普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

経済界から酷評の鳩山政権の経済無策

2010-03-18 06:10:36 | 鳩山内閣
 予てから鳩山政権の経済政策に不信感と言うか、極論すれば経済無策と思っていた私は、新聞広告で経済界の論客で知られている伊藤忠の丹羽さんが文芸春秋で「鳩山さん経済無策では国が危うい」と言う文を寄稿しているのを見て、「情報源は新聞、テレビ、ネットだけ」の私としては珍しく文春を買ってきました。
 今日はその中から特に眼についてことを抜き出して見ました。 黒字は私の意見です。)
[前文]
・新政権の経済政策の評価について尋ねられても、逆に「経済政策なんてあるのですか」と問い返したいくらいだ。
日本には成長する可能性があるとまだ十分にある。ただそれは今後の方向性を見誤らないことが条件だ
[絵に書いた餅」の成長戦略」
・環境産業を経済の牽引役とすると言うが、国際エネルギー機関(IEA)によると20年でもクリーンエネルギー全ての電力は日本の総電力量の6.1%の増加しか見込まれていない。 私も予てから製造業からの輸出量と環境産業の生産量に大きな差があると書いて来ました。
・政権の唯一の経済政策と言える「子ども手当て」にも大きな疑問だ。
 菅さんの答弁でも、子ども手当ての乗数効果は投資1に対し0.44と言う。
 これにくらべて、公共投資の効果は1.28と言われている。 鳩山政権は経済不況と言うのに即効性がある公共工事をばっさりと削減してしまいました。
 まして子どもを育てるための不可欠の施設の拡充なしに現金を配っても子どもを産もうとする女性が増えるはずがない。 鳩山さんは「参院選前に子ども手当てが出れば、政権交代を国民は実感するだろう」と言っています。詰まり参院選向けのばら蒔き政策です。一方丹羽さんが言うように金より保育施設だと言う若い人も多いようです。
・このまま有効な経済政策がなければ、
 海外投資家に対して魅力を失いつつある日本→外国からの資金流入減少
 日本の市場価値が下がる→日本の国債の売却→国債の暴落→日本経済の崩壊
と言う事態になる。民主党公約の経済政策欄を見ますと中小企業向けの政策ばかりで、これを発注する側の大企業への政策は1件だけ。注文がこなければ下請けはお手上げです。
・今の日本に必要なのは、10年後の日本をどうするかと言う明確なビジョンを世界に対して早急に示すことだ。
[ミラクル・ジャパンを支えた財産]
・35年間の日本経済を振り返ると、経済成長の端緒は政官業一体の輸出拡大にあり、それに誘発される形で内需が拡大してきた。丹羽さんの言うMITI株式会社、一般に言う日本株式会社化の元での経済成長でした。
・日本の教育は極少数のエリートを育てるのではなく、分厚い良質な中間層を産み出した。彼らは労働者であると同時に厳格な選択眼を持った消費者でもあり、彼らを満足させる高品質の製品が日本から世界各地に輸出された。消費者からのクレームに誠実に対応する企業。質の高い従業員達の自主的な改善活動が今品質の日本の製品を産み出しました。
[日本ブランドで「ハイプレミア社会」を]
・10年後の日本社会のあるべき姿として、「ハイプレミア・ソサエティ」を提言したい。高い教育を受けた住民、安全な住環境や食生活、生命や財産の危険を感じることなく誰もが済みたくなく社会だ。
・新興国が日本と同じ教育レベルに達するには後20年ははかかる。
 その20年間に日本がさらに技術と人材に惜しみない投資を行えば、彼らから追いつかれることはない。
・この35年の歴史は日本経済の成長には輸出の戦略が欠かせないこと、そして「技術の人材」に教育がいかに大切な役割を果たしているかを示している。
 鳩山政権は「コンクリートより人への投資」と言いながら、丹羽さんから「技術と人材」無視と酷評されています。
[鳩山政権の懸念すべき教育軽視]
・現政権の政策は人と技術と言う日本独自の資産への配慮を怠っており、国力を弱めるとしか感じられない。
・高校無償化を実行しても日本の教育レベルが急に上がらない。 勉強嫌いな生徒にも無償化適用など金をどぶに捨てるようなものです。
 それより力を入れるべきと大学から先の高等教育だ。
・教育には時間がかかる。それに気付いたときはもう手遅れだ。私もそう思いますが現実は政権の支持母体である日教組が平等主義で教育レベル向上の足を引っ張ろうとしています。
[経済力なき国は世界で存在感を失う]
・日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された時代を日本自身が手本とすることなく、現在の危機を招いた。
・日本製品の信頼の揺らぎは日本の技術やガバナンス全体の信頼を損なうことに繋がり日本の輸出産業全体に悪影響を与える可能性を秘めている。特定の会社を守ると言う意識を捨て、国を上げてのバックアッブをしなければ、日本は回復不能なダメージを受けることになる。政府は米国のトヨタのリコール問題バッシングに就いては傍観しているように見えます。
・経済力がない国は世界舞台での発言力など持つことはできず、その存在感を失うことは自明だ。
[一刻も早く税金を再配分せよ]
・経済の成長には労働人口の増加、資本投下の増加、生産性の上昇と言う三つの要素があるが、前2者はどちらも現実には期待できない。
 これの解決には税の再配分しか考えられない。
・政権は消費税を4年間あげず議論すらせずに、政権は社会保障を経済政策にすると主張しているが、財政規律を守ろうとすれば、この分野の投資拡大は不可能だと誰でも判る。
・ところが政権は厳しい現実から眼を逸らし、新しい政策は何一つ打ち出していない。
・日本の歴史が示すように、日本経済成長の鍵は輸出だ。
 単純に金をばら蒔いても内需は拡大しない。
 国が一丸となって企業を成長させるために輸出に力を入れ、その増加から内需拡大に行く政策が必要だ。
 私はこの欄の丹羽さんの意見に全面的に賛成です。
[今一度経済原理の勉強を]
・アダム・スミスは豊かな時代の愚策は大した影響はないが、国難のときは愚策は国を滅ぼしかねないといっている。
 これはまさに今の日本に当てはまる。
・ここで経済政策を誤れば、日本経済の浮上の可能性は完全に断ち切られることになる。
・経済は生産と需要の両輪で走っている。
 大企業や生産者サイドに耳を貸そうとせず、市場原理主義は悪だと、生産を軽視し需要拡大ばかりでは、企業の成長なしはに国の経済成長など見込める訳はない。
・鳩山総理以下は経済原論を読み直し、財界の声にも耳を傾けて、日本の経済成長について超党派で考えて貰いたい。
[私の意見]
 民主党の公約は一口に言って野党としての公約だと思います。
 詰まり前政権の政策の穴を突いたニッチな公約です。 (前に書いたように中小企業中心の経済政策がその好例です。)
 その政党が政権を取ったのですからその隙間を突いた公約に就いて批判を浴びるのは当然です。
 政治の連続性から言っても、安全保障と同様に前政権の流れを踏襲し、それから自党の公約を徐々にはめ込み改善すれば良いのに、いきなり隙間政策を政権運営の本流の政策にするのですから。
 最大野党の自民党ががたがたしていることを考えると、隙間を突いた経済政策がここ数年も続けば、丹羽さんが心配するように取り返しのつかない日本経済の崩壊が起こるかま知れません。
 国民は後は鳩山政権の良識に待つしかないのでしょうか。
 世論調査が示すように、「公約の変更をしても良い」という政権に優しい国民の意識がある内に、経済政策の大幅な見直しをする機会はあると思うのですが

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