うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

重賞回顧(9月27日)

2009-10-27 19:56:30 | 競馬日記
オイロパ賞はJukebox Juryが勝ちました。ドーヴィル大賞典からの連勝で、GI初勝利です。

大オイロパマイレ(GII)はPrized産駒Premio Locoが勝ちました。こちらも重賞連勝。

ディアデムS(GII)はKheleyf産駒Sayifが勝ちました。父も母父もGI馬ではないですね。父KheleyfはジャージーS(GIII)が唯一の重賞勝利ですが、ヨーロッパ2歳牝馬チャンピオンのBint Allaylの全弟。母父Rudimentaryはフォルテマイル(GII)が唯一の重賞勝利ですが、KrisDiesisの半弟。

カンバーランドロッジS(GIII)はDanzig産駒Mawatheeqが勝ちました。Danzig27歳時種付け。恐ろしい種牡馬ですね。Danzigは2004年に種牡馬引退したので、ラストクロップから重賞勝ち馬を出したことになります。半妹Ghanaatiは今年の1000ギニー馬。

2歳戦ベレスフォードS(GII)はMontjeu産駒St Nicholas Abbeyが勝ちました。なかなか先々楽しみな血統の馬が2歳重賞を勝ったと思います。祖母Flamenco WaveはモイグレアスタッドSの勝ち馬であり、繁殖牝馬としては3頭のGI馬を出しています。

2歳牝馬戦ウェルドパークS(GIII)はChoisir産駒Lady Springbankが勝ちました。父はDanehill Dancer産駒でオーストラリア産の世界的スプリンター。Coolmoreで、オーストラリアとアイルランドのシャトル生活を送っています。母Severaは独産。その母は純然たるドイツ血統で完璧に固められています。Kendorとの組み合わせで8代内クロス馬が3頭、9代内クロス馬が16頭という猛烈なアウトブリードになっています。ここまでのアウトブリード馬はちょっと記憶にないです。

トーセンファントム

2009-10-25 23:20:02 | 競馬日記
トーセンファントムというのは気になっている馬です。
初戦を渋く勝ち上がり、昨日行われたいちょうSで中団から鋭く差して2勝目を挙げました。

父ネオユニヴァースはHyperion主体のサンデーサイレンス産駒としては変わり種。母バースデーローズは父トニービン×母父ノーザンテーストのエアグルーヴ配合で、こちらもHyperion主体。この時点で配合の方向性自体には間違いはなさそうです。父方祖父サンデーサイレンスと母方祖母エリザベスローズの組み合わせは成功率が高く、フサイチゼノンアグネスゴールドリミットレスビッドと3頭の重賞勝ち馬が出ています。この配合では中距離以下が適距離でしたが(アグネスゴールドやフサイチゼノンはクラシック路線を目指しましたが、初めからマイル以下に絞っておけばもっと活躍できたかもしれません)、トーセンファントムの場合、ポインテッドパスとトニービンが挟まっている分、ちょっと違います。Prince Bio - Prince Rose、Rockefella = Rock Goddes、Nasrullah (= Rivaz) -Nearco、Palestine - Fair Trial、Bois Roussel - Plucky Liegeなど、凱旋門賞馬トニービンのスピード、スタミナを丁寧にクロスし、父方Reliance内、母方Caro内のRelicを加えてサンデーサイレンス内のアメリカ系をクロスしています。気性的な成長が必要でしょうが、血統的にはダービーぐらいまで持ちそうです。

冠名トーセンからは今のところ大した馬は出ておらず、高額駄馬を買い集める馬主という印象すらありますが、松国師はトーセンファントムをかなり高く評価しているようですので、そろそろ当たりが出るかもしれませんね。

そんなわけで、初年度はそれほど結果が出ませんでしたが、母父トニービンを生かす父としてネオユニヴァースはありじゃないかと思っています。逆に父サンデーサイレンスに母父トニービンは「トニービンを生かさない」配合でした。と書くと、誤解されそうですが、父サンデーサイレンスとの配合では、例えばアドマイヤベガではトニービンはHyperionの流れをサンデーサイレンスに補給する役割に徹し、アシスト側に回っていました。ネオユニヴァースはポインテッドパスの持つヨーロピアンな血が牝馬側の血を呼び覚ます可能性があり(例えばアンライバルド)、血統表を見るのが面白い産駒がいますね。

大馬鹿

2009-10-22 19:44:34 | 競馬日記
田原成貴がまた捕まりました。覚せい剤取締法と大麻取締法違反容疑とのことです(記事)。田原が逮捕されるのは2回目で、2001年10月に覚せい剤取締法及び銃刀法違反で逮捕され、2002年1月に懲役2年、執行猶予3年の判決を受けました(記事)。

正直、非常にがっかりしています。天才田原が再び表舞台に帰ってくるところを見たかったのですが、シャブ中ではどうにもなりません。このようなことを繰り返すのは人間として糞なんでしょう。いくら馬乗りの腕が良くてもどうしようもありません。

メジロデュレン死亡

2009-10-21 19:42:02 | 競馬日記
菊花賞馬メジロデュレンが亡くなりました。

Teddy系の中でもフランスで受け継がれてきた系統で(もともとTeddyはフランスの馬ですが、アメリカに輸出されたSir Gallahad、Bull Dog、アメリカでの産駒Sun Teddyの子孫が繁栄しました)、凱旋門賞連覇の名馬Tantiemeを通るステイヤー父系です。
その配合も現在では目にすることが難しいようなヘビーステイヤーで、Tetratema - The Tetrarch以外、ほとんどがスタミナ勢力で占められているような個性的なものでした。
種牡馬廃用となった際、こんな個性的で貴重な馬を簡単に廃用にして良かったのかという議論があったように思います。

半弟は2006年に亡くなったメジロマックイーン。メジロデュレンの弟と呼ばれた馬はメジロデュレンの方がメジロマックイーンの兄と呼ばれるようになるぐらい活躍しました。

秋華賞

2009-10-19 20:03:00 | 競馬日記
秋華賞はとうとうレッドディザイアが勝ちましたね。積極的に勝ちに行ってブエナビスタを封じました。

ブエナビスタは4コーナーで外にふくれてブロードストリートの進路を妨害したとして、降着まで食らいました。アンカツさん本人は急に外に行っていないと不満そうですが(記事)、アンカツさんが外にふくれて進路妨害気味になるのはそれほど珍しいことではないので、いつか食らうべき降着がたまたま秋華賞だったと言えるかもしれませんし、秋華賞だったから見逃してもらえなかったとも言えるかもしれません。いずれにせよ、違和感のある降着ではありません。

重賞回顧(9月25, 26日)

2009-10-17 19:09:24 | 競馬日記
QエリザベスIISはRip Van Winkleが勝ちました。2000ギニー、ダービー、コーラルエクリプスと3戦連続Sea the Starsに煮え湯を飲まされたあと、Sea the Starsのいないマイル路線に転じてGI連勝です。次はBCクラシックなんでしょう。

2歳牝馬戦フィリーズマイルはSingspiel産駒Hibaayebが勝ちました。初勝利がGIになりました。Singspielにはニックスと言えるような型が思い当たりませんが、母父Lion Cavern(Gone West全弟)は極めて常識的な配合になっているように思います(少なくともLion Cavern内はうまく行っていると思います)。

2歳戦ロイヤルロッジS(GII)はMontjeu産駒Joshua Treeが勝ちました。母はカナダの重賞勝ち馬。曾祖母はSeattle Slew産駒ですが、コロネーションSの勝ち馬。5代母Kittiwakeは安田記念に参戦したKitwoodの母です。

デニーコーデルフィリーズS(GIII)はDanehill Dancer産駒Aveが勝ちました。祖母は重賞勝ち馬。高祖母Anna Paolaはレットゲン牧場の独オークス馬。この牝系は徐々に世界中に広まりつつありますね。

ラクープドメゾンラフィット(GIII)はMarju産駒Chinchonが勝ちました。トライマイベスト=ノーザンプランサーの同血クロスがあります。Ramontiはトライマイベスト=El Gran Senorの同血クロスでしたね。母父はヘクタープロテクター。
Marjuは日本でも種牡馬生活を送ったラストタイクーン直仔です。ラストタイクーンは世界的に種牡馬として活躍し、オーストラリアではリーディングサイアーに輝いたこともありました。日本で生まれた子で一番活躍したのは桜花賞馬アローキャリー。名種牡馬ですから、日本に残した仔の子孫から活躍する馬が出ることを期待しているのですが、今のところ母父ラストタイクーンの中央重賞勝ち馬はキングカメハメハモンテクリスエスジュエルオブナイルの3頭ですべて母は外国産。

Sea the Stars引退!

2009-10-13 22:18:12 | 競馬日記
Sea the Starsが引退するようです(記事)。

9戦8勝、重賞7勝、英クラシック2冠、凱旋門賞を含むGI6勝、負けたのはデビュー戦のみ、という栄光の競走馬生活に終止符を打ちました。BCクラシック参戦という案もありましたが、全てを手に入れようとしないのは賢明です。

歴史に名を残す名競走馬でした。

ロージズインメイ産駒

2009-10-13 19:47:40 | 競馬日記
ビッグレッドファームの岡田氏と社台が共同で導入した種牡馬ロージズインメイに興味があり注目しています(ブログ)。

前に書いたとおり、ロージズインメイは異色のダート馬で、基本的には日本向きではないと思っています。
このロージズインメイ産駒に気になる馬がいました。有馬記念馬マツリダゴッホ半弟、菊花賞馬ナリタトップロード甥のマツリダジャパンです。

マツリダゴッホの場合、父は芝向きの仔をよく出すサンデーサイレンス、その父は芝ダートともに走ったHalo。父サンデーサイレンスの配合はダービーをレコード勝ちしたMahmoudが最前面クロスで、サンデーサイレンス自体に芝適性があったでしょうし、産駒にこの傾向を伝えることができるために産駒も芝適性が高いのだと思います。で、マツリダゴッホでは母は相当にアメリカダート向きの血を持っていますが、サンデーサイレンスとの配合で最前面クロスになるのはやはりMahmoud 5 . 6 x 7 . 8、次いでPharamond = Sickle 5 x 8 . 9。Hyperionも6代目からクロスしており、芝適性が十分に読み取れます。

ナリタトップロードの場合、父はダートの強豪キョウトシチーを出したと言えども他の代表産駒は芝向きが多いサッカーボーイ、その父は純然たる芝向きディクタス。サッカーボーイでもサンデーサイレンスと同じくMahmoud(とPharos = Fairway)が最前面クロスです(サンデーサイレンスとサッカーボーイ全妹の組み合わせがステイゴールドですね)。サッカーボーイとフローラルマジックとの組み合わせでは母のアメリカダート向きの血はかなり無視され、Nasrullah 5 x 4が最前面クロス、Mahmoudの流れも受け継いでいます。こうなるとやっぱり芝向きですね。

マツリダジャパンの場合、父は今年ファーストクロップがデビューしたロージズインメイ、その父はDevil His Due、その父はDevil's Bag、更にその父はHalo。Devil's BagはまたもやMahmoudが最前面クロスで、芝でもやれそうな雰囲気はあり、実際、産駒のタイキシャトルはMahmoudの流れを受け継いだ芝の一流馬でした。Devil His DueではMahmoudの流れは無視でPharamond = Sickle 5 x 7が最前面クロス、それに続くのがBlue Larkspur、Sir Gallahad = Bull Dog、Black Toneyなどで相当にダート適性が高まっています。ロージズインメイになると更に極端で、Double Jay 5 x 4が系列ぐるみを作り、Black Toneyの影響が強い個性派ダート馬の血統構成になっています(日本ではダートの強豪クーリンガーが同様にDouble Jay系列ぐるみがリードする配合でした)。
マツリダジャパンでは、母が父と反応できる特殊なアメリカの血を豊富に持ち、最前面クロスはDouble Jayの流れを受け継ぐClandestine = Double Agent 4 x 4の系列ぐるみ。それに続くのがRaise a Native 5 x 5であり、Nasrullah、Princequillo、Mahmoudなどをクロスしていると言っても相当にダート向きな血統構成に見えます。父の個性を受け継ぐという面ではかなり評価できると思います。このような血統構成の馬がどのようなレースを選んでいくのか、まともに成長できるのか、非常に興味があります。

そんなわけで、ロージズインメイに関しては

・個性派ダート馬という感じの血統構成の仔を出すことは可能。
・芝向きの仔を出そうとすれば父のダート向きの血をある程度無視する必要があるだろう。
・その場合、きっちり必要な場所だけを押さえてバランスを取れるかどうか、ふさわしい主導を作れるかどうか。

ぐらいが今のところ思いつくことで、今後も観察していきます。

カツラノハイセイコ死す!

2009-10-08 19:09:06 | 競馬日記
我が思い出の名馬カツラノハイセイコが死亡しました(記事)。

私の記憶にある最古の馬でした。ハイセイコーの初年度産駒で、父の勝てなかったダービーをハナ差で制しました。私にとってこのレースが全ての始まりでした。
西浦騎乗の後の宝塚記念馬テルテンリュウが直線で内にささり、カツラノハイセイコを内に押す形になり、更に内にいたリンドプルバンがラチ沿いに閉じ込められる不利を受けました。一方のカツラノハイセイコは外からささってくるテルテンリュウと内のリンドプルバンの隙間を力強く抜け出し、体勢を立て直して追い込んできたリンドプルバンの猛追をハナ差しのぎきったところがゴールでした。とまあ、今ではこうやってVTRを見て解説できるのですが、当時は幼稚園児であり、なんか知らんけど凄かった、という感じの感想でした。
記事中、河内現調教師が激しい気性だったことを語っていますが、その気性は叩き合いでは勝負根性として発揮されました。

シンザンの記録を目指して長生きしてほしかったのですが残念です。
1965年の有馬記念のシンザンの鞍上は故・松本善登騎手。カツラノハイセイコのダービー時の騎手でした。

Sea the Starsのレーティングは変わらず

2009-10-06 19:41:59 | 競馬日記
凱旋門賞をSea the Starsが完勝しましたが、そのレーティングは変わらないそうです(記事)。

Sea the Starsのレーティングは愛チャンピオンSのときの135が最高で、凱旋門賞のパフォーマンスは131と見られているようです。RPRでは愛チャンピオンS直後に137+と発表され、これは後に138と確定したようです。RPRでもこれが最高値になり、凱旋門賞のパフォーマンスは131と見られているようです。

レーティングを上げるためにはちぎり捨てたり、レコードで圧勝したりする必要があり、Sea the Starsのように勝負強くてちぎらない馬(日本で言うシンザン型の馬)はレーティングを伸ばしにくいです。その割にワールドサラブレッドランキングでは1999年のMontjeuDaylami以来、RPRでは2000年Dubai Millennium(139)、1999年Daylami(138)以来の高い値ですから、十分に強さが分かると思います。

個人的には芝10Fなら今まで私が見たどの馬より強いです。馬場が渋ったときの12Fは未知数ながら12Fでも相当強い。Sea the Starsが動いたときのギアチェンジは恐ろしく、鞍上の意のままにすっと取り付き、あっという間に抜け出してしまいます。特殊な馬です。特殊な馬という意味ではラムタラとも共通します。GI3勝はすべて12Fですが、すべて異なる展開でなぜか一番最初にゴールする馬でした。おかしな馬でした。ラムタラもちぎらないためにレーティングが伸びないタイプでした。Sea the Starsは強さが説明できるだけにおかしな馬ではないですね。1980年代最強馬と言われるダンシングブレーヴは確かにすごい馬で、爆発力があるためにレーティングも高いですが、末脚の爆発力頼みの馬でしたからダービーのように勝てるレースを取りこぼすことがあります。Sea the Starsは取りこぼしません。