うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

皐月賞回顧

2015-04-23 01:42:37 | 競馬日記
皐月賞もキングカメハメハ産駒でした。勝ったのはドゥラメンテ。鞍上ミルコが騎乗停止を食らうくらい大きく外に斜行しましたが、そこからの脚がものすごく、圧勝でした。

母はアドマイヤグルーヴ。エリザベス女王杯連覇の名牝です。もちろんその母はエアグルーヴ。天皇賞秋とオークスを勝ちました。そしてもちろんその母はダイナカール。こちらもオークス馬です。牝系での4代連続GI勝利ってのは珍しいのではないでしょうか。他に該当するのがいたかどうか、すぐには思い出せません。ドゥラメンテの3/4同血にはクイーンエリザベスIICのルーラーシップがいます。素晴らしい良血馬ですね。

良血馬なのですが、配合としてもよくできています。
キングカメハメハはNasrullah - Nearcoが主導で、Nearco血量は10.55%。Hyperion血量は5.66%。アドマイヤグルーヴはAlmahmoudが主導でそれをHyperionが支える配合(Hyperion血量は10.16%)。Nearco血量は5.47%。ドゥラメンテでは、Nearco、Hyperion、AlmahmoudをまとめるクロスとしてNorthern Dancer 5 . 5 . 7 x 5、HyperionとNasrullah - NearcoをまとめるクロスとしてHornbeam 6 x 5があります。Nearco血量は8.01%(17個)、Hyperion血量は7.91%(17個)とぴったり均衡がとれて、NearcoとHyperionの連合勢力で血を統一しています。
5代目からクロスするクロス馬はNorthern Dancer中間断絶5 . 5 . 7 x 5、Native Dancer中間断絶5 . 7 . 7 . 9 x 7、Almahmoud系列ぐるみ7 . 7 . 9 x 5 . 7、Hornbeam系列ぐるみ6 x 5。Native DancerとAlmahmoudはNorthern Dancerクロスに含まれ、HornbeamはHyperion、NearcoでNorthern Dancerと結合、AlmahmoudとBlenheim、Gainsboroughで結合。スッキリとはしないように見えますが、完全に連携がとれています。曾祖母父がノーザンテーストですが、Victoria Park内は補正され、位置的にも深いところにあるのでバランスの悪さも気になりません。Brantome、Prince Chevalier、War Admiral、Bois Roussel、Hurry Onといったスタミナ、St.Germans、Equipoiseといった押さえにくい血を押さえているところもいいです。

これと同じ配合は、アドマイヤグルーヴ産駒アドマイヤセプターボージェスト、ドゥラメンテ、イントゥザグルーヴ産駒グルーヴィクイーングルトップレネットグルーヴと6頭が走っています。最初にグルーヴィクイーンの配合を見たときに、これは行けると思ったのですが、今まではアドマイヤセプターが短距離戦重賞で連対するくらいでした。その間にルーラーシップが香港でGIを勝ち、バランスが悪くても(ノーザンテーストの位置、クロス馬の配置)、血を押さえ切れていなくても(例えばProve Out内)、Hornbeam主導というはっきりした主張があった方が走りやすいのかなと思いました。
しつこく試してくれたおかげで、無事、ドゥラメンテのような馬が出ました。

桜花賞回顧

2015-04-22 00:57:00 | 競馬日記
桜花賞と皐月賞が終わりました。どちらも勝ったのはキングカメハメハ産駒で、まずは桜花賞の回顧から。

桜花賞はレッツゴードンキが勝ちました。
母は父マーベラスサンデー×母父ジェイドロバリー。中山大障害2回のキングジョイと同じ組み合わせです。この組み合わせでは全兄のメイショウサライがダートで活躍したり、悪くありませんでした。
マーベラスサンデーの母モミジダンサーは父が加年度代表馬ヴァイスリーガル、母が加3歳牝馬チャンピオン、加古牝馬チャンピオン、加芝チャンピオンのモミジ(どちらもE.P.テイラー生産)という良血馬。カナダの名馬同士の組み合わせなのですが、Gold Bridgeクロスがあったり、Fair Trialを持っていたり、ちょっと特殊なヨーロピアンな血を持っていました。これがジェイドロバリーのSpecialと合っています(モミジダンサー × ジェイドロバリー)。SpecialはモミジダンサーでクロスしているHyperionも持ちますね。
ジェイドロバリーが日本に輸入されることになったとき、私は学生だったのですが、牝系に入ってSadler's WellsとかNureyevとかの血を受け止めるようになるだろうから必要な種牡馬だ、なんて誰でも言えるようなことを友人に語っていました。で、当時これが頭にあったわけではありませんが、実際にメイショウマンボにレッツゴードンキと、Kingmamboを受け止める形で成功例が出てきました。そして、Kingmamboとジェイドロバリーの相似性はMr. Prospector、Northern Dancer、Specialによるものですが、Specialは前述のようにモミジダンサーの特殊なところを押さえています。
曾祖母の父のリアルシャダイはMr. Prospectorと合うRoberto直仔であり、キングカメハメハのキーホースの一つAlibhaiを持ちますし、高祖母の父ノーザンテーストはキングカメハメハと相性がいいです。

クロス馬の配置などの観点では満足していないですし、Northern Dancerがゴテゴテしすぎていて逃げ道がないところも推奨しないのですが、それなりに理にかなった累代交配ですし、合いそうな血がきちんと使われています。
ラブリーデイと共通性のある累代交配ですね(レッツゴードンキ × ラブリーデイ)。

オーストラリア遠征

2015-04-21 00:55:10 | 競馬日記
池江泰寿厩舎のワールドエース、トゥザワールド、トーセンスターダム、堀宣行厩舎のリアルインパクトがオーストラリアに遠征していますね。このような楽しそうなことをするようになった経緯は知らないのですが、この季節にマイル、中距離路線でいいレースが日本にありませんから、面白そうなチャレンジだと思っています。出走順に振り返ります。

ランヴェットS(T2000m)に出走したトーセンスターダムは2着。きさらぎ賞(GIII)馬ですが、クラシックは大敗続き。12月にチャレンジC(GIII)を勝って低迷を脱出し、ここでも2着です。国内のGIで掲示板に載ったことすらないですから、大健闘と言っていいでしょう。
勝ったのはContributer。GI連勝、重賞3連勝です。父はHigh Chaparralは父Sadler's Wells×母父Darshaanのニックスなのですが、Contributorは母父はExit to Nowhereで、父Sadler's Wells系×母父Riverman系のニックスになっています。が、他にもいろいろ。
まず、Mill ReefとRivermanの相似でNever Bendをクロス(アガカーン殿下が以前、多用していたような)。Riverman系と言ってもExit to Nowhereですから、Natalma - Almahamoudがクロス、祖母内Northern DancerのおかげでNorthern Dancer - Natalma - Almahmoudと系列ぐるみ。Hail to Reasonまで系列ぐるみで、Sadler's Wellsが全開しています。他にはTantiemeのクロスとか。いい配合ですね。

ジョージライダーS(T1600m)にはリアルインパクトワールドエースが出走しました。そして、リアルインパクトが優勝。ワールドエースは11着。
3歳時に安田記念を勝ったリアルインパクトですが、その後、大きく低迷し、5歳の暮れの阪神Cで久しぶりの勝利。しかし、また低迷に陥ってしまったのですが、2年連続で阪神Cを勝利。そこからの遠征で久しぶりのGI制覇です。遠征に踏み切ったのが素晴らしいと思います。

ザBMW(T2400m)にはトゥザワールドが出走し、2着でした。有馬記念2着からの参戦で、他に皐月賞でも2着がありますから、3回目のGI2着です。
勝ったのはAuthorized産駒Hartnell。重賞3勝目、GI初勝利です。極当たり前のように見るようになったSadler's Wells系とDanzig系の組み合わせです。特徴的なのはBlushing Groomのクロスでしょうかね。Authorized産駒ではComplacentはRainbow Questクロスを持ちますね。HartnellにしてもComplacentにしても、Blushing Groomの生かし方は非常にいいです。母はPrince John - Princequilloが強烈なのですが、Princequilloですらクロスしない(Prince Roseはクロス)のは残念です。

リアルインパクトとワールドエースの目標はドンカスターマイル(T1600m)でした。で、リアルインパクトは2着、ワールドエースは8着。
勝ったのはTeofilo産駒Kermadec。重賞2勝で、GIは初勝利です。3歳馬で7歳馬のリアルインパクトとは5kgの斤量差がありました。
このKermadecの血統で注目すべきは何と言っても母父フジキセキです。母はオーストラリアにシャトルしていた時代の産駒です。日本産のシャトル種牡馬を母父に持つ馬が日本から遠征した馬を破るってのは、それこそシャトルした甲斐があったと言っていいわけで、理想的と言ってもいいかもしれません。母父フジキセキの海外産GI馬は3頭目で(他にYoseiYour Song)、サンデーサイレンス系最多です。
KermadecはSadler's Wellsの生かし方はいいですね。ただ、そんなにきめの細かい配合ではありません。Northern Dancer主導でSadler's Wellsを生かしたシンプルさが勝負の配合で、その意味ではいい配合です。

ロンジンクイーンエリザベスS(T2000m)にはトーセンスターダムとトゥザワールドが出走し、それぞれ5着と12着でした。
勝ったのはSebring産駒Criterion。重賞4勝目、GI3勝目です。Mr. Prospector主導ですが、カナダの名牝Fanfreluche系列ぐるみが面白いですね。父Sebringは短距離馬なのですが、Buckpasser、War Admiral、Princequillo、Discovery、Djebel、Ribot、Bull Lea、Alibhaiなどのクロスがあり、スタミナはそこそこありそうですね。Allegedの血は十分に生きています。

5つのGIにのべ8回出走し、1-3-0-4という結果でした。十分な成果があったと思います。リアルインパクトは日本でくすぶり気味だったところをオーストラリアで2戦して1着1回、2着1回という素晴らしい結果でした。オーストラリアで種牡馬入りしませんかね。フジキセキの活躍もありましたし、Hold Your Peaceの系統のMossmanが種牡馬としてGI馬を出す活躍を見せています。トキオリアリティーの血はオーストラリアにも合うような気がするのですが。

ドバイワールドカップデー2015

2015-04-05 01:54:20 | 競馬日記
ドバイワールドカップデーの結果と映像はこちら(ERAJRA)。例年通り1レースから振り返ります。

純アラブ馬限定GIドバイカハイラクラシック(D2000m)はManarkという馬が勝ちました。アラブ馬の血統は分からないのですが、サラブレッドの血統表でやるようにクロス馬の観点から見ると、Mandragore = Mandarine IIIクロスを伴うManaghi = Manganate 4 x 3、Flipper 4 x 4となかなかいい感じの配合です。

ゴドルフィンマイル(GII、D1600m)はTamarkuzが勝ちました。メイダンで重賞3連勝です。Speightstown産駒。父はSecretariat主導のスプリンター。TamarkuzはBold RulerとSomethingroyalをクロスしてSecretariatを生かしていますが、Secretariat自身はクロスせず、Northern Dancerクロスを伴うStorm Bird 4 x 3とMr. Prospector 3 x 4が最前面クロスになっています。母内にRobertoがあり、Mr. Prospectorとの相性の良さが生きていますが、この辺りはもはや常識的に見られるようになってきています。Buckpasserクロスもあって、ダート向き、距離は父よりは持ちそうな配合です。

ドバイGC(GIII、T3200m)は愛セントレジャー馬Brown Pantherが貫禄勝ちです。前走は愛セントレジャーから向かったBCターフは11着でしたが、適距離に戻って完勝です。

UAEダービー(GII、D1900m)はDubawi産駒Mubtaahijが勝ちました。馬主はドバイ首長モハメド殿下のいとこ、H.H.シェイク・モハメド・ビン・カリファ・アル・マクトゥームで、調教師は南アフリカのマイク・デ・コック。おなじみのチームで、Asiatic Boyと同じです。8馬身差の圧勝で、ケンタッキーダービーに向かうそうです。
半姉はオペラ賞のLily of the Valley。母父Pennekampは6連勝で英2000ギニーを制し、ダービーでは1番人気に支持されましたが、故障もあって惨敗しました。ナスルエルアラブBlack Minnalousheの兄弟で、種牡馬としてはBlack Minnalousheのみが成功しました。Pennekampは期待を裏切ったと言っていいと思いますが、Pennegaleのおかげで母父として体面を保っています。
Mubtaahijは前面に並ぶクロス馬が多いタイプ。位置、数、血量、系列から、Lyphard - Northern Dancerの影響が強いとしていいと思います。ダートに対する適性という点ではBuckpasser、Hasty Roadの影響がありそうですね。すっきりした配合ではない、ヨーロピアンな血を押さえ足りない、という点は気になります。ダート路線で行くのはいいと思いますが、どこまで活躍できるでしょうか。

アルクオーツスプリント(GI、T1000m)は昨年のカルティエ賞チャンピオンスプリンターSole Power。伊達じゃないですね。この馬に完勝したロードカナロアはかなり強かったと言っていいと思います。

ドバイゴールデンシャヒーン(GI、D1200m)は2013年のBCスプリントの勝ち馬Secret Circleが勝ちました。勝利はそのBCスプリント以来なんですね。

昨年までドバイデューティフリーと呼ばれたレースは今年からドバイターフ(GI、T1800m)とレース名を変えて行われています。勝ったのはSingspiel産駒Solow。重賞3勝目ですがGIは初勝利です。
母はHighest Honor産駒でSir Gaylord 4 x 4。レーヴドスカーと同じですね。曾祖母が同じYeovilです(High Maintenance × レーヴドスカー)。Singspielを配して、父方Haloと母方Arctic Ternから供給されるAlmahoudを内包するNorthern Dancerクロス、Mill ReefとRivermanの呼応(Lalunを伴う)、Turn-to、Princequilloをクロスして十分に生きているSir Gaylord、などでしょうかね。本当にマイラーなのかなと思うのですが、12Fのレースを勝ったこともあるのですね。距離適性の範囲はどうなんでしょう。

ドバイシーマクラシック(GI、T2410m)を勝ったのはアガカーン殿下のDolniya。Azamour産駒です。
祖母DaltawaはDaylamiDalakhaniの母。父Azamour内にDarshaanがあり、血統表内にDalakhaniが再現されています。ただし、Dalakhaniの主導だったArbarクロスは奥に引っ込み、Nearco、Native DancerのクロスからNorthern Dancerの影響が強く出ています。母父のIndian Ridgeがいいですね。
それにしてもアガカーンスタッド。最近、Ghostzapperとか、Raven's Passとか、Mastercraftsmanとか、Oratorioとか、今までとは傾向の違う種牡馬の仔も走らせているのですが、しっくり来るのはやっぱりこういう配合ですね。逆に、今までとは傾向の違う種牡馬の仔で何が残って行くかにアガカーンスタッドの将来がかかっているような感じもします。

ドバイWC(GI、D2000m)はHHシェイク・ハムダン・ビン・ムハンマド・アル・マクトゥームのPrince Bishopが勝ちました。Dubawi産駒はドバイで強いですね。
Dubai Millennium≒Prospect Bayがなかなか強烈ですね(Dubai Millennium × Prospect Bay)。残りの父の母、母の母の部分が全く邪魔をしていないどころか、6代内に出現するクロス馬Raise a Native、Northern Dancer、Sir Gaylordは全てDubai Millenniumに含まれます。非常にいい感じです。そういえばDubai Millenniumは2000年のドバイWCの勝ち馬ですね。

昨年はジャスタウェイジェンティルドンナで2勝を挙げましたが、今年は未勝利です。
ただ、ジャスタウェイ、ジェンティルドンナクラスの馬が参戦しなかったわけですから仕方がないですし、その中で昨年殿負けだったホッコータルマエがドバイWCで5着に入ったり、最近ふるわなかったダービー馬ワンアンドオンリーがシーマクラシックで3着と意地を見せたり、ゴールデンバローズがUAEダービーで3着に入ったりと、健闘したと言っていい結果を残せたと思います。ホッコータルマエはオールウェザーで殿負けで、ダートに代わって5着ですから、やっぱりダートの方がいいタイプなんでしょうし、国際レベルで十分にGI馬の力はあるなあと思いました。
結果が悪かった組では、エピファネイアは出るレースを間違えた感じで、ハープスターはまずい感じです。