手稲は最高!

手稲在住30年、手稲って本当にいいなって常々思っています。時に触れ、折に付け思いついた事を、取り留めなく書いてみます。

「霜は軍営に満ちて秋気清し」・・・

2009-09-03 20:29:48 | 身辺雑記

今、窓を開けて見たら空高くくっきりと15日の月が見えていた。窓に吹く風は初秋の心地よさがある。そんな月を見ながら、上杉謙信のこの詩を思い浮かべた。

 どうも理解に苦しむところがある。詩文としてはとても素晴らしい。口に乗せても心地よい。だけど、「霜は軍営に満ちて」ってどうなのだろう。この詩は能登の七尾城を落としたときの詩だ。季節は9月13日、今の11月になるでしょうが、一面に霜が降りているというのでしょうか、それも三更というのですから、午前零時過ぎに、もうそんなに霜が降りるのでしょうか。一番気温の下がるのは朝方だと思うのですが。さらに、「秋気清し」といいますが、確かに霜の降りるようなときは澄み渡った夜空のときだと思う。その点では清らかだけれど、中秋なら秋気がすがすがしく感じると思うのだけれど、晩秋のしかも霜が降りる夜なら、寒くて、肌寒さを感じるくらいで、清しといえるのだろうかという疑問でした。

 ただ、これは詩ですから、詩的レトリックで、それをあげつらうのは野暮な話です。はるばる越後から遠征して、今素晴らしい勝利を勝ち取った謙信には霜の寒さも心地よかったのでしょう。

 李白は、「牀前月光を看る/疑うらくは是れ地上の霜かと」と歌っているが、月の光を霜と見間違えるということは、一面に降りた霜の白さを知っているということです。どうも霜が降りて一面が白くなるというのが実感として浮かばないのです。

 確かに、霜柱が立つようなときは白くなっていますが、これは冬の初めで、月が一番美しい中秋とは時期がずれるのです。

 西行の和歌に「嘆けと手月やは物を思はする・・」というのが有りますが、そんなロマンは、わが青春に有っただろうか。百人一首にとられているけれど、現代人にはなんとも女々しい、ヤワな歌です。
コメント (1)
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