学校の教師になれないのこと事態に問題があるような気がします。
 昔は旧制中学出は小学校を出て6年間(詰まり今の新制度高校卒) 、高等小学校出は7年間(詰まり今の大学の教養課程終了)で教師になれましたが、特に問題はないどころか、父兄からは先生は一段上の存在として尊敬されていました。
・勿論、現在の様に高校卒が当たり前の時代ですし、社会の進歩や複雑化、父兄の考え方の多様化とそれに伴う児童・生徒の多様化、困った父兄や児童生徒の発生と言う問題で、高校出ではとても対応出来ないのは明らかですが、それでも皆が大学院程度の特殊の人を作らねばならぬと言うのは明らかにおかしいような気がします。
・要は大学で教育の専門教育を受けており、本人が社会人としての常識を備え、社会人として充分立って行けるしっかりした考え方を持っておれば充分に教育できる筈だし、またそう言う環境を作ってやるべきだと思うのですが。
・私は日教組のやり方に対しては反対の立場ですが、それにしても中・小学校の教師は余りにも大きな負担がかかり過ぎていると思います。
 昔の私どもの子ども時代にくらべると、家庭の躾けのできていない子、子ども社会を経験せずに団体生活のルールが判らない子、素直でなく物事に集中出来ない子、塾で学校より先に勉強が出来る子と普通の子を同時に教えねばならないこと、モンスターペアレンツ、そして何かとあれば暴力行為とされる、そんな教師を護って呉れる人が誰もいない、それに溢れるような報告書類などなど。
 これでは落ちこぼれの教師が出るのは当然です。
 私は教育改革を目指した安倍さんの時代から、教師のスーパーマン化への期待はおかしいと書いてきました。
 そんな難しい教育環境を処理せずに(安倍さんがやりかけて挫折しましたが)、6年間も教員養成に時間と金を掛けねばならないのは、教師のスーパーマン化を目指すもので、明らかに筋が違っていると思うのですが。
 この様な環境が出来たのは、多くの要因があると思いますが、日教組などの教師の組織と文部省とせめぎ合いによる戦後以来の教育の成果?が今のような悪化した教育環境を作った大きな要因の一つだと思います。
 そうは言ってもこのような事態を嘆いても仕方がありませんので、当面できそうな対策を考えて見ました。 (と偉そうに書きましたが、余りにも問題が多すぎ、深すぎるので対策のヒント程度と見て下さい。)
教育委員会
・教育委員会は今までの教師の管理よりその支援に力を入れる。
 学校、教師からの報告書類を減らす。問題があれば委員会の方から学校へ出向く。
 下記の学校のやる事に対して支援体制を整える。
 父兄の教師への攻撃の防波堤になってやる。
・父兄を教育する。
 父兄の責任の明確化をする。
 家庭内の躾け、規律正しい子どもの生活態度、携帯、テレビ、パソコン、ゲームなどの使用制限、読書の習慣づけなどなど
 校外での子どもの活動への地域の関与の支援体制を整える

小・中学校
・事務の合理化。教育のマニュアル化、教育資料の共同使用、業務の改善活動など
・今までの権利重視、義務・責任の軽視の教育を改める。
・九九の計算、百マス計算、読書など自学自習と単調な学習に耐える習慣をつけさせる (集中力の乏しい子に神助さんやタモリさんなどのように面白おかしく教えるために物凄い時間と労力を使っているようです。それも大切かも知れませんが、集中力の養成や辛抱する訓練も欠かせないと思います。)
・塾に行かなくてもある程度(例えば70点)までの学習の成果が得られるまで(少なくとも希望者には)学校が責任を持つ、そのための補習授業などは厭わない
・問題がある生徒には担任任せにせず全校の教師が協力して当たる
・手不足のときは地域のボランティアの人達の協力を得る
  以上思いついただけでも、普通の社会人の常識と考え方を持った教育の専門教育を受けた教師ならなんとかやって行けそうな気がするのですが。
 それにしても[民主党政策集INDEX2009]内の教育の責任の明確化で国は教育の義務だけとし、その他の中央教育委員会の設置、保護者や地域住民等による「学校理事会」の設置、学習指導要領の大綱化、 (北教祖が言うような竹島は韓国領など例え地域に限っても学習指導要領入れられることになります)教科書の充実(内容は地域ごとの選定)などなど、その他の教育の基本的なことを(全国的な議論になりやすい)国から切り離し、(教師を含む)国民の代表や地域の代表に分散させて、日教組得意の「吊るし上げ」戦法で実質的に自分達の意のままにしようとする戦略丸見えの民主党の政策は本当に困ったものだと思います。(*注記)
 日教組は今のような(権利重視、義務軽視の教育がモンスターペアレンツを産んだような)教育環境悪化の大きな一因は自分達にもあり、その為に6年も教員の教育に余計な金を使わねばならぬと言う反省はないのですかね。
 そしてそんな分かりきった日教組の政策を民主党は何故そのまま自党の政策に挙げたのですかね。 

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*注記:日教組の戦略
 
日教組は本丸の文部省との交渉で「ゆとり教育」と言う名の、授業時間の縮小と土曜日休日を勝ち取りましたが、地域や学校でも民主主義と称して、校長や教頭を吊るし上げで、成果を挙げてきました。
 その日教組の地域集中の戦略の現れが、地域により、また同じ地域でも学校により巧く行っているところと巧く行ってない所があることに示されています。
 詰まり日教組の地域や学校ごとの活動の差が、上記の様な差が生れてくる一つの大きな理由です。
 そして私のように教師の娘の転勤ごとに、巧く言っている学校に行けばよいがと心配しなければならないのです。