うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

バイエリシェスツフトレネン

2013-07-29 22:09:10 | 競馬日記
独の10F戦、バイエリシェスツフトレネン(ダルマイヤー大賞典)はNeaticoが勝ちました。
以前は善戦すれども勝てないタイプだったのですが、重賞3連勝でGIまで手が届きました。

父はMachiavellianの仔Medicean。Machiavellianは現役時代は仏の2歳GIを2勝、種牡馬としてはMr. Prospector系の中で芝砂兼用で距離も持ちました。代表産駒はAlmutawakelStreet Cryの2頭のドバイWC馬、仏オークス馬West Wind、仏2000ギニー馬Vettori、仏1000ギニー馬Tie Black、芝10FのGI3勝のストーミングホーム、カドラン賞のInvermarkなど。
Mediceanもその中の1頭で、ロッキンジSとエクリプスSを勝っています。Cheveley Park Studに繋養され、2歳GI2勝のDutch Art、コロネーションS、フィリーズマイルのNannina、セクレタリアトSのBayrir、独オークスのAlmeritaなどを出しています。主戦場は芝ですが、距離適性的にはMachiavellianとあまり変わらない感じです。

母Nicola Bellaは父Sadler's Wells×母父Rivermanで、凱旋門賞のカーネギーと同じパターン。そこにMediceanを持ってきて、Northern Dancer - Natalma - Native Dancer, Almahmoud、Hail to Reasonと、NeaticoはSadler's Wellsをかなり強調した配合になっています。Precipitation - Hurry Onも効いていて、12Fくらいまでこなしてもおかしくないように思います。中距離路線で行くのか、距離延長があるのか、どうなんでしょうね。

独産でイニシャルNですが、Nella da Gubbioとは関係なく、そもそも母が愛産で、独血統馬ではありません。半姉に米芝のGII勝ち馬Beautyandthebeast、曾祖母Virungaはマルレ賞(当時GIII)を勝ち、仏オークスで、Allez FranceDahliaの3着に入った馬です。VirungaはAllez Franceと同じくダニエル・ウィルデンシュタインの所有でしたが、ジャック・ル・マロワ賞のVin de France、GIIミルリーフSのVacarmeを出して、GIIIサンドリガムSのAction Francaiseが唯一の活躍馬だったAllez Franceを上回りました。孫以降の世代にも活躍馬は多く、カドラン賞のVictoire Bleue、EPテイラーSのVolga、香港ヴァーズのVallee Enchantee、パリ大賞典のVespone、コロネーションSのMaids CausewayといったGI馬を出しています。

Kジョージ

2013-07-28 01:23:38 | 競馬日記
先ほどKジョージVI&QエリザベスSが終わりました。

勝ったのはNovellist。サンクルー大賞典からのGI連勝、GIは3勝目です(残る1勝は昨年のジョッキークラブ大賞典)。サンクルー大賞典を勝ったことを取り上げておいて良かったです。実際はもっと前に取り上げておくべき馬だったのですが。昨年はDanedreamが勝ち、独調教馬の2連勝になりました。
勝ち時計の2:24.60ってのはちょっと違うレースの記録を見たのかと勘違いしますね。従来のレコードは2010年のハービンジャーの2:26.78でした。
5馬身差の完勝ということで、一気に欧州の12F戦線のトップに躍り出た感じです。凱旋門賞に出てきたらかなりの強敵になりそうですね。

2着に頑張ったのは愛ダービー馬Trading Leather。そう言えばハービンジャーがレコードで圧勝したときの2着も愛ダービー馬Cape Blancoでしたね。Cape Blanco程度に強いなら今後も十分活躍できそうです。Ruler of the Worldが出てきていても2着には来なかったでしょうから、12Fにおける今年の愛ダービー馬と英ダービー馬の序列は決まったと見ていいと思います。

海外GIいくつか

2013-07-25 20:24:55 | 競馬日記
ここ最近、クラシックくらいしか海外のレースを振り返る暇がなかったのですが、ちょっとやる気になったのでいくつか振り返ってみます。

ジュライCはLethal Forceが勝ちました。ロイヤルアスコットのダイヤモンドジュビリーSからの連勝で、欧州で久しぶりに現れた強いスプリンターという評判です。
父はDark Angel。2歳GIミドルパークSを勝って、2歳で引退しました。Lethal Forceはその初年度産駒に当たります。父系はAcclamation - Royal Applause - ワージブ - トライマイベストとさかのぼる系統。トライマイベストの系統ではオーストラリアでリーディングサイアーになったラストタイクーンが有名ですが、ワージブのラインも随分つながりましたね。
Lethal Forceは母父もGreen Desert産駒のスプリンターDesert Styleなのですが、あくまで組み合わせという点では祖母父のExplodentの方が強く出ています。こちらはアメリカンなスプリンターですね。いずれにせよ、実績通りのスプリンター配合だと思います。

ジャンプラ賞はHavana Goldが勝ちました。父は無敗で引退した2歳チャンピオンTeofiloで、母父はDesert Style。母父がDanzig系でDanzigクロスができるTeofilo産駒という点では今年の愛ダービー馬Trading Leatherと同じです。Trading Leatherの方が細かくスタミナが効かせてあるようには思います。
が、Havana Goldの方もそれなりにちゃんとした配合ですね。Desert Styleの祖母Canton Silkは愛2000ギニー、BCマイルのBaratheaの祖母、Desert Styleの母父はSadler's Wellsと相性のいいHigh Topです。また、クロス馬という観点ではAcropolis 7 x 7がありますし、2冠馬ニンバス 7 x 6も面白いです。

パリ大賞典はMonsun産駒Novellist。馬主のDr. Christoph Berglarはケンタッキーに牧場を持っているようですね(Stonereath Stud)。
イニシャルNのドイツ血統馬ということで、詳しい人はもしかしたらそうではないかとピンと来るかもしれませんが、フェデリコ・テシオ所有の繁殖牝馬Catnipの孫Nella da Gubbioがドイツに渡って繁栄させたラインです。Nella da Gubbioの産駒に10戦無敗の独ダービー、オークス馬Nereideがいます。この牝系の他の超有名どころでは独2冠馬で独リーディングサイアー6回のNeckar、GI4勝で独リーディングサイアーのNebosなど、最近の活躍馬では独オークス馬Night Magic、日本で有名なところではノーアテンションがいます。
配合としてはまずはやっぱりLiterat 4 x 4ですね。これがMonsunで効いていたHerold、Olymp、Ticinoというマニアックなドイツの血とメジャーなPhalarisを結びつけます。これはLandoとか、Lucky Speedとかと共通する点です。配合の上手さではこの2頭の方が上だと思いますが、名種牡馬Monsunの影響を強く出すというのは悪くないと思います。

書く機会がありませんでしたが、そう言えばMonsun産駒で私が期待していたMaxiosブログ)が5月にイスパーン賞を勝ったようですね。Novellistとは全く配合が違います。Monsunという種牡馬は偉大ですね。

愛オークス

2013-07-22 20:09:03 | 競馬日記
愛オークスはChicquitaが勝ちました。

Montjeu産駒。Northern Dancer 3 x 5 . 6 . 7 . 8があって、父母で少し世代がずれていますが、Northern Dacerクロスは十分に働いていると見れば、シンプルにSadler's Wellsを強調していて悪くないように思えてきます。DjebelもPrince Roseも効いていますし、父Montjeuと母父Dansiliの間でWild RiskやNoorani、Chanteur - Chateau Bouscautもクロスしますし、スタミナは十分あると思います。その一方、Grey SovereignやVilmorin - Gold Bridgeのスピードにも魅力を感じます。よくよく見ると、ぱっと見た感じで受ける印象以上にいい配合ですね。

英オークス馬Talentは殿負け。英ダービー馬Ruler of the Worldも愛ダービーでは完敗でした。どちらもスタミナに不安を感じる配合で、愛ダービー、愛オークスとも勝ったのは英のオークス、ダービー馬よりもスタミナがありそうな配合でした。
この世代の中長距離路線はまだ誰がエースなのかが固まりませんね。仏オークスでChicquitaを4馬身ちぎり捨てたTreveはやっぱり強いんじゃないかということ、マイル路線はDawn Approach中心になるんじゃないかということは言えそうに思いますが。

ゴールドプルーフ

2013-07-21 00:41:19 | 競馬日記
スポニチ記事にMossborough系種牡馬の産駒が今年、デビューするとありました(記事)。Mossborough系と言われて思い出すのは、この10年ではゴールドプルーフくらいしかおらず、どんな馬の産駒が走るんだろうと思っていたのですが、どうやらゴールドプルーフの産駒がデビューするようですね。

ゴールドプルーフは名古屋所属で54戦16勝。ハイライトは2003年の東海S。ディーエスサンダーの降着により勝利を手にしました。凄い血統の馬が勝ったなあとびっくりしたのを思い出します。
父ゴールドレットは名古屋の名馬で23戦20勝2着3回。凄い馬ですね。その父ボールドアンドブレーヴはセントレジャーと凱旋門賞を制した(勝った年は違いますが)唯一の馬Ballymossの仔でHethersettネヴァービートの半弟(1963年生まれの同名Bold and Braveいて、こちらは名前から推測しやすいBold Ruler直仔で、ジェロームHなどを勝った活躍馬で、種牡馬としてもケンタッキーオークス、エイコーンS、CCAオークスなど、勝ちまくったものの、ケンタッキーダービーを勝ったGenuine Riskが同期にいたおかげで陰に隠れてしまった名牝Bold'n Determinedなんかを出しているので、Bold and Braveと言われればこっちかなと思ってしまいます)。血統通り、超長距離での勝利があるようです。種牡馬としては地方ダートでの活躍馬を多数出していますね。

ゴールドプルーフは近年まれに見る純然たる欧州血統馬です。曾祖母シノブエがアメリカからの輸入なのですが、この部分もほとんど欧州血統です。父系のマニアックさだけでなく、この点でもマニアックです。ただし、Nasrullah (= Rivaz) - Nearco - Pharos (= Fairway)、Hyperion - Gainsborough、Blenheim - Brandfordの統一性があり、ほぼ純然たる欧州血統にも関わらずHelioscope内にMan o'Warがある点など、種牡馬、BMSとしての可能性がありそうな気がします。

ゴールドプルーフが一旦種牡馬入りし、一旦種牡馬登録を抹消し、再び種牡馬登録をして、最初の産駒を得るまでの顛末が記事になっています(記事)。この記事に出てくる産駒ゴールドジッコウは既に佐賀でデビューしていますね。血を残してくれる馬が出てくれることを期待します。

パリ大賞典

2013-07-14 23:16:07 | 競馬日記
パリ大賞典はJuddmonteのFlintshireが勝ちました。

父Dansili×母父Sadler's Wells×祖母父Shirley Heights×曾祖母父イルドブルボン。イルドブルボン 4 x 4があります。
Dansiliの母父は英愛ダービー馬Kahyasi。種牡馬としてそれほど成功したわけではないですが、ZaintaVerevaKhalkeviEnzeliChoc Iceの5頭のGI馬を出しています。このうちZainta、Vereva、Khalkevi、Enzeliは母方にMill Reefを持ち、残るChoc IceはRivermanを持ちます。DansiliはMill Reef、Rivermanを持たないので、母方にこれらがあればストレートに相性の良さを生かせるように思います。

Flintshireの母Dance Routineは父Sadler's Wells×母父Shirley Heightsの黄金配合ですね。父Daisil×母父Sadler's Wellsの組み合わせからはThe FuguePassage of Timeと2頭のGI馬が出ています。このうちThe Fugueは残る1/4にRivermanを持ちますね。今年のロイヤルアスコットのハードウィックSを勝った後、心臓マヒで亡くなったThomas Chippendaleは祖母父がDarshaanで、母All My Lovingは父Sadler's Wells×母父Darshaanの黄金配合です。Thomas Chippendaleのことは高く評価していたのですが、連敗を抜けたところで残念なことになってしまいました。
それはそうと、Dance RoutineやAll My Lovingのような大物配合の牝馬との組み合わせをもっと見たいように思います。

独ダービー

2013-07-09 19:48:16 | 競馬日記
独ダービーはSilvano産駒Lucky Speedが勝ちました。生産者はLandoなどを生産したドイツのイットリンゲン牧場なのですが、アイルランド生まれのようでアイルランド産となっています。

母父MonsunでSurumu 4 x 4ができ、その中のBirkhahnが6 x 5 . 6の系列ぐるみを作ります。SurumuはOlymp、Ticinoといったマニアックなドイツの血とメジャーなHyperionを内包しています。他にもKaiserkrone = KaiseradlerがドイツのMagnat、Arjaman、フランスのLa Farina、Biribiをまとめたり、ドイツ血統と他の血の組み合わせ方という観点では非常に見るべきところが多いです。いい配合ですね。
祖母が英国産で、ドイツでの歴史は浅い牝系ですが、曾祖母の全兄にベリファ、半兄にベルマンがいて、日本ではなじみの牝系になります。最優秀障害馬ブランディスも同じ牝系になります。

父SilvanoはNijinsky系の貴重な生き残り(ブログ)。ドイツのフェールホフ牧場と南アのMaine Chance Farms(同じファミリーが所有)で種牡馬をやっているようです(シャトルなのかがちょっと分かりません*)。南アでは、アルマクトゥームチャレンジR2(GIII)を勝って、ドバイでの活躍もあったBold Silvanoを筆頭に数多くのGI馬を出して成功しています。ドイツ供用時の産駒のGI勝利はLucky Speedが初めてかもしれません。Bold Silvanoは既に南アで種牡馬入りしていますが、Lucky Speedの方もNijinsky系の後継種牡馬になってくれることを期待します。

独ダービーの前日には南アのダーバンジュライをHeavy Metalが制しました。GI2勝目です。
配合はかなり異なり、Herbagerの単一5 x 5クロスが最前面で唯一の5代内クロス馬となる異系交配です。こちらもなかなか見所がある配合ですね。

*ここにSilvanoについての解説があります(記事)。一旦ドイツで種牡馬入りし、その後、南アとのシャトルになるはずが、南アでアフリカ馬疫が発生して南アから帰れなくなったそうですね。後に無事、帰れたみたいですが。