うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

サクラチトセオー死亡

2014-01-31 22:56:12 | 競馬日記
秋の天皇賞馬サクラチトセオーが死亡しました(記事)。
最後方に近い位置から追い込んで粘るジェニュインをハナ差で捕まえました。サクラチトセオーの、そして鞍上小島太の真骨頂と言えるレースでした。

父はトニービン。出したGI馬は9頭で、その9頭全てが東京のGIを勝っているという極端な東京巧者種牡馬でした。母父との組み合わせでは、サクラチトセオー、エアグルーヴテレグノシスを出した父トニービン×母父ノーザンテーストが3頭と最も多く、また複数GI馬を出した唯一の組み合わせでした。この組み合わせは登録頭数が186頭と圧倒的に多く、これが複数のGI馬が出た理由の一つでしょう。
ニックスAEIは3.57といい方ではあっても(トニービンのサイアーAEIは2.62)圧倒的にいいという訳ではありません。一流馬も出すが外れも出すということでしょう。一流馬を出さない組み合わせよりは価値があるといっていいかもしれません。

半妹はエリザベス女王杯馬サクラキャンドル。サクラユタカオー産駒。父サクラユタカオー×母父ノーザンテーストのニックスAEIは4.11(102頭が登録)で、トニービンより少し良かったです。母父ノーザンテーストにとってサクラユタカオーはいい父だったわけですが、サクラユタカオーのサイアーAEIは2.07ですから、サクラユタカオーにとってもノーザンテーストはいい母父でした。

アフリート死亡

2014-01-26 01:59:12 | 競馬日記
アフリートが死亡しました(記事)。

ジェロームHを勝ったカナダ年度代表馬。1994年に持ち込み馬ゴールデンジャックが重賞を2勝し注目され、その年に輸入されました。アメリカに残してきた産駒では後にTwist AfleetFlat Fleet FeetがGIを勝ちました。
輸入後の産駒では何と言っても桜花賞馬プリモディーネでしょう。見事な勝ちっぷりだったことを記憶しています。芝のGI勝利はこれだけで、産駒の主戦場はダートであり、スターリングローズビッグウルフプライドキムバンブーエールがダートGIを勝っています。

気に入っている配合もやっぱりプリモディーネです。高祖母はソーダストリーム。伊達秀和氏によって輸入され、朝日杯を勝った快速馬アローエクスプレス、重賞2勝ミオソチスを出した名繁殖牝馬です。アローエクスプレスはリーディングサイアーに輝き、重賞未勝利の半弟サンシャインボーイも種牡馬としてはステートジャガーを出しました。ソーダストリームの孫には皐月賞馬ファンタストがいます。アローエクスプレスの父スパニッシュイクスプレス、ファンタストの父イエローゴッドはともに伊達秀和氏が輸入したものでした。

プリモディーネの曾祖母モンナバンナはモンタヴアル産駒で未勝利。ヨーロピアンな血で固められ、Umidwar = Udaipurのクロスがあったり、現代日本から見ればかなり重苦しいところがあって古風な配合という感じです。それでもMumtaz Mahal - Lady Josephineのスピードが後代に生きてくる可能性を感じます。
そこにイエローゴッドを付けたのが祖母のイザベラで、ファンタストの3/4同血になります。こちらも未勝利馬ですが、前面にNasrullah 3 x 4、Fair Trial 4 x 4があって、一転してスピードがありそうな感じになっています。イエローゴッドという種牡馬が良くて、その父Red Godがスピードの父方Nasrullah、母方アメリカンなMenow、Bull Dogという構成になり、牝系に入ってはアメリカンな血を持つ馬との組み合わせで効いてきそうな感じがあります。イザベラでは他にBuchanクロスはアメリカン対応という点で働きそうですし、Hurry Onクロスはヨーロピアンですが、隠し味的スタミナに生きる可能性を感じます。
プリモディーネの母モンパリはマルゼンスキー産駒の1勝馬。ヤエノムテキと同じく、Menow、Nearco、Bull Dog = Sir Gallahadらのクロスで、イエローゴッドのアメリカン対応力、スピードが生きています。そして、Blue Larkspur、Man o'Warといった更にアメリカンな血が効いたマルゼンスキーを配したことで、更にアメリカンな方向で配合できるようになりました。
そのモンパリにほぼ純粋アメリカンなアフリートを付けて産まれたのがプリモディーネです。この配合でまず最初に目に付くのはTom Foolクロスです。アフリートがBuckpasserを通らないTom Foolを持っているために母父マルゼンスキーとの組み合わせではスムーズにこれが主導を形成します。また、その父Menow、その母父Bull Dogはモンパリでもマルゼンスキーでも効いていた血で、これらをスムーズに取り込んでいます。Native DancerクロスはSickleでTom Foolと結合しますし、Princequilloクロスでマルゼンスキー内のヨーロピアンなスタミナを生かしながらPrince PalatineでNative Dancerと結合します。細かい点を見て行くとHurry Onクロスが隠し味になっています。
母、祖母、曾祖母の3代で1勝しか挙げていないのですが、古風な配合から現代的なアメリカンな血に対応できるように少しずつ切り替えて行って出来上がった見事な配合がプリモディーネになります。

プリモディーネは当然のごとく繁殖牝馬として期待したのですが、まだ活躍馬は出していません。サンシャイン牧場にとっても期待の繁殖牝馬のようで、アメリカに繁殖留学しているのですが。
2013年産はMonsunの牝馬なそうです(サイト)。アメリカンなプリモディーネにヨーロピアンの中でも特殊なドイツ血統Monsunですから、かなりの異系交配になります(Monsun × プリモディーネ)。繁殖牝馬としてはMonsunの特殊性が生きる場合もあるでしょうし、近年は世界各国に広まりつつあるドイツ血統ですから、このドイツ血統が生きる場合もあるでしょう。辛抱してプリモディーネを作り上げたサンシャイン牧場ですから、この牝馬も大切にしてくれるものと期待します。

さて、ここまでほぼプリモディーネについてなのですが、本題だったはずのアフリートに戻ると、アメリカではNorthern Afleetが後継種牡馬になり、2冠馬Afleet Alex、BCスプリントのAmazombie、ドバイゴールデンシャヒーンのBig City ManといったGI馬を出しています。ただし、Amazombieはセン馬、Big City Manは死亡したため、Afleet Alexにかかる期待は大きいです。既にトラヴァーズSのAfleet Expressが種牡馬になっています。
母父としても期待したのですが、ノボジャック程度しかGI馬が出ていないのが不思議です。今後もまだまだBMSアフリートという馬はデビューしてきますので、これからに期待します。

2013年エクリプス賞

2014-01-23 00:30:46 | 競馬日記
2013年のエクリプス賞が発表されています(記事)。

年度代表馬は2年連続でWise Danでした。今年は安全優先のレース選びで物足りなかったのですが、BCマイルをきっちりと仕留めました。あの勝利ですっきりと決まったように思います。次点はBCクラシックのMucho Macho Manなのですが、票は208対21で大きく離れました。

最優秀2歳牡馬はShared Belief。BCジュヴェナイルのNew Year's Dayと115対99と接戦でした。
Shared BeliefはGIキャッシュコールフュチュリティを含む3戦3勝で、この3戦で2着に付けたマージンの合計は20馬身半とのこと。BCを勝ったとは言っても3戦2勝で、それほど着差をつけてこなかったNew Year's Dayより上と見た人が少し多かったのでしょう。

最優秀2歳牝馬はShe's a Tigerが212票を集めて受賞しました。BCジュヴェナイルフィリーズで1位入線したものの降着で勝ちを逃していました。そのときの勝ち馬Ria Antoniaには10票しか入りませんでした。

最優秀3歳牡馬はWill Take Chargeが231票で受賞。3冠レースの勝ち馬ではありませんが、その3冠レースの勝ち馬OrbOxbowPalace Maliceが後のレースでふるわない中、真夏のダービー・トラヴァーズSとクラークHを勝ち、BCクラシックでは2着でした。

最優秀3歳牝馬はBeholderが207票で受賞。昨年、最優秀2歳牝馬に輝いています。次点はPrincess of Sylmarで42票でした。ケンタッキーオークスでPrincess of Sylmarに破れたもののBCディスタフを含むGI4勝のBeholderと、同じGI4勝であるもののBCディスタフでBeholderとの直接対決で6着と破れたPrincess of Sylmar、という対決でした。

最優秀古牡馬はWise Danでしたが、次点Mucho Macho Manとの票差は123対93で年度代表馬の投票のときより接戦でした。バランスをとるという行動は日本と同じなのかもしれません。

最優秀古牝馬はRoyal Deltaが234票で受賞。2011年の最優秀3歳牝馬、2012年の最優秀古牝馬で、3年連続エクリプス賞受賞です。今年はBeholder、Princess of Sylmarと3歳馬に負けているのですが、この部門では他に選択肢がなかったというところです。

最優秀芝牡馬も当然Wise Danが受賞(243票)。2年連続3部門受賞です。

最優秀芝牝馬はDank(229票)。サー・マイケル・スタウト師がアメリカに遠征させた馬で、ビヴァリーDS、BCフィリー&メアターフを勝ちました。

最優秀牡スプリンターはPoints Offthebench。BCスプリントのSecret Circleを125対70で押さえての受賞です。ビングクロスビーS、サンタアニタスプリントチャンピオンSとスプリントGI2勝です。BCスプリントだけだったSecret CircleよりGI勝利数は上ですが、この辺はアメリカではどう比較するんでしょうね。

最優秀牝スプリンターはGroupie Doll。BCフィリー&メアスプリントを連覇で、ターフスプリント連覇のMizdirectionとは192対45でした。

最優秀障害馬はDivine Fortune。障害レースはよく分からないのですが、アメリカングランドナショナルなどを勝っています。
GI3勝のRoyal Anthem産駒。平地GI2勝のPresious Passionも出しています。Divine Fortuneと同い年ですね。Divine FortuneのMy TombolaとPresious Passionの祖母Sizzlin Sunshineは似た血を持ってますね(My Tombola × Sizzlin Sunshine)。

2013 LONGINES World's Best Racehorse Rankings続き

2014-01-20 22:10:51 | 競馬日記
続きを少しだけ。
115ポンド以上を得たのは307頭。2012年は341頭、2011年は352頭、2010年は329頭。近年最少でした。そのうち日本調教馬は2013年は31頭、2012年は35頭、2011年は29頭、2010年は30頭で、シェアは2013年は10.1%、2012年は10.3%、2011年は8.2%、2010年は9.1%。日本調教馬のシェアはそんなに変動がないんですね。

距離、歳、サーフィス別で見ると、エピファネイアが3歳芝のEコラム、オルフェーヴルが4歳以上芝のLコラム、フェノーメノが4歳以上芝のEコラムでトップでした(ロードカナロアは4歳以上牡馬芝Sコラムでトップですが、牝馬のBlack Caviarがロードカナロアより高いレーティングを得ています)。Eコラムのトップはどちらも日本調教馬ですね。更にLコラムのオルフェーヴルがいますから、長いところは日本調教馬の天下です。これは昨年もそうだったのですが、今年はロードカナロアというスーパースターが最近の日本の弱点だった短距離で存在感を発揮しました。

2013 LONGINES World's Best Racehorse Rankings

2014-01-17 00:05:02 | 競馬日記
昨年までのWorld Thoroughbred RankingsからLONGINESがスポンサーについたおかげでLONGINES World's Best Racehorse Rankingsに名前が変わりました。そのランキングが発表されましたね(全ランキング記事)。

トップはBlack CaviarTreve(130ポンド)。セックスアローワンスをプラスしてない値で、2頭の牝馬がトップに並びました。
Black Caviarは2011年は132ポンド、2012年は130ポンドと非常にレベルの高い状態を維持し続けていました。そして、初のトップです。
Treveはトップなんですが、2008年に128ポンドを得たZarkavaより強いのかなと思います。

3位タイはオルフェーヴルWise Dan(129ポンド)。
オルフェーヴルは有馬記念で得た値です。エルコンドルパサー(134ポンド)に次ぐ単独2番目に高い数字になりました。でも、過去にはシンボリクリスエスが圧勝しているわけで、オルフェーヴルも若干評価が高いように感じます。
Wise Danは負けるわけにはいかないBCマイルを完勝しました。ただし、値はウッドバインマイルで得たものです。

5位タイはロードカナロアNovellist(128ポンド)。
ロードカナロアは香港スプリントで得た値です。香港スプリントであんな勝ち方をする日本馬が出てくるとは全く想像できなかったです。この馬は高松宮杯をレコード勝ちしていて、日本の馬場でのスピード勝負にも強いんですよね。私がレーティングを付けるならオルフェーヴルより上です。
NovellistはKジョージをレコードで5馬身差勝ちしたときの値です。

2013年のTimeform ratingのトップ10が出ましたね(記事)。
こちらもBlack CaviarとTreveがトップに並んでいますが、オルフェーヴルよりはロードカナロアの方を上にしています。まだこっちの方が感覚に合います。

サンシャインフォーエヴァー死亡

2014-01-10 23:02:34 | 競馬日記
サンシャインフォーエヴァーが死亡しました(記事1記事2記事3)。Old Friendsにいました。

Darby Dan生産のRoberto産駒。同期のブライアンズタイムDynaformerとの血統的近さは有名です(ブログ)。そのブライアンズタイムは昨年の4月に亡くなりました(ブログ)。

種牡馬として期待されてアメリカに残りましたが、Sunshine Streetを出した程度でした。後に輸入されましたが、日本では中央重賞勝ち馬を出せず。2004年に種牡馬引退し、Old Friendsで余生を過ごしていました。

Moonlight Cloud引退

2014-01-09 22:05:50 | 競馬日記
Moonlight Cloudが引退するそうです(記事)。GI6勝、昨年のカルティエ賞古馬チャンピオンです。初年度交配相手はGalileoの予定(Galileo × Moonlight Cloud)。

Galileoの母Urban SeaとMoonlight Cloudの父Invincible Spiritの組み合わせが愛ダービー2着のBorn to Sea、その3/4同血の半兄は名馬Sea the Stars。Invincible Spiritは愛ダービー馬Cape Blancoの母Laurel Delightと共通する血を持ちます(Invincible Spirit × Laurel Delight)。
Moonlight Cloudの曾祖母は名繁殖牝馬Doff the Derbyで、産駒に英愛ダービー、Kジョージのジェネラス、英牝馬2冠のImagineがいます。ImagineはSadler's Wells産駒。
実績のある組み合わせと言えるでしょう。

本当はGalileo産駒種牡馬で何かいいのがあればと思ったのですが、まだピンと来るものがいないですね。これからもGalileo産駒種牡馬は出てくるでしょうから、今後に期待です。

Dawn Approachなんてどうですかね(Dawn Approach × Moonlight Cloud)。

2013年JRA賞

2014-01-07 23:07:20 | 競馬日記
JRA賞が発表されています(記事)。

年度代表馬はロードカナロア(209票)。今年は高松宮記念、安田記念、スプリンターズSと国内のスプリント、マイルGIを制し、更に香港スプリントを衝撃の5馬身差で圧勝しました。日本史上最強スプリンターに認定したいと思います。
次点はオルフェーヴル(69票)。フォワ賞連覇、凱旋門賞2年連続2着からの有馬記念8馬身差圧勝でした。気性に問題があり、負ける可能性のあるレースを使わないというレース選びで、今年は4戦だけでGIレースは2戦だけでした。有馬記念は見事なパフォーマンスでしたが、これだけでは年度代表馬には届かないですね。
競馬ニホンの荒木敏宏氏はジェンティルドンナ、東京スポーツの舘林勲氏は該当馬なしに入れています。舘林氏はあまり競馬に詳しくないものと思われます。

最優秀2歳牡馬はアジアエクスプレス(279票)。ダート戦連勝からの朝日杯完勝は見事でした。
日経ラジオの檜川彰人氏はワンアンドオンリーに入れています。新馬、500万下、朝日杯と3戦無敗のアジアエクスプレスと未勝利、ラジオNIKKEI杯のワンアンドオンリーでは随分と成績が違うように思うのですが。

最優秀2歳牝馬はレッドリヴェール(279票)。3戦無敗、阪神2歳牝馬Sに加えて札幌2歳Sも勝っていますから順当ですね。
勝馬の菅原章友氏はハープスターに入れています。新馬、新潟2歳Sと連勝して阪神2歳牝馬Sで2着。レッドリヴェールとの差は阪神2歳牝馬Sを勝ったか負けたかだけですね。これで負けた方が受賞するとおかしいように思います。

最優秀3歳牡馬はキズナ(242票)。ダービー馬で、秋にはフランスに遠征してニエル賞を勝ち、凱旋門賞では4着でした。国内でも他に京都新聞杯と毎日杯を勝っています。
次点はエピファネイア(38票)。皐月賞、ダービーと2着で菊花賞を勝ちました。他の重賞勝利は神戸新聞杯だけですから、キズナの方が上でしょう。
皐月賞馬ロゴタイプには1票も入らないんですね。


最優秀3歳牝馬はメイショウマンボが堂々の満票(280票)で選ばれました。オークス、秋華賞に加え、エリザベス女王杯も制しました。桜花賞馬アユサンがあの一発だけだったので、順当なところです。

最優秀4歳以上牡馬はオルフェーヴル(176票)。次点がロードカナロア(104票)。ロードカナロアが最優秀短距離馬の方にも選ばれると見て、バランスを取りに行った人が多かったんだと思います。無冠で終わらせるには忍びないと思った人が多かったんでしょうね。

最優秀4歳以上牝馬はジェンティルドンナ(274票)。次点がヴィルシーナ(3票)。エリザベス女王杯を勝ったのが3歳馬のメイショウマンボで、JCを勝ったジェンティルドンナとヴィクトリアマイルを勝ったヴィルシーナの戦いになりますが、レースの格も他の成績も違いすぎます。ヴィルシーナに入れたのは勝馬の菅原章友氏、研究ニュースの永楽裕樹 氏、大阪中日新聞の若原隆宏氏。菅原章友氏はおかしな人なんでしょう。

最優秀短距離馬はロードカナロアが満票(280票)で選出。バランスを取りたいと思った人が多かったために最優秀4歳以上牡馬は逃しましたが、最優秀短距離馬と年度代表馬が取れれば十分ですね。ただ、1998年のタイキシャトルはこの3つを取っていますから(当時は最優秀5歳以上牡馬)、この馬も3つ取って良かったと思いますが。有馬記念圧勝と2年連続凱旋門賞2着を評価したという形でオルフェーヴルを特別賞とする手もあったと思います。

最優秀ダートホースはベルシャザール(154票)、次点はホッコータルマエ(122票)。GI4勝、GIII3勝、他にGIで2着1回、3着1回のホッコータルマエよりJCダートと武蔵野Sを勝っただけのベルシャザールが選ばれたというのはちょっとショックです。ホッコータルマエはJCダートで3着に破れていますが、そのときの2着ワンダーアキュートに東京大賞典で完勝していますから、力の差があったとは思えません。ゴールドアリュールのように交流GI2勝だけで受賞した馬がいるのにおかしいと思いますね。ちなみにベルシャザールもゴールドアリュールも社台レースホースの馬です。
福島競馬記者クラブ・会友の谷上泰正氏はエスポワールシチーに入れていますね。マイルチャンピオンシップ南部杯とJBCスプリントを勝っていますが、この馬が受賞するくらいなら確実にホッコータルマエが受賞すべきだと思います。谷上氏は毎年、変な馬に票を入れます。
該当馬なしとしたのはBSN新潟放送ラジオの近藤丈靖氏とBSN新潟放送テレビの磯村茂昭氏と東京スポーツの松島良都氏。酷い人たちですね。

最優秀障害馬はアポロマーベリック(261票)。次点がオースミムーン(5票)で、バアゼルリバーブラックステアマウンテンが1票ずつ。
J.GIは中山グランドジャンプと中山大障害の2つで、中山大障害を勝ったアポロマーベリックは他にも東京ジャンプS(J.GIII)を勝っていて、これが選ばれました。
オースミムーンは重賞3勝で、重賞の数だけならこの馬ですね。
中山グランドジャンプを勝ったブラックステアマウンテンは外国馬で、他にペガサスSを走りましたが9着でした。ブラックステアマウンテンに入れたのは東京中日スポーツの正見真一郎氏。エクリプス賞なんかではアメリカで1戦しかしていない遠征馬が選ばれたりしますから、たった1勝であってもその馬の実力とレース次第で選ばれることがあってもおかしくないと思いますが、ブラックステアマウンテンが取るくらいならアポロマーベリックだと思います。
バアゼルリバーは今年未勝利。どうしてこの馬に入れる人がいるのでしょう。バアゼルリバーに入れたのは毎日新聞の増永道夫氏。
該当馬なしとしたのが12票。傑出馬不在と見る人がそれなりにいました。毎年、該当馬なしが多い部門でもあります。

Midnight LuteとSilverbulletday

2014-01-05 22:23:55 | 競馬日記
Midnight LuteはBCスプリントを連覇した唯一の馬で、Real Quietの唯一の後継種牡馬です。
その産駒、Shakin It Upが26日にマリブSを勝ち、初GI勝利を挙げました。

Midnight Luteは2010年生まれが最初の世代で、現在のところ産駒のグレード/グループレース勝ち馬・カナダクラシック勝ち馬は、GI馬Shakin It Up、Midnight Lucky、GIII勝ち馬Govenor Charlie、クイーンズプレート勝ち馬Midnight Aria、メキシコのGI馬Pachangeraです。
このうち、Shakin It Up、Govenor Charlie、Pachangera(Govenor CharlieとPachangeraは全兄妹)は祖母がSilverbulletdayなんですね。SilverbulletdayはGI5勝、BCジュヴェナイルフィリーズ、ケンタッキーオークスなどを勝った名牝です。

Real Quietは凄い配合の馬でした。父Quiet AmericanはDr.Fager 3 x 2、Cequillo 4 x 3という近親交配馬(Killaloe≒Demure)。この大きな二つのクロスをつないでいるのがBull Dog = Marguerite de ValoisとMan o'Warです。Real QuietではRaise a NativeとDr. Fagerの父Rough'n Tumbleがクロスします。Raise a NativeはTeddyとMan o'War、Rough'n TumbleはBull Dogを持ち、Quiet Americanとは違うクロスを使いながらも傾向を持続します。更にそこに、Nearco(SpearmintがBull Dogと共通、PhalarisがSickle = Pharamondと共通)、Hyperion(Bay RonaldがTeddyと共通、SeleneがSickle = Pharamondと共通)、Mahmoud(GainsboroughでHyperionと共同勢力を作る)がクロスして、ヨーロピアンな血をアメリカンな血と融合させて生かしている点も素晴らしいです。
Midnight Luteの6代内クロスはNearctic、Native Dancer、Princequillo。NearcticはNearco - Pharos - Phalaris - Polymelusと完全に系列ぐるみを作り、これの影響が強いです。そしてNearcticは父で新たにできたNearco、Hyperionの流れを内包します。Native Dancerは父で最前面クロス馬だったRaise a Nativeの父であり、その父Polynesianもクロスします。NearcticとはPhalaris、Seleneで結合。Princequilloは新たにできたクロスであり、その父Prince Roseもクロス。Prince PalatineでNative Dancerと、TraceryでNearcticと結合。
Midnight Luteは父がRaise a Nativeクロスを持つため、母方にMr. ProspectorがあればMr. Prospector系列ぐるみができますし、自身がNearctic主導ですので、母方にNorthern DancerがあればNorthern Dancer系列ぐるみができるというタイプの種牡馬です。

Shakin It Up、Govenor Charlie = Pachangeraは父Midnight Lute、祖母Silverbulletdayが同じ3/4同血です。
その3/4でできる構造はSilverbulletdayの父Silver Deputyの父Deputy Minsterと母父Mr.Prospectorがクロスして(Deputy Minsterは中間断絶、Mr.Prospectorは系列ぐるみ)、ここの血が生きています。母父Vindicationが若干異系気味で世代も新しく、ほぼ「Silver Deputyを生かした」というので終わっているのがShakin It Upです(Mr. Prospector系列ぐるみのおかげでReal Quietの影響も強いですが)。
Govenor Charlie = Pachangeraでは母Strom Catがデヒアと同じくNorthern Dancer×Secretariatで相似性があり、世代とNorthern Dancer系列ぐるみのおかげでStorm Catの部分の影響が強いです。
Silverbulletdayの配合はRoman系列ぐるみの影響が強く、その次にMahmoud、Hyperionとなっています。Sir Gallahad = Bull Dogは父で代々生かされてきた血ですし、Mahmoud、HyperionはNorthern Dancerに含まれています。Silverbulletdayの傾向も問題なく生かしてます。
Shakin It UpとGovenor Charlie = Pachangeraは残り1/4のおかげで配合としての個性は異なるのですが、どちらもいい配合だと思います。

長々と書いてしまいましたが、Real Quietは大好きです。

最優秀配合賞2013

2014-01-02 02:12:03 | 競馬日記
2012年から始めたこの企画。2012年はFort Larnedという一目見ただけでこれは凄いことになってそうだなと思う馬がいましたし、2011年もDanedreamという素晴らしい配合の馬がいました(ブログ)。
2013年は過去2年のような一目でこれは凄いという馬はいませんでしたが、水準以上なのはいっぱいいました。で、どうしようかなと色々考えたのですが、この馬にしました。

2013年最優秀配合賞はロードカナロア。2012年にスプリンターズSから香港スプリントを連勝し、大ブレイクを果たしました。2013年に入っても王者の走りを続け、高松宮記念を勝って中央芝スプリントGI完全制覇、勢いそのままにマイルの安田記念を勝ちました。秋にはスプリンターズSを勝ち、中央芝スプリントGI3連勝。そして最終戦となった香港スプリントでは衝撃の5馬身差。いい配合だなあとは思いましたが、何回も勝ちますので、その度に確認すると、どんどんいい配合に見えてきました。

いくつかポイントがある配合ですね。
まずは母の持つSecretariat = Syrian Sea 3 x 4ですね。これが父Nasrullah直仔×母父Princequilloの父方Mill Reefと反応しています。

次には父方の3連のNorthern Dancerと母方Storm Catの関係です。
父方Nijinskyと母父Storm Catの父Storm Birdは相似です(Nijinsky × Storm Bird)。Storm BirdとNIjinskyの相似クロスがある馬としてはヨハネスブルグTale of the Catなんかがいます(この両者は近縁で、Storm CatとNarrateがほぼ相似です)。
NureyevはStorm Catとの間でFlaresをクロスできるんですよね(Nureyev × Storm Bird)。Nureyevは父内でNijinskyとの間でOmaha = Flaresをクロスしています(Nureyev × Nijinsky)。
ラストタイクーンは父Northern Dancer産駒×母父(Nasrullah×Princequillo)という点でStorm Catと同じです(ラストタイクーン × Storm Cat)。
父キングカメハメハ×母父Storm Catはロードカナロアだけ突出して成功していて、他に重賞勝ち馬がいないのですが(残り1/4に左右される面があるかも)、面白い組み合わせだと思います。

次にGraustark = His Majesty 6 x 4クロス。Alibhaiクロスも内包します。現代日本ではダート戦を中心に成功例が見られますね。このパワーがスプリント戦に生きているのかもしれません。

スピードという点ではTudor MinstrelのヨーロピアンなスピードとSpy Songのアメリカンなスピードが利いています。

その他、Discoveryの生かし方なんかも好きですね。Bold Ruler、Native DancerとIn RealityでDiscoveryの影響が強くなるのはSmarty Jonesと同じです。

よくよく見るとまだまだ何かありそうな気がします。

日本馬にとって、凱旋門賞より難しいのではないかと思えるくらいだった香港スプリントを事も無げに連覇し、国内においても中央芝スプリントGI3連勝+安田記念という素晴らしい成績を残しました。国内最強スプリンターは何かという議論をすれば、着目点によって他の馬の名前を挙げる人も出てくるかもしれませんが、国内外問わないオールラウンダーだった点とスプリントGI5勝(更にマイルまでの距離延長に耐えた)という実績の観点からはロードカナロアを史上最強スプリンターとして全く問題ないと思います。年度代表馬に選ばれるべき馬ですね。ちなみにダート路線ではホッコータルマエが交流GI4勝で最優秀ダート馬に選ばれるべき成績を残しています。芝ダートともにキングカメハメハ産駒がリードした1年でした。

種牡馬入りするようですが、サンデーサイレンスフリーの名馬ですので、利用価値は高いでしょう。現在のリーディングサイアー・ディープインパクトの持つLyphardを持たない点もプラスかもしれません。Chop Chop - Flaresをクロスできますから、ノーザンテースト持ちにも使えます。昨年の北半球最高のスプリンターですから、スプリンターのメッカであるオーストラリアも興味があるんじゃないでしょうか。


他に最優秀配合賞の候補として検討した馬にはキズナSoy CaramboloLucky Speed(←ロードカナロアについて書いているうちにこの馬を忘れてしまった)がいます。いずれもいい配合だと思います。年末の26日にマリブSを勝ったShakin It Upというのもなかなか好みの配合です。