うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

Frankel圧勝

2011-07-28 19:35:10 | 競馬日記
サセックスSはFrankelが圧勝しました。

Canford Cliffsとの対決に恐れをなして4頭立てという極少頭数で行われました。
折り合って逃げて、ゴーサインが出てから一気に後続を突き放し、Canford Cliffsに5馬身差。今までのベストレースでしょう。

Galileo産駒と言うことで取りあえずBallydoyleカラーの馬を探したのですが、逃げたのはK.アブドゥラー氏の勝負服。そう言えばCoolmoreとJuddmonteが手を組んで生産し、K.アブドゥラー氏が所有しているのがFrankelでした(ブログ)。
管理するのは今年、ナイト(Knight Bachelor)の称号を授与されたサー・ヘンリー・セシル。この名調教師に今まで見た中で最高の馬と言わしめました(記事)。それにしても夫人の不倫疑惑から一気にどん底まで落ちたセシル師は8度目のオークス制覇をきっかけに鮮やかに復活しましたね。
今年は後1戦、QEIISの予定で、来年は10Fに向かう可能性がありそうです。

さて、Frankelの配合はGalileoとDanehillによってNatalmaを伴うNorthern Dancerクロス、Buckpasserクロスが生じ、更に残り1/4によってMiswaki内Raise a Nativeがクロスします。相当に馬力型スピードが強調されていて、迫力のある逃げに納得ができます。マイラーだと思いますが、Princequillo - Prince Rose、Bahram、AsterusにClarissimus、Deux Pour Centも押さえていてUrban Seaのスタミナは供給されており、10Fなら折り合い次第で何とかなるかもしれません。12Fは能力でこなしてしまうかもしれませんが、12Fに向いた馬との対決では分が悪いように思います。

日刊スポーツの記事が変

2011-07-26 19:43:25 | 競馬日記
トウカイテイオーが函館競馬場にやってきたそうですね。23歳になりましたが、まだまだ元気いっぱいのようです。
各スポーツ紙がその模様を伝えていますが、日刊スポーツの記事がおかしいように思います(トウカイテイオー23歳も4冠馬の貫禄十分)。

まず第一に「4冠馬」という表現。3冠を勝っていない馬がなぜ4冠馬になれるのか不思議です。単なるGI勝利数を「冠」で数えるのは好きではないのですが、日刊スポーツはちょっと前に重賞勝利数を「冠」で数えるというとんでもないことまでやっています(ファルコン9馬身差15冠超強え~/帝王賞)。信じられないですね。
他のスポーツ紙がどう表現しているかというと、「無敗で皐月賞&ダービーの2冠を制した」(スポニチ)、「3冠制覇は果たせなかった」(サンスポ)、「91年ダービーを無敗で制するなど、G1・4勝を挙げた」(報知)、「91年に皐月賞、ダービーを制するなど、G1・4勝を挙げた」(デイリー)、という具合です。

次に「現役時代に「帝王」の愛称で親しまれた」という部分。単なる名前の一部であって、愛称と言って強調するようなことなのかなと思います。シンボリルドルフの愛称「皇帝」に対する「帝王」ではありますが、無理して文字数を稼ぐ必要はないと私は思います。どうでもいいって言えばどうでもいいんですがね。

次に「終始馬っ気を出して急に立ち上がるなど、振る舞いは若々しく貫禄も十分」というところ。「若々しい」という言葉と「貫禄」という言葉はなかなかつながりません。貫禄というのは威厳であったり、重々しさであったりで、若いのに貫禄がある、年をとって貫禄が出てきた、というのがストレートな表現です。若々しいから貫禄があるというのは変ですし、「馬っ気を出して急に立ち上がる」様子を貫禄十分だと思う感性も珍しいです。
他のスポーツ紙がどう伝えているかというと、「馬っ気を出し、年齢を感じさせない抜群の気合乗りでパドックを周回した。」(スポニチ)、「バネのある独特の歩様は健在で、品のある馬体も往年のまま。馬っ気を出すなど、とても23歳とは思えないやんちゃぶりも見せた。」(サンスポ)、「久しぶりの競馬場の雰囲気に興奮したのか、時折“馬っ気”を出す場面も。」(報知)、「パドックでは気合を前面に出して、今にも走りだしそうな雰囲気。肌つやも良く、まだまだ元気いっぱい。」(デイリー)、という具合です。馬っ気を出したのを「やんちゃ」と評したサンスポの感性が普通だと思います。

トウカイテイオーが函館競馬場にやってきたことを伝えるだけの短い記事に、あれっと思うところが複数個所あったので、思わず突っ込んでしまいましたが、おかしさのインパクトでは「ファルコン9馬身差15冠超強え~」の方がありますね。度肝を抜かれました。そのうちクラシックどころかGI未勝利の3冠馬が出てきそうです。
私のような素人が気の向くまま好きなことを書いているわけではなく、プロの記者が新聞に書いているわけですから、もうちょっと何とかならんかと思う次第です。

Kジョージ

2011-07-25 00:17:40 | 競馬日記
5頭立てというのはいつ以来の少頭数なのか分からない(少なくとも1988年以降では最少)ですが、昨年のカルティエ賞3歳牡馬チャンピオンWorkforce、GI連勝Rewilding、復活したSt Nicholas Abbey、追加登録料を払って出走してきたチャレンジャーNathanielとまあまあな精鋭で行われたKジョージは3歳馬Nathanielが勝ちました。

勝ったNathanielは早め先頭から後続を振り切りました。
直線でDar Re Mi半弟Rewildingが故障発生し、フランキーが大きくターフに投げ出されました。ものすごく危険なシーンで、少頭数で後続馬がいなかったことが幸いしました。Rewildingは予後不良。魅力的な血統背景を持つ馬で非常にもったいないことになりました。
Workforceは直線で外に逃げ気味でNathanielを捕まえられず。レース直後には"injured"と言う文字を目にし、ちょっと心配しましたが、外傷だったらしいです。

Nathanielは半姉にGI馬Playful Act、半兄に障害のGI馬Percussionist、他にも兄姉に重賞勝ち馬がいる良血馬で、父は今年猛烈な勢いで大レースを勝ちまくっているGalileo。母父Silver Hawk、祖母父Icecapadeで近交がきつめです。

セレクトセール雑感

2011-07-13 19:45:55 | セリ
ディープインパクト産駒大人気。圧倒的な繁殖牝馬の質・量を背景に既にある程度の成功を確実なものにしたディープインパクトの産駒は落札額、落札率ともに今回のセールで最上位。

ダイワメジャー産駒が1億円超え。ダイワメジャーからそんな高い馬が出るとは思っていませんでしたが、新馬戦でいきなりワンツーフィニッシュを決めたのが影響したかもしれません。リーディングサイアーのキングカメハメハヴィクトワールピサを出したネオユニヴァースから高額落札馬が出たのは自然です。

シンボリクリスエスがメルトダウン。繁殖牝馬の質・量ともにものすごい待遇を受け、過去にはダノンマスターズが超高額で落札されたシンボリクリスエスですが、もっとも活躍した馬はダートGI3勝のサクセスブロッケンで、芝GI未勝利、クラシックに出走できる馬がほとんどおらず、母父サンデーサイレンスの成績が振るわないという状況が続き、アリゼオの全妹が1000万円で主取という状況に。今年の2歳馬が最後の勝負でしょう。

メイショウサムソン産駒は母父がサンデーサイレンス系の馬が多数上場。瞬発力に富んだサンデーサイレンス系に対して持続力で押し切るメイショウサムソンを付けるのは自然で、社台がメイショウサムソンを入手した目的はここにあったことでしょう。非サンデーサイレンス系ではシンボリクリスエスより待遇は下で、実際に成功するかは未知数ながら、意図が明確なのはいいことです。高い馬はいませんでしたが、落札率は上々。

セレクトセール

2011-07-13 00:05:37 | セリ
1億円越えは1歳馬2頭、当歳馬3頭の計5頭。

1歳馬
3.6億円:ディープインパクト×エアグルーヴ(牝)
2.6億円:キングカメハメハ×マイケイティーズ(牡)

当歳馬
2.5億円:ネオユニヴァース×ウインドインハーヘア(牡)
1.3億円:ディープインパクト×マジックストーム(牡)
1.0億円:ダイワメジャー×カチバ(牡)

落札額が最高だったのはディープインパクト×エアグルーヴの1歳馬。牝馬で3.6億円。ちょっとやそっとじゃ取り返せる金額ではなく、繁殖まで見込んでのこと(記事)。全姉グルヴェイグがオークス出走にこぎ着けましたし、箸にも棒にもかからない可能性は低いでしょう。
アドマイヤムーン半弟キングカメハメハ×マイケイティーズが2.6億円。マイケイティーズの仔はエアグルーヴほどは粒ぞろいではないので、ギャンブル度は上がります。

当歳馬の最高額はディープインパクト半弟。近親から重賞で活躍する馬が多数出ています。ヴィクトワールピサ同様、Crepelloがクロスしていますが、Halo、Machiavellianのスピードが生きていたヴィクトワールピサに対し、6代目からクロスするWild Risk、豊富なHyperionとスタミナが豊富です。欧州12Fを狙えるだけのスタミナを持っていますが、そう言う話が出るところまで出世できるかどうか。スタミナ豊富なので仕上げにくく、日本では不利かもしれません。
ディープインパクト×マジックストームはそんなにすっきりした配合ではないですし、母は米GII勝ち馬ですが、まだBlack-type producerではありません。馬体等が良かったんでしょうか。
ダイワメジャー×カチバはTurn-toクロスの世代がずれていたり、Crimson Satan、Victorianaのようなこの配合における効果が分からないクロスがあったり、あまり惹かれない配合です(ノーザンテースト内Victoria Parkの弱点を消すという点は参考になりますが)。これも見た目が良かったんですかね。

捨てるほど金があったら買ってみたかったのはネオユニヴァース×ウインドインハーヘアです。

カジノドライヴ引退

2011-07-05 19:49:12 | 競馬日記
カジノドライヴが引退するようです(記事)。JazilRags to Richesの2頭のベルモントS馬の半弟、BCマラソンのMan of Ironの半兄という超良血馬であり、ベルモントS前哨戦の一つピーターパンS(GII)を勝ちました。

半兄姉に続くベルモントS制覇を目指し渡米し、前哨戦を勝ちましたが、挫石で本番は取り消し。BCクラシックを目指して再び渡米し、条件戦を勝って本番に臨んだものの最下位に敗れました。日本調教馬でありながら日本のレースに出る機会がデビュー戦以来なかったのですが、帰国後、JCダートで6着、アレキサンドライトSを快勝し、フェブラリーSはサクセスブロッケンのレコード勝ちの前に2着。3度目の海外遠征となるドバイWCでは消極的なレースで8着に敗れました。その後、屈腱炎発症。

どこの国でもいいから腰を落ち着けてレースに臨んでいたら何かのGIを勝てたはずですが、人の都合に振り回された競走生活になってしまいました。
フェブラリーSでこの馬に勝ったGI3勝馬サクセスブロッケンは種牡馬になれませんでしたが、この馬は社台で種牡馬入りする見込みです。超良血馬であり、能力は確実にGI級であり、身のこなしはダート馬とは思えませんでした。Haloフリーですし、ある程度の使いやすさは確保できています。

スマートファルコンが止まらない

2011-07-01 20:20:30 | 競馬日記
ちょっとスマートファルコンが止まらなくなってきましたね。帝王賞でエスポワールシチー相手に9馬身差で圧勝しました。

圧倒的な逃げでそのまま押し切ってしまうスタイルと主戦騎手からダートのサイレンススズカなんて声も上がりますが、血統構成がかなり違って、その所為で芝とダートに適性が分かれています。
サイレンススズカはTurn-toでシンプルにまとめた配合で、とにかく馬鹿みたいに速くて、そのまま行ってしまう馬でした。スマートファルコンはVaguely Noble 5 x 3のスタミナが武器で、素軽さよりも力強さ、粘り強さが持ち味になっており、現代競馬ではダートで能力が開花しました。Vaguely Noble(Aureole)のスタミナが武器の逃げ馬と言えばメジロパーマーなんかを思い出します。

それにしても地方どさ回りで賞金を稼いできた馬がこんなに強くなるとは想像できませんでした。BCクラシックを勝てるかと言われればやってみないことには分からないと答えるしかありませんが、このパフォーマンスができるならアメリカのGIでも間違いなく何個か勝てます。来春のドバイWCを目指すようで、オールウェザーへの適応(レッドディザイアヴィクトワールピサトランセンドと個性の異なる日本の馬がオールウェザーをこなしたので、恐らく大丈夫でしょう)とコンディション次第でいい勝負ができると思います。

エスポワールシチーの方はコンディションがまだまだ戻りませんね。いいときにチャンスの大きいドバイWCをやめて、BCクラシックという難しいチャレンジをして調子を崩してしまいました。
この馬が日本国内でD2000mを走るのは初めてでした。ダートのチャンピオンを決める距離であるはずの2000mの重賞が中央にはGIIIのシリウスSしかないというおかしなことになっており、スマートファルコンは地方巡業ばっかりをしていたおかげで、GI2勝を含む6勝をこの距離の重賞で挙げています。