うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

愛ダービー

2013-06-30 21:38:40 | 競馬日記
愛ダービーはTrading Leatherが勝ちました。ダービー馬Ruler of the Worldは5着に破れました。

父Teofiloは父Galileo×母父Danehillの組み合わせの最初期の成功例で、5戦無敗で2歳時を終えた2歳チャンピオンです。ダービー前売り1番人気にも支持され、更に3冠に挑戦するとのことだったのですが、頓挫があって結局3歳以降は出走することなくDarleyで種牡馬入りしました。ただし、Raise a Nativeをクロスするタイプですから距離が伸びるのがいいとは思えず、ダービー、セントレジャーはきつかったんじゃないかと思います。
曾祖母Victorian QueenはジャッジアンジェルーチWarPeaceと3頭のGI馬を産んだ名繁殖牝馬。その父はVictoria Parkで、この部分をどう処理しているのか気になりますが、Flares、Stimulus、Papyrusでうまく生かしています。Trading LeatherではFlaresはクロスしませんが、Fighting Fox = Gallant FoxのクロスがDanzigに含まれ、Buchanのクロスも出来ていて、こちらも十分です。

Trading LeatherはDanzig 4 x 5、Northern Dancer 4 . 5 x 5 . 6で、Natalma - Native Dancerまでクロスするタイプで、まずはスピードが効いていると見えます。しかし、母父が凱旋門賞、英愛ダービーの名馬Sinndarで、その母SinntaraはSadler's Wellsと相性のいいMill Reef、Top Villeを持ちます。祖母は愛1000ギニー、チャンピオンSを勝ち、BCターフでも2着に入ったHatoofの全妹です。その父はIrish Riverで、Sadler's Wellsとの組み合わせでサフロンウォルデンリッスンのようなマイル以下での実績のあるタイプ、Saddexのような12Fで実績のあるタイプを出しています。こちらもRiverman系でSadler's Wellsとの相性はいいですね(父Sadler's Wells×母父Rivermanと言えば凱旋門賞馬カーネギーですね)。こういったSadler's Wellsと相性が良くて、距離克服実績もある血を生かしています。更に祖父がGalileoなお陰でPrince Chevalier、Tantieme(Lombard × Sega Ville)、Princequillo、Donatelloらがクロスしていて、スタミナを補給しています。

英ダービー馬Ruler of the WorldはMr. Prospector主導で欧州芝12Fがぴったりとは考えにくかったのですが、Ruler of the WorldよりはTrading Leatherの方が距離延長に耐えられそうに思います。

宝塚記念

2013-06-25 20:32:52 | 競馬日記
ゴールドシップが強かったですね。

天皇賞春で意外な敗戦を喫しましたが、このときはどうもコンディションが良くなかったようですね。
今回は内田騎手が2週前から調教にまたがり、レースに対する集中力を高めていったのが正解だったみたいです。手抜きをする馬なんでしょうね。

スタートから押し気味に行って中段の前にポジションを取りました。その直前にジェンティルドンナ、直後にフェノーメノ。3強と言われた3頭が固まりました。勝負所の4コーナーではジェンティルドンナの外にぴったりと付いて、ジェンティルドンナの体当たりをはじき返し、内のダノンバラードを突き放して完勝でした。
内田騎手はジェンティルドンナが外にふくらんで体当たりをしにくることが頭にあったんでしょうかね。JCでオルフェーブルを弾いて勝ったときは弁護しましたが(ブログ)、その後、安田記念のロードカナロアなど弁護のしようのない悪質な妨害もありました。今回は内田騎手とゴールドシップのコンビが一枚上手で、はじき飛ばされたジェンティルドンナは連も確保できませんでした。乗り方次第で連は確保できたと思うのですが、ああいうラフプレーに頼っているようでは駄目ですね。ラフプレーをした上に負けるという最低な部類に入る騎乗になりました。
フェノーメノは天皇賞春の疲れがあったのでしょうか。ゴールドシップをマークする位置取りから、ゴールドシップに突き放されてしまいました。

今年は国内専念の予定。東京の長い直線は全く問題ないと思いますが、カチコチ馬場での切れ味勝負は分が悪いですね。ただ、国内の競馬はゴールドシップが中心になるのは間違いないでしょう。

「産駒のGI馬4頭以上クラブ」への新規入部者

2013-06-21 19:58:44 | 競馬日記
北半球においてGI馬を4頭以上出した繁殖牝馬は以下の5頭でした。

Dahlia(1970年生):ダハール(GI3勝)、リヴリア(GI3勝)、Delegant(GI1勝)、Dahlia's Dreamer(GI1勝)
Fall Aspen(1976年生):Northern Aspen(GI1勝)、Hamas(GI1勝)、Fort Wood(GI1勝)、ティンバーカントリー(GI3勝)
Toussaud(1989年生):Chester House(GI1勝)、Honest Lady(GI1勝)、Chiselling(GI1勝)、エンパイアメーカー(GI3勝)
Urban Sea(1989年生):Galileo(GI3勝)、Black Sam Bellamy(GI2勝)、My Typhoon(GI1勝)、Sea the Stars(GI6勝)
Hasili(1991年生):Banks Hill(GI3勝)、Heat Haze(GI2勝)、Intercontinental(GI2勝)、Cacique(GI2勝)、Champs Elysees(GI3勝)

ロイヤルアスコットのアスコットGCを女王陛下のEstimateが制しました。母Ebaziyaにとって4頭目のGI馬になります。

Ebaziya(1989年生):Ebadiyla(愛オークス、ロワイヤルオーク賞)、Enzeli(アスコットGC)、Edabiya(モイグレアスタッドS)、Estimate(アスコットGC)

6頭の繁殖牝馬のうち、1989年生まれはToussaud、Urban Sea、Ebaziyaの3頭。いったいこの年に何があったのでしょうか。
Ebaziyaはマルセル・ブサックからアガカーン殿下が引き継いだ牝系出身で(Tourbillonと同じ牝系)、アガカーン殿下の自家生産馬です。仔出しが非常に良好で、Ebadiyla、Enzeli、Edabiyaと初仔から3頭連続でGI馬を出しました。しかし、そこで産駒の活躍がぱったり止まってしまい、久しぶりに出たGI馬がEstimateになります。Edabiya→Estimateは13年も空きました(今年の日本のダービー馬キズナは15年:ブログ)。
EbaziyaはEla-Mana-Mou、Darshaanと重い血を持っているためか、超長距離に強く、Estimateは3頭目の超長距離GI勝ち馬になります。

Estimateもアガカーンスタッドの生産ですが、馬主はエリザベス2世女王陛下になります。以前にアガカーン殿下が女王陛下に馬をあげたような話を見た気がするのですが、どんな内容だったっけと考えていたのですが、無事、記事を発掘しました(記事)。昨年のロイヤルアスコットでEstimateがクイーンズヴァーズ(GIII)を勝ったときの記事です。
この配合の感じはどっかで見た気がするなあと思ったのですが、母父Darshaanの活躍馬は初めてみたいですから、恐らく祖母父Ela-Mana-Mouが同じのRoyal Highnessだと思います。ビヴァリーDSを勝ちました。名前、血統ともに素晴らしいので、Ped Netには記念の200000番で登録しました。

Silent Nameが頑張っている

2013-06-20 21:00:14 | 競馬日記
ロイヤルアスコット真っ最中で、これについて何か書こうかと思っていたのですが、書きたい優先順位の高いネタに遭遇してしまいました。
Adena SpringsがSilent Nameを“Canada's #1 Sire in 2013”と書いていて(Silent Nameスクリーンショット)、ほんまかいなとBloodhorseの2013 Canada Leading Siresスクリーンショット)を見たら、確かに現在1位でした。

確かに昨年、Silent Nameが頑張ってるらしいというブログを書いた記憶がありましたが(ブログ)、そんなに頑張っていたとは。
ヴェルテメールの自家生産馬として白老ファームで生まれ、アメリカで2つのGIIを勝ちました。結局、日本ではGI馬が出なかった父サンデーサイレンス×母父Danehillの組み合わせですが、海外ではSunday JoyがAJCオーストラリアンオークスを勝っていますし、日本国内における唯一の重賞勝ち馬シックスセンスは香港ヴァーズでも2着と好走しました。海外向きだったんでしょうね。

現在、北米でそれなりの待遇で繋養されているサンデーサイレンス産駒種牡馬はGaineswayハットトリックとSilent Nameだけ。母父Danehillでは今年からWintergreen Stallion Stationで供用され始めたFrankel半兄Bullet TrainとSilent Nameだけ。名種牡馬同士の配合なのですが、血統的希少性があります(Bullet Trainもそうですね)。問題はダート競馬に合うのかという点で、実際、産駒の実績は芝、AWに偏っていそうです(Silent Name - Top Runners)。

Canada's #1 Sireといっても、重賞勝ち馬はまだSilentioくらいです。早くGI馬、もしくはカナダのクラシック勝ち馬を見たいです。

仏オークス

2013-06-17 00:38:02 | 競馬日記
仏オークス(ディアヌ賞)はMotivator産駒Treveが勝ちました。3戦3勝、重賞初出走でのクラシック制覇です。

内をぴったりと回って、きれいに抜けてきました。はまったことははまったのですが、4馬身差ですから完勝ですね。

Triptychと同じ牝系ですね(曾祖母の半妹)。祖母はサンタラリ賞のTrebleの全姉。
本馬も母もヘッド家の自家生産馬で本馬はクリケット・ヘッド師の管理、母はフレディ・ヘッド師の管理。母父はヘッド家の生産ではありませんが、クリケット・ヘッド師の管理。他にもRiverman、Lyphard、ゲイメセン(アレック・ヘッドが管理し、フレディ・ヘッドが騎乗していました)と、ヘッド家ゆかりの馬の名前が血統表に現れます。
母はヘッド家によってフランスで活躍した血を豊富に持ち(Riverman、Lyphard、ゲイメセンはヴェルテメールの所有ですから、両者の共同制作といった感じです)、父方祖父Montjeuはフランスのジョン・ハモンド師が管理して、凱旋門賞、仏ダービー、サンクルー大賞典を勝ちましたから(父Motivatorはヘッド家のケスネー牧場に繋養されています)、フランスに合いそうな感じがあります。

母TreviseはAnabaa産駒でRiverman 4 x 2があり、この点では仏ダービー馬Anabaa Blueを思い出しますし(Anabaa Blue × Trevise)、RivermanクロスがあってLyphard持ちという点ではフレディ・ヘッド師管理の名マイラーGoldikova(ヴェルテメールの自家生産馬)を思い出します(Goldikova × Trevise)。
祖母Trevillari内5代目にNasrullah、Lalun、Northern Dancer、Hail to Reasonとクロス馬が並び、これは曾祖父Sadler's Wellsとの呼応によるものです(Sadler's Wells × Trevillari)。なかなかいい配合ですね。

スティーヴンフォスターHはFort Larned

2013-06-16 22:11:30 | 競馬日記
スティーヴンフォスターHはFort Larnedが勝ちました。昨年のBCクラシックの勝ち馬です。

今年、初戦のガルフストリームパークH(GII)では騎手が落馬、オークローンH(GII)では5着。かみ合っていない感じがありましたが、今年初出走のGIで本領発揮しました。楽に先行し、6馬身1/4差。かみ合えばこんなもんです。

非常に凝った素晴らしい配合です(ブログ)。

Paynterカムバック

2013-06-16 21:51:45 | 競馬日記
昨年のハスケル招待の勝ち馬、Paynterがカムバックしました(記事)。ハスケル招待の後、大腸炎と診断され長期療養に入りましたが、無事、体調が戻りました(ブログ)。

アローワンスだったのですが、Majestic Cityという2歳時にGIIを勝った馬も出ていました。しかし、全く問題にせず、4馬身半差。

父Awesome Again×母Tiznow全妹という魅力的な配合で、今年のプリークネスS馬Oxbowと全く同じ配合パターンになります。
能力、血統ともに何かあったら非常にもったいないことになるところでした。無事、回復して良かったです。

今年のZenyattaの交配相手

2013-06-16 00:59:08 | 競馬日記
Zenyattaには今年、War Frontが付けられたようですね(記事)。受胎が確認されました。過去2年に付けられた種牡馬はA.P. Indy系で、Mr. Prospectorクロスが出来るという共通点があったので、その線で考えていたのですが(ブログ)。

Bernardini × Zenyatta
Tapit × Zenyatta
War Front × Zenyatta

前2年の配合では最前面系列ぐるみクロスはHail to Reasonでした。War FrontはHail to Reasonを持たず、Danzig直仔であるため、Natalma 4 . 7 x 6が最前面系列ぐるみクロスになっています。Northern Dancer内はNearco、Hyperionのクロスがあって、十分に生かされ、影響が強そうです。他にForli 4 x 4、Petition 5 x 6なんかがあって、前2年の配合とかなり違いますね。まあまあいいと思いますが、好みなのはBernardini × Zenyattaです。

サー・ヘンリー・セシル師死去

2013-06-12 20:41:28 | 競馬日記
大きなニュースが続きます。サー・ヘンリー・セシル師が死去されました(記事1記事2記事3記事4記事5)。胃がんで闘病中でした。

英国のクラシックレースを25勝。オークスと相性がよく、8勝を挙げています。夫人の不倫問題発覚から不振に陥り、一時は過去の人になってしまいましたが、2007年のオークスで鮮やかに復活しました(ブログ1ブログ2)。そこからの再びの快進撃は記憶に新しいところです。しかし、その2007年にはがん闘病中であることを告白していました。

The TelegraphではHenry Cecil's best five horsesとして、史上最高レーティングのFrankel、牝馬3冠のOh So Sharp、名ステイヤーのArdross、ダービー馬Slip Anchor、唯一のBC勝利をもたらしたMiddayを挙げています(記事)。セシル師はJuddmonteの英国での重要な預託先であり、アメリカでの預託先であった故ボビー・フランケル師(2009年死去)の名前をとったFrankelが晩年に現れた調教師人生最高の馬になります。

Juddmonteが馬を売却

2013-06-11 20:43:29 | 競馬日記
先週はベルモントSなんかがあったのですが、そんなことを吹き飛ばす驚きのニュースがありました。
Juddomonteが馬を売却し、規模を縮小するそうです(記事1記事2)。

Juddomonte(=K・アブドゥラー氏)はダンシングブレーヴコマンダーインチーフウォーニングRainbow QuestOasis Dreamなど、書ききれないほどの名馬を所有し、最近でもWorld Thoroughbred Rankings/International Classificationsにおけるレーティング歴代首位のFrankelを出しました。本馬は現在、Banstead Manor Studに繋養中です。よってこのタイミングでディスパーサルかと本当に驚きました。

Juddomonteを語る上で必須なのはHasiliToussaudという2頭の超名繁殖牝馬です。HasiliはCacique、Champs Elysees、Banks Hill、Intercontinental、Heat Hazeの5頭のGI馬と名種牡馬Dansiliを出し、ToussaudはEmpire Maker、Chester House、Honest Lady、Chisellingの4頭のGI馬を出しました。この2頭の繁殖牝馬に加えてダンシングブレーヴ、ウォーニングの母Slightly DangerousがBroodmare of the Yearに選ばれています。名繁殖牝馬たちがJuddmonteの繁栄を支えました。

どこでどれだけ売却するかは未定とのこと。カタールのシェイク・ジョアン・ビン・ハマド・アル・サーニー閣下が買うという噂があったようですね。欧米のことですから、ばら売りではなくどこかに一括売りなんて可能性もありそうに思えるのは確かですが。