普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

何故か肝心のことを報道しないNHK・高遠さんと自己責任

2010-03-04 07:00:01 | 情報、マスコミ

 昨夜、NHKのクローズアップ現代で「終わらぬイラク~高遠菜穂子さんの6年~」の放送がありました。
 政府の再三の警告にも関わらずイラクに入国し日本の自衛隊の撤退を訴える武装勢力に拉致された三人。日本政府に救出され帰国した高遠さんが、自己責任として世の中の批判を浴びて一度は自殺まで考えたこと。その後立ち直り国内の募金で得た金でイラクへ救援物資を送る活動。現在ではヨルダンでイラクの人達の支援を続けていること。高遠さんを支持している部族の人達の招待でイラクに入国。現地での被害者の多くの墓を見て号泣する高遠さん。支援物資を送られた子ども達と面会。車で去る高遠さんを追って走る子ども達。その映像の中で度々でる「自己責任」の文字。
 イラクの戦争は一体何だったのか、日本はどうあるべきだったのかを問うゲストの江川紹子さん。
 私はこの番組を見る前に、何故今頃高遠さんを取り上げたかの理由を知りたい好奇心と、今までのNHKの放送の仕方から考えて、自己責任の言葉が何故出てきたかの説明は多分無い筈だろうとの予測をして見ていました。
 番組が終わっても、高遠さんを取り上げたの理由は判らないまま、自己責任の言葉が出てきたかは予想通り具体的な説明はないままでした。
 番組を見終わって判ったのは、NHKは自己責任の非難で傷つきながらの高遠さんの活動を通じて番組では触れませんでしたが、遠回しに政府の対応の不当性を訴えたかったようです。

 この問題については、私も06年の7月に中東の紛争や戦争から学んだもの(5)自己責任-メディアの対応]で取り上げましたのでその概要(青字)を見て下さい。 黒字は私の追記です。)
 マスコミ中東の紛争と戦争で多分一番に話題になったのは「自己責任」の話題でしょう。
 この件については既に言い尽くされていると思うので、ここではマスコミの対応の仕方について考えて見たいとおもいます。
・好き勝手なことを言う家族の場面を繰り返したテレビにうんざりした国民
 私や私の家内、私の周辺の人達は、彼らの家族の人達が記者会見で、(政府の入国禁止を無視して迷惑を掛けたと言う謝罪の言葉は一言もなく)"繰り返し繰り返し"、彼らの生命を救うために自衛隊の引き上げをしてくれとか、好き勝手な事を言っているのに皆腹をたてていました。
 いやもっと正確に言えば、NHKを初めとするテレビで、(彼らの一方的な言い分に対するコメントもなく)同じ記者会見の場面で"繰り返し繰り返し"彼らの言い分を聞かされて次第に腹が立って来たのです
 勿論テレビの関係者としては、これ以外に絵にするものがなかったという止むを得ない事情があったのでしょうが、多分私たちと同じような気持ちで政府や与党の人達が「自己責任」と言う事を言い出したのでしょう
 しばらくして、私は週刊誌で、あの問題の会見の裏にはある思想を持った集団の支援があったことを知りました。(詰まり特定の思想を持った集団が家族や(高遠さんを除く)二人を利用して自衛隊撤退のキャンペーンをしていたのでしょう。)
 然しこの事実はテレビや新聞では報道されないままでした。
 この報道をしないことは、事の真実を伝えてないことになるのではないでしょうか。
 私は、これ以来、週刊誌の報道にも気をつける様にしています。
 (三人の帰国後)純粋なボランティア精神で現地に行った高遠さん、そして(それ迄の)業績の評価を受けても良い高遠さんが、ほかの二人やその家族達と一緒にされて批判がましいことを言われていました
 戦争が終わっても充分且つ安全に出来る筈の劣化ウラン弾の調査に行った(ノー天気な)少年。
 政府の勧告に反してイラクに入って、なお救出は国の責任だと言って、その費用を出すのを拒否し続けたフリーの記者。(その後彼は英雄気取りで各地に講演して廻ったそうです。彼を呼ぶ人達もどうかしていると思いますが。)
 そして、相変わらず好き勝手なことを言っていた一部の家族。
 彼らがマスコミの注目を浴びている中で、(マスコミの人達を避けて)じっと家に閉じこもっていた高遠さんが一番可哀相だと思いました。(昨夜の報道によれば感受性の強い彼女は、自殺を考える程傷ついていたのでしょう。多くの人達は彼女のことを何も言っていないのですが、風に流されやすい人達の中には彼女にも嫌がらせの電話や、中傷の手紙など送っていたのかも知れません。)
 おそらく大多数の国民は私たちと同じ様に、一部の拉致家族の人達や(高遠さんを除く)ノー天気な二人の自分勝手な発言に怒っていたのです。(ネットで調べたのですが、彼女も講演で家族達が言い過ぎたことに触れているそうです。)
 然し、自己責任の話題は(拉致される前からボランテイア活動をしていた高遠さんと他の二人の問題、家族たちの発言を区別しないまま)何時までもマスコミの報道から消えませんでした。
 果ては某テレビで、有名な哲学者までもが、(高遠さんのボランティア活動と関連して)自己責任の問題で、政府を批判がましい発言をしているのを聞いて呆れてしまいました。
 以前からでもそうでしたが、この一連の報道から、いっそういわゆるコメンテーターや一部の識者と言われる人の発言を信用出来なくなりました。
・日本人らしい日本人もいました
 その後、橋田信介さんの死亡が伝えられた後の未亡人の毅然とした態度が報道されて、日本人として、彼女には申し訳ないが少し救われた気分になりました。(勿論、橋田さんも高遠さんたち三人とよく似た行動でしたが夫妻に対する自己責任」の批判は全く出ませんでした。)
 また立ち直った高遠さんがイラクの隣国に入って、ボランティアで、イラクに入ろうとしている日本人を止めていると言う報道を見ました。
 これをかく前にネットを調べて見ると、彼女が九条論者の活動に加わっていることからさまざまな憶測が飛んでいる様ですが、NHKの報道の様に今でもイラクの支援に当たっている活動は彼女が平和論者であるか否かは関係なくそのまま認めてやるべきだと思います。
 詰まりNHKは高遠さんを「自己責任」批判の被害者として描いていていますが、正確に言えば、彼女を一番傷つけたのは、左翼に煽られた家族とノー天気な少年と自称フリーな記者、それと彼らの言動に就いて無批判な報道をしたマスコミ、特にNHKを含むテレビのなのです。
 そして三人の拉致事件が起こってもう6年になろうかと言うのに、当時独り歩きした「自己責任」の言葉だけを取り上げ、その真相を語ろうとしないNHKは、何かあれば「弱者」の責任は無視し、政府の責任にしたがる一般マスコミの習性がまだ抜けきれないのでしょうか。

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