うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

世界陸上2013

2013-08-27 21:14:09 | 日記
世界陸上モスクワ大会が終わってかなり経ってしまいました。
日本選手の入賞者です。

男子
20km競歩・決勝
西塔拓己 1時間22分09秒50秒 6位入賞

棒高跳・決勝
山本聖途 5m75 6位入賞

ハンマー投・決勝
室伏広治 78m03 6位入賞

マラソン・決勝
中本健太郎 2時間10分50秒 5位入賞

4×100mリレー・決勝
日本チーム(桐生-藤光-高瀬-飯塚) 38秒39 6位入賞

女子
マラソン・決勝
福士加代子 2時間27分45秒 銅メダル
木崎良子 2時間31分28秒 4位入賞

10000m・決勝
新谷仁美 30分56秒70 5位入賞 PB

(正しくは高瀬の高はハシゴ高、木崎の先は立崎。)

メダルは取れなかったものの短距離、長距離、競歩、投擲、跳躍とまんべんなく入賞者を出した男子と長距離に特化してマラソンで銅メダルを取った女子という感じです。

マラソンはモスクワにしては暑かったこともあって、男女ともに遅いタイムの決着になりました。しかし、優勝者は男子はロンドンオリンピックの覇者キプロティチ、女子は前回大会の覇者キプラガトで、どちらも実力者が勝ちました。その中でようやく福士がマラソン選手らしい走りを見せて銅メダル。もう少し早くマラソン選手らしいところを見せてくれていたら他の大会でももっと成績を残せたように思いますし、今大会でも色のいいメダルを狙えたんじゃないかと思います。体が重かったようですが、それが自制心を生んで最後まで走ることができました。長距離選手にとって体が軽く感じるのって良し悪しですね。調子よく走れることもありますが、距離が長いので調子よく走りすぎたら後半に失速します。男子は中本が5位入賞。こちらも新境地と言った走りでした。
野口は残念ながら途中棄権。まだ走ってくれると思っています。期待された男子の川内は再び夏のマラソンへの対応力のなさを見せて前回大会と同じ18位。弱点がはっきりしているだけに、もっと頭を使って経験を積んでいくようなことを当然本人は考えているでしょう。

他の種目では女子10000mの新谷が自己新で5位入賞。世界大会での自己新、入賞は大きく評価していいと思います。過去には千葉がメダルを取った種目ですが、世界的なレベル向上から日本人にとっては非常に厳しい種目になっています。ただし、勝負の場ですからハイペースでガンガン行くようなレースにはあまりならず、ラストスパート勝負が多くなります。そのラストスパート勝負もスピード不足の日本人には相当に厳しいです。それでどう走るのが正解かと言えば千葉や新谷がやったように、単純なスパート勝負に持ち込ませないということになりますね。本人はメダルが欲しかったようですが、いいレースだったと思います。

武豊、函館の特別・重賞を3連勝

2013-08-21 20:35:21 | 競馬日記
先週日曜日の函館で、武豊が定山渓特別(500万下)、支笏湖特別(1000万下)、札幌記念(GII)と特別・重賞を3連勝しました。
一つは逃げたり、好位を取りに行ったりして成果が出ていること、もう一つはキズナに騎乗して後からの末脚勝負でも届いていること。いい状態に戻りつつあると思います。勝利数による騎手リーディングでは9位ですが、中央重賞勝利数は9勝で、トップに立ちました。
出していって好位をとったり、前が詰まることを恐れず内ラチ沿いに拘ったり、いろんな試行錯誤をした結果が出つつありますね。自分自身にどうやって競馬を教えるのか、という点で伸び悩んでいる若手たちはこのベテランのここ数年の騎乗をよく研究した方がいいんじゃないでしょうか。もちろん武豊の低迷と復活にはこういった技術的・感覚的要因だけではなく、身体的要因も大きかったと思いますが。

本題は豊が騎乗した馬の方で、定山渓特別ではネコタイショウで逃げて大差勝ち、支笏湖特別ではヤマイチパートナーでクビの差だけ交わして勝利、札幌記念ではトウケイヘイローで逃げて6馬身差でこの馬の重賞3連勝を達成しました。
ネコタイショウとヤマイチパートナーはサムライハート産駒、ネコタイショウとトウケイヘイローはサンデーサイレンス、ノーザンテースト、Mill Reefを共通して持ち、Northern Dancerクロスがあります(ということは3頭ともサンデーサイレンスとノーザンテーストを持つ)。

まずは逃げて勝ったトウケイヘイローとネコタイショウから。
トウケイヘイローは父ゴールドヘイロー×母父ミルジョージ×祖母父ノーザンテースト×曾祖母父Determineという累代交配。曾祖母はファンシミンですね。桜花賞馬ラインクラフト、宮杯馬アドマイヤマックス、菊花賞馬ソングオブウインド、最優秀障害馬ブロードマインド、重賞5勝の女傑ダイナフェアリー、その産駒のサマーサスピションローゼンカバリーなどが出ている牝系です。
母父ミルジョージで、ノーザンテーストが絡むNorthern Dancerクロスですから、道悪は下手ではないと思います。Victoria Park内はBuchan、Stimulus、Papyrusをクロスする古風な生かし方。Papyrus - Traceryがきちんと働いているので悪くないと言っていいと思います。
札幌記念ではありますが、条件は函館2000mでした。函館記念が全く同じ条件で行われたのですが、馬場状態は全く異なり、函館記念のタイムは1:58.6、札幌記念のタイムは2:06.5でした。100mくらい距離が違いそうですね。
これらの両方に出た馬が6頭もいました。どちらも16頭立て。着順を見てみます。

函館記念
1着:トウケイヘイロー
2着:アンコイルド
3着:アスカクリチャン
6着:レインボーダリア
9着:ネヴァブション
10着:エアソミュール

札幌記念
1着:トウケイヘイロー
2着:アスカクリチャン
3着:アンコイルド
7着:レインボーダリア
11着:エアソミュール
12着:ネヴァブション

これだけ馬場状態が異なって、札幌記念にはレインボーダリアの他にGI馬が4頭も参加したのに着順はほとんど変わらないのですね。そうすれば、函館競馬場の2000mに今の重賞級メンバーが集まって(怪物級は別として)トウケイヘイローがペースを作ったら、馬場状態に関係なくこういう結果になるということで、GI馬5頭に勝ったトウケイヘイローは少なくとも函館2000mではかなり強い(少なくともかなり強かった)ですね。

ネコタイショウは父サムライハート×母父ダンシングブレーヴ×祖母父テリオス×曾祖母父テスコボーイという累代交配。半兄は日経賞のネコパンチ。桜花賞馬リーゼングロス、女王杯馬タケノベルベット姉妹と同じ牝系です。
びっくりするのはガーサント 5 x 6ですね。ノーザンテーストが絡むNorthern Dancerクロスなんかもありますが、重馬場上手はこの血の働きでしょうか。他にはFair Trialなんかも生きてますし、Chanteurなんかもクロスして、結構丁寧な配合です。Victoria Park内は9代内では無視ですが、10代まで見ればトウケイヘイロー同様の生かし方ができていますし、また世代が上がっていますから特に問題はないでしょう。


ヤマイチパートナー(「ヤマイチ」は馬主さんが冠名として使われているもので、ヤマイチの子孫ではありません)は父サムライハート×母父リアルシャダイ×祖母父シーホーク×曾祖母父タマナーという累代配合。近い代に活躍馬はあまりいませんが、泣く子も黙るシラオキ系です(ブログ)。
2600mを勝ち、菊花賞への出走が見えてきました。菊花賞馬ライスシャワーの父リアルシャダイが母父で、天皇賞馬モンテプリンスモンテフアスト全兄弟の父シーホークが祖母父ですから、好走したらオールドファンが感慨に浸りそうですね。父リアルシャダイ×母父ノーザンテーストの組み合わせには菊花賞、天皇賞春ともに2着のステージチャンプもいます。

トップペンダントはアメリカンなリアルシャダイにヨーロピアンなスプリームでかなりの異系交配になっています。スプリームは父シーホーク×母父タマナー。シーホークはサンクルー大賞典の勝ち馬で、仏ダービー馬Herbager産駒。2頭の天皇賞馬と2頭のダービー馬を出したステイヤー種牡馬です。タマナーは仏ダービーの勝ち馬であり、3000mでの勝利のあるSunny Boyの産駒です。種牡馬としては血統的な印象ほど長い距離での活躍馬は出さなかったのですが、ワカシラオキとは好相性で、阪神3歳Sのヒデハヤテ、札幌記念のヒデカブトが出ています。これらの全妹がスプリームの母ヒデシラオキになります。シーホークもタマナーもヨーロピアンなTeddyが効いた配合で、スプリームでもTeddyは当然分厚めです。それにSir Gallahad、Bull Dogというアメリカン化したTeddyが効いたリアルシャダイですから、かなりな異系交配とは言ってもとんでもないことにはなってません(父アメリカン×母ヨーロピアンの異系交配においてTeddyが重要な役割を果たしている例としてキングズベストCeltic Swingがいます)。他にPharos = Fairway、Solario - Gainsborough、Blenheim - Blandfordなんかで特に母側はそれなりにまとまっています。ただし、父の持つBlue Larkspur、Man o'Warと言った純粋アメリカンは全滅です。

ヤマイチパートナーは5代内に出現するクロス馬がHail to Reason 4 x 4の単一だけで、ほぼ異系交配です。そのHail to ReasonはTeddy、Pharos = Fairway、Solario - Gainsborough、Blenheim - Blandfordという母で生きていた血とBlue Larkspur、Man o'Warという母で生かせなかった血とリアルシャダイのキーホースSir Gallahadを内包し、非常に都合のいいクロスになっています。6代目に出現するクロス馬では、HyperionはGainsboroughで、MahmoudはBlenheim、Gainsborough、Mumtaz Mahalで、NasrullahはNearco、Mumtaz Begumで、Bull LeaはBull Dog = Sir GallahadでHail to Reasonに直結します。この集合力は大きな魅力と言っていいと思います。父サンデーサイレンス系×母父Roberto系の組み合わせのHail to Reason 4 x 4単一のほぼ異系交配馬という点(父の母父がトニービンだというのも同じですね)で天皇賞春を逃げ切ったビートブラックとも共通性があります。Bull Leaはライスシャワーで最前面系列クロスだったアメリカンなスタミナですが、これが祖母のヨーロピアンなTeddyのスタミナを巻き込むところもなかなかやるなあと思います。祖母のところだけ6代内でクロス馬が出現しないのですが、祖母の血の流れはHail to Reasonクロスに入ってますし、Bull Leaクロスを支えてもいますから、バランスを壊して云々ということはないように感じます。
他の味付けでは、サンデーサイレンスの母方にフランスの血があることによるBosworth 9 x 7、更にエアグルーヴにガーサントがあることによるLa Farina 7 . 9 x 7、Hurry OnクロスでHerbager、シーホークのスタミナを引っ張り出そうとしている点なんかもなかなかいいと思います。一方、父のキーホースだったHyperionが母方には1個しかないのはマイナスと言えばマイナスに感じますが、異系交配ですからきっちりクロスできていたら十分という気もします。


トウケイヘイロー、ネコタイショウ、ヤマイチパートナーともに最上級の配合ではないのですが、配合ってこういうもんだよなあと思い出させてくれるヒントが多く、こういう配合の馬が結果を出すと非常にうれしいです。

ジャンロマネ賞

2013-08-19 21:39:22 | 競馬日記
HasiliはGI馬を5頭も出した名繁殖牝馬で(ブログ)、産駒のDansiliは種牡馬として大成功、CaciqueもGI馬を出しています。
牡馬は種牡馬として成功しているのですが、牝馬からのGI馬は今まで出ていませんでした。

18日に行われたジャンロマネ賞をRomanticaが勝ちました。母はGI3勝のBanks Hill。祖母Hasiliの馬としては初めてのGI勝利になります。

父はGalileoで、猛威を振るっている父Galileo×母父Danehillの組み合わせです。この組み合わせはマイルくらいから中距離までのケースが多いですね。RomanticaはDjebel、Donatello、Princequillo、War Admiral、Bull Leaらが働いていて、10FのGIの勝ち馬になりました。

Silvano

2013-08-15 20:22:22 | 競馬日記
BloodhorseにSilvanoについての記事がありますね(記事)。
南アフリカではスプリンター種牡馬が活躍するものだが、スタミナ型Silvanoはなかなかやりますね、って話だと思います。

記事中、ドバイシーマクラシックの話での“Stay Gold and Fantastic Light”ってのは、おおっ、となりますね。ステイゴールド、ワールドチャンピオン、Silvanoという順での決着でした。素晴らしいレースでしたね。

もう一つ、父Nijinsky系と母父Blushing Groom系に対する言及があります。Kahyasiを例に挙げていて、Silvano産駒ではHeavy MetalMartial EagleTellinaなんかがいる、って話です。ラムタラもこのニックスであり、Red God系とのニックスと考えればヤエノムテキもこれに当たります。ファンタスティックライトは返しニックスですね。こういうのは日本人的には常識だと思うものの、海外でどういう受け取り方をされているのか分からなかったのですが、やっぱり同じように考えているのですね。

Silvanoは2009年シーズンはドイツで種牡馬活動ができたことが確認できるのですが(ブログ)、またアフリカ馬疫が発生して南アフリカから帰れなくなっているようですね。以前にもアフリカ馬疫で南アフリカに足止めされました(ブログ)。南アフリカにとってはプラスだが、ヨーロッパにとってはマイナスだという記事の結論です。

Dawn Approach

2013-08-13 19:54:55 | 競馬日記
ジャック・ル・マロワ賞で8馬身差5着とさっぱりだったDawn Approachは抗生物質を投与されるそうですね(記事1記事2)。

“mucus in his lungs”ということで、ずばっとどう訳すのが医学的に正しいのか知りませんが、肺に粘液がたまってるって話でしょうか。次のレースは体調の回復を待ってからとのこと。

全然駄目だったなと思ったら、体調を崩したということですか。復帰を待ちましょう。
7月31日のサセックスSから8月11日のジャック・ル・マロワ賞へとレース間隔もつまり(Moonlight Cloudは連闘でしたが)、フランスへの移動もあった中での体調不良でした。

ジャック・ル・マロワ賞、フィーニックスS

2013-08-12 21:43:33 | 競馬日記
ジャック・ル・マロワ賞に連闘で参戦したMoonlight Cloud
先々週のモーリス・ド・ゲスト賞では久々に欧州に現れた強いスプリンターと言われるLethal Forceに完勝し、このレース3連覇を達成したのですが(ブログ)、先週は昨年のジャンリュックラガルデール賞の勝ち馬Olympic Glory、仏ダービー馬Intello、QアンSのDeclaration Of War、3歳マイル路線の主役と見られていた2000ギニー馬Dawn Approach、牝馬限定マイルGI4勝のElusive Kateを返す刀でまとめて切り捨てました。大したものですね。

管理するのはフレディ・ヘッド師。Miesqueの主戦騎手にして、Goldikovaの調教師ですね。他にもLyphardRivermanGold Riverヘクタープロテクターなどに騎乗していましたが、この世紀の名マイラー2頭(そしてどちらも牝馬)に関わったというのは特筆すべきことだと思います。ちなみにモーリス・ド・ゲスト賞を3連覇したもう1頭の馬Marchand D'Or(こちらはセン馬、後にデルザングルのところへ移籍しましたが、モーリス・ド・ゲスト賞3連覇時はヘッド師が管理)の調教師でもあります。Moonlight Cloudはフレディ・ヘッド師らしい馬という気がします。


2歳戦フィーニックスSはSudirmanが勝ちました。昨年に続きHenrythenavigator産駒が連覇です。
母父がDesert Styleで、父内Sadler's Wellsとの相性の良さを生かしたという点はジャンプラ賞のHavana Goldと同じです(ブログ)。

Desert Styleは7F以下のGIII3勝で、GIでは2歳時に2回3着に入ったのが最高という馬でしたが、種牡馬としては競走馬としての成績を遙かに上回る成績を残しています。代表産駒にPaco BoyMandeshaNext DesertCaradakバチアーDesert Blanc。母父としても今年はLethal Force、Havana Gold、そして本馬がGIを勝って大ブレイクです。
曾祖母父がデュラブだというのが日本のファンにとってはうれしいですね。ヨーロッパでめぼしい成績を残せず、日本に輸入されダート向きサイアーとして活躍し、トーシンブリザードシンコウウインディを出しました。そのヨーロッパで残してきた牝馬の子孫にGI馬が出ました。

配合としては、世代が後退して若干緩いところがありますが、それも大した問題のない程度です。距離延長も出来そうなんじゃないかと思うので、動向を追いかけたいです。

独オークス

2013-08-09 00:35:15 | 競馬日記
独オークスはPenelopaが勝ちました。英産のGiant's Causeway産駒で独調教馬。アメリカで配合され、イギリスで生まれ、ドイツで調教されているということです。

母父はジャンプラ賞の勝ち馬Torrential。この馬もラムタラ世代ですね。メトロポリタンHのFappianoの半弟になります。ラムタラの世代には面白い配合の馬が多かった印象がありますが(他にPennekampCeltic Swingなど)、その中の1頭です。キズナがダービーを勝ったときに15年空けてのGI馬というのは珍しいんじゃないかということを書いたのですが(ブログ)、この馬がとっさに出てきませんでした。Fappiano→Torrentialも15年です。

Penelopaの配合は、余計な近親交配を避け、父母の整合性を取る、という観点ではかなりしっかりしているのですが、その分、ガツンと利かせた個性のようなものには欠けます。それでもNorthern Dancer 4 x 5は全開して十分に効果があるので、十分にいい配合だと思いますが。Herbager 6 x 5、Bolero 6 x 6ってのはなかなかですね。Herbagerの方はBalladeとGrey Dawnの相似という形でのクロスです(Grey Dawn × Ballade)。他にはRobertoとMr. Prospectorの相性の良さ、SecretariatとMill Reefの呼応なんかもあります。

Moonlight Cloud3連覇

2013-08-08 20:44:52 | 競馬日記
モーリス・ド・ゲスト賞で、スプリントGI連勝中のLethal Forceとこのレースを連覇しているGI3勝馬Moonlight Cloudが激突しました。勝ったのはMoonlight Cloud。3連覇でMarchand d'Orの連覇記録に並びました。

Moonlight Cloudは昨年のロイヤルアスコットのダイヤモンドジュビリーSでBlack Caviarに勝ちかけたことがありますが、ムーラン・ド・ロンシャン賞を勝ち、6F以下での勝利がないスプリンターマイラーです。Lethal Forceは7FのGIIハンガーフォードSの勝利はありますが、GI勝利はどちらも6Fのスプリンターです。ホームのフランスで距離が1300mな上に連覇中のモーリス・ド・ゲスト賞ですから、Moonlight Cloudの舞台だったということでしょう。Lethal Forceの方も昨年ロンシャンのフォレ賞に遠征したときは10着大敗でしたから、まずまずだったとしていいんじゃないでしょうか。

Moonlight CloudはジェネラスImagineHoratio Nelsonらが出ている牝系出身で、祖母は重賞勝ち馬。父Invincible SpiritはスプリントCを勝ったスプリンター、母父Spectrumはラムタラ世代で愛2000ギニー、英チャンピオンSの勝ち馬、祖母父Kings LakeはNijinsky直仔で愛2000ギニー、サセックスS、愛チャンピオンSの勝ち馬、曾祖母父Master DerbyはプリークネスS、ブルーグラスSの勝ち馬、という累代交配です。父はスプリンターですが、母方はマイル~中距離向きが付けられてますね。Invincible SpiritはジュライCのFleeting SpiritMaysonのような自身と同じスプリンターを出すことも2100mの仏ダービー馬Lawmanのようなある程度の距離延長に耐えるタイプを出すこともあります。
Moonlight Cloudは、これぞスプリンター、って感じはないのですが、妙味は十分にある配合です。Never Bend 5 x 6(Djebelクロスを内包)、Round Table 5 x 6、Crafty Admiral系列ぐるみ(War Admiralクロスを内包)、Tehran 8 x 6、Donatello 7 x 7、Bosworth 8 x 8、Tudor Minstrel 7 x 7。素晴らしいですね。母はNasrullahにMenow、Boola BrookというRed Godの影響を出した配合ですが、NasrullahはNever Bendクロスに、Boola BrookはCrafty Admiralクロスに含まれ、Menowは父内Atheniaと相似でその影響を引き継いでいます。この辺がスピードタイプに出た一つの要因だろうと思います。

サセックスS

2013-08-01 20:19:32 | 競馬日記
サセックスSにはセントジェイムズパレスSの1着2着、Dawn ApproachToronadoが出走しました。前走は大接戦の末、Dawn Approachが制したのですが、今回はToronadoがリベンジを果たしました。鞍上リチャード・ヒューズの手綱捌きが光ったレースでもありました。2000ギニーは4着でしたが、前走は惜敗、今期初戦では後にジャンプラ賞を勝つHavana Goldを下している実力馬でもあります。

父High Chaparral×母父Grand Slam×祖母父Always Fair×曾祖母父Sassafrasという累代交配。
父High Chaparralは英愛ダービーにBCターフ連覇という中長距離の名馬。Lalunクロスにアメリカンな血とDjebel、Asterusといったヨーロピアンなスタミナを放り込んでまとめたSadler's Wells産駒の模範的配合ですが、Djebelのスタミナの分厚さは強烈であり、とてつもない迫力がありました。ToronadoではDjebelもAsterusもずばっと無視されているのが第一のポイントだと思います。
母方は母父Grand Slamも祖母父Always Fairもマイラーですが、曾祖母Such Styleが父Sassafras×母父Relkoというスタミナ寄り配合になっています。そのSassafrasはHurry Onの影響を思いっきり出したクレイジーなスタミナ配合。Toronadoでは父方のHurry Onはかなり奥まったところにあって(11代目)影響が弱められていますが、RelkoはRelianceと呼応しています。

父と母の組み合わせで見た場合、Mill ReefとSecretariatの呼応がまず目につき、またHail to ReasonとSir GaylordによるTurn-toクロスも目につきます。しなやかさが出てきそうな感じですね。Mixed Marriageはスピードの方に働きそうです。Relanceクロスが父におけるLalunクロスのような働きをしている点(Relance × Lalun)はただ者ではないという印象を受けますが、父内LalunクロスはDjebelクロスをアシストしていたのに対し、ToronadoのRelanceクロスはRelicクロスを伴っているのがポイントです。

さてさて、全体のまとめですが、ToronadoはHigh Chaparralのスタミナをストレートには受け継がず、重厚なスタミナ配合ではありませんが、素晴らしい配合ではあると思います。High Chaparralほどは重厚でないと言ってもスタミナが効いていないわけではなく、現在のところはマイラーですが、距離延長にはある程度耐えるのではないかと思います。